冬用タイヤが要る登山口アクセス。都道府県の規則と規制区間の調べ方

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

晩秋から春にかけて車で登山口へ向かうとき、道路の看板や情報板で「チェーン規制」と「冬用タイヤ装着義務」という、似た言葉を見かけて混乱することがあります。チェーン規制は国が区間を指定する制度で、冬用タイヤ装着義務は都道府県ごとの規則です。決めている組織も、対象になる道も違います。この記事では、行き先の都道府県の規則が何を求めているかと、通る道がチェーン規制区間に入っているかの確かめ方をまとめました。

この記事でわかること

  • 国が指定する「チェーン規制区間」と、都道府県の公安委員会規則による「冬用タイヤ装着義務」の違い
  • 登山口へ向かう道にチェーン規制区間が含まれる例
  • 出発前に自分で調べる3つの手順
  • チェーンとスタッドレスタイヤの使い分け

出発前に確認する3点

  1. 登山口がある都道府県(途中で通る都道府県も)の公安委員会規則が何を求めているか(道路交通法第71条第6号にもとづく規則で、積雪・凍結路全般が対象)
  2. 通る道が国のチェーン規制区間に入っているか(全国13区間だけが対象。それ以外の峠道・山岳路線は制度の対象外)
  3. 現地の規制が実際に発令されているか(直前の道路情報で確認する)

見分ける2つの制度

国が指定する「チェーン規制区間」

国土交通省の制度です。大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるときに実施されます。対象は、急な上り下りがある峠などで、過去に雪による立ち往生や通行止めが起きた場所のうち、タイヤチェーンを着脱できる場所や、通行止め解除まで待機できる場所がある区間に限られます。

対象区間は全国で13区間だけです。直轄国道が6区間、高速道路が7区間で、全国の峠道・山岳路線をすべて網羅しているわけではありません。

タイヤチェーンを取り付けていない車の通行止めを示す規制標識は平成30年(2018年)12月14日に新設されました。国家公安委員会告示「交通の方法に関する教則」も、この標識が出ている道路ではタイヤチェーンを着けないで通行してはいけないとしています。つまりチェーン規制が発令された区間では、スタッドレスタイヤだけでは通行できず、タイヤチェーンの装着が必要になります。

都道府県の公安委員会規則が定める「冬用タイヤ装着義務」

こちらは道路交通法第71条第6号にもとづき、各都道府県の公安委員会が規則で定めているものです。チェーン規制のように「この13区間だけ」という限定はなく、その都道府県内の積雪・凍結した道路全般が対象になります。

長野県警察は、積雪・凍結路でチェーンまたはスタッドレスタイヤの使用を求めています。前輪・後輪の一部だけにスタッドレスタイヤを履いている状態は、法令違反であると同時に危険だとも説明しています。

石川県では、滑り止め装置の装着義務の規定が平成14年2月1日に施行されています。スノータイヤ・スタッドレスタイヤは全輪に装着し、普通タイヤの場合は駆動輪にチェーンを装着することになっています。違反した場合の反則金は普通車で6千円です。この額は石川県の規定として確認できたもので、他の都道府県が同じ額とは限りません。

国のチェーン規制と都道府県の装着義務は、発令の単位も対象範囲も別の制度です。「チェーン規制区間ではないから大丈夫」と考えて、都道府県の装着義務を見落とすと、積雪・凍結路でスタッドレスタイヤすら履いていない状態で走ることになりかねません。

登山口に近い道にも指定区間がある

雪の壁が続く国道292号(志賀草津道路・渋峠付近)

国が指定する13区間のうち、登山口へ向かう道そのものが対象になっている例が2つあります。どちらも、登山シーズン中に毎回規制が発令されるわけではなく、その道自体が制度上の指定区間になっているという事実です。

国道112号 月山道路(山形県)

山形県西川町月山沢から鶴岡市田麦俣までの15.2kmが、月山の登山口に近い区間として指定されています。この区間にはチェーンの着脱場が2か所あります。道の駅月山から山形方向へ1.0km先の大網チェーン着脱場と、月山ICから鶴岡方向へ0.8km先の荒沢駐車帯です。

国道138号 山中湖・須走(山梨県・静岡県)

山梨県山中湖村平野から静岡県小山町須走字御登口までの8.2kmも指定区間です。篭坂峠付近にあたり、富士山須走口五合目へ向かう道の一部を含みます。富士登山の手続きそのものは富士登山の手続きと入山規制にまとめていますが、そちらは夏の開山期間の制度で、冬用タイヤの話とは別です。

この2区間は、いずれも大雪特別警報や緊急発表級の降雪があったときにだけ発令される仕組みです。登山口へ向かう道に指定区間が含まれているという事実と、実際に規制が発令されるかどうかは別の話として扱う必要があります。

出発前に調べる3つの手順

1. 通る道路名・路線番号を書き出す

自宅から登山口まで、国道・県道の路線番号を順に書き出します。峠や山岳路線を含む区間があれば、特に確認が必要です。

2. 国土交通省の地図でチェーン規制区間を確認する

国土交通省の雪防災のページで、13区間のリストと地図を確認します。自分が通る道路名・路線番号と照らし合わせます。該当しなければ、国の制度としてのチェーン規制の対象ではありません。

3. 都道府県警察のページで公安委員会規則の中身を確認する

通る都道府県の警察のページで、道路交通法施行細則または道路交通規則の該当条項を確認します。ここで気をつけたいのは、条項番号は改正で変わることがあるという点です。国土交通省中部地方整備局がまとめた都道府県別の一覧は平成28年8月時点の整理で、長野県なら施行細則第14条第2号、静岡県なら施行細則第9条第1号、岐阜県なら道路交通規則第12条第4号、三重県なら施行細則第16条第5号、という条項番号が記録されています。ただしこれらは当時の条項番号であり、現在も同じ番号のままとは限りません。古い条項番号を現行のルールとして書き写さず、行き先と途中で通る都道府県の警察のページで、最新の文言を確認してください。

チェーンとスタッドレスタイヤの使い分け

前輪に装着した金属製のタイヤチェーン

スタッドレスタイヤは積雪・凍結路全般での走行を想定したタイヤですが、チェーン規制が発令された区間では、スタッドレスタイヤだけでは通行できません。タイヤチェーンの携行が前提になります。

長野県警察は、スタッドレスタイヤを4輪すべてに装着することを求めており、前後2輪だけの装着は法令違反であり危険だと説明しています。出発前には、4輪ともスタッドレスタイヤかどうか、チェーンを積んでいるかの2点を確認しておきます。

布製の非金属タイヤチェーン(スノーソックス)

非金属のタイヤチェーンは、ジャッキアップせずに取り付けられるものが多く、車に積んでおきやすい道具です。タイヤのサイズごとに適合品が決まっているので、自分の車のタイヤ側面にあるサイズ表記を確かめてから選びます。

布でタイヤを包むタイプ(スノーソックス)は、さらに軽く、たたんで積んでおけます。ただし、チェーン規制区間で使えるかどうかは製品ごとに異なるので、規制への適合の表示を確かめてから選んでください。

駐車場で一晩のうちに雪が積もると、車の周りを掘り出さないと動けないことがあります。折りたたみ式のスコップなら、トランクに入れたままにしておけます。

まとめ

  • チェーン規制区間は国土交通省が指定する全国13区間だけが対象で、大雪特別警報級の異例の降雪時に発令される
  • 冬用タイヤ装着義務は都道府県の公安委員会規則によるもので、道路交通法第71条第6号にもとづき、積雪・凍結路全般が対象になる
  • 月山道路(山形県)と山中湖・須走(山梨県・静岡県)は、登山口へ向かう道そのものにチェーン規制の指定区間がある
  • 都道府県別の条項番号は改正で変わることがあるので、行き先と途中で通る都道府県の警察のページで最新の文言を確認する
  • 石川県の反則金は普通車6千円。他の都道府県が同じ額とは限らない

通る道が決まったら、駐車場の場所も合わせて調べておくと安心です。住所の無い登山口の駐車場はマップコードで目的地を設定する方法にまとめています。山域によっては登山届の提出も必要です。対象山域は登山届が必要な山はどこかで確認できます。

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