登山届・登山計画書が必要な山はどこか。義務になる6県の山域と提出期限

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

「登山届は出したほうがいい」とはよく言われますが、出さないと罰則がある山域があることは、あまり知られていません。

この記事でわかること

  • 登山届が義務になる6県と、その対象山域
  • 山域ごとの提出期限と、罰則の有無
  • 乗鞍岳のように2つの県にまたがる山の扱い
  • 三浦富士のような、義務のない低山での出し方
  • 提出方法と書く内容、装備欄に書くもの

結論から書くと、登山届は全国一律の義務ではありません。 ただし条例で義務化している県があり、そのうち一部には過料や罰則の規定があります。しかも対象は「県内全域」ではなく、特定の山域と期間に限られます。

条例は改正されるので、入山前にご自身でも最新の記載を確認してください。

登山届と登山計画書は同じもの

呼び方は県や書類によって「登山届」「登山計画書」「入山届」と分かれますが、中身は同じです。誰が、いつ、どのルートを、どんな装備で歩くかを書いて、警察や自治体(条例で決められた提出先)に出します。

出す相手は2つあります。

  • 提出先(警察・自治体):遭難したときに、捜索の範囲と人数を決める材料になる
  • 家族や職場:帰ってこないことに最初に気づき、通報する人

新潟県警の案内も、提出とあわせて「家族や職場等にも日程を知らせてください」と書いています。提出先に出しても、家族が予定を知らなければ、異変に気づくのが遅れます。

提出が義務の県と、その期限

県の公式ページで、登山届の提出を条例で義務にしていると確かめられたのは次の6県です。

県 対象 期限 罰則
岐阜県 北アルプス地区(焼岳を含む)、御嶽山・白山・乗鞍岳の指定区域 ページに記載なし 5万円以下の過料
群馬県 谷川岳の「危険地区」(冬山期間を除く) 10日前まで あり
富山県 剱岳および周辺山域(12月1日〜翌年5月15日) 20日前まで ページに記載なし
長野県 指定登山道 ページに記載なし ページに記載なし
山梨県 富士山(山梨県側の標高3,000m以上)・八ヶ岳・南アルプスの指定区域(12月1日〜翌年3月31日) ページに記載なし ページに記載なし
新潟県 新潟焼山の山頂から半径2km以内 ページに記載なし あり

北・中央・南アルプスと八ヶ岳に行くときは、まず義務の対象かどうかを確かめておくと迷いません。

登山届の提出箱がある登山口

岐阜県は過料の金額まで決まっている

北アルプスの稜線の登山道

岐阜県の山岳遭難防止条例は、対象地区をこう定めています。

  • 北アルプス地区(焼岳を含む)
  • 活火山地区: 御嶽山、白山、乗鞍岳

罰則の記載は明確です。

登山届を提出せず登山した者、虚偽の登山届を提出して登山した者は、5万円以下の過料が科せられます

対象は段階的に広がってきました。条例の施行は2014年12月1日です。そのあと2015年4月1日に御嶽山と焼岳の一部、2016年12月1日に白山、2019年12月1日に乗鞍岳が対象に加わりました。

罰則の施行日は別に決まっています。北アルプス地区・御嶽山・焼岳は2016年12月1日、白山は2018年12月1日、乗鞍岳は2021年12月1日からです。

提出方法は幅広く用意されています。登山届ポストへの投函のほか、持参、郵送、FAX、ホームページからのオンライン、メール。オンラインの届出先としては、岐阜県北アルプス山岳遭難対策協議会、日本山岳ガイド協会、ヤマップが挙げられています。

「オンラインで出したから紙は不要」で問題ありません。 岐阜県はオンラインもポストも届出として認めているので、どちらか一方で足ります。逆に言えば、登山口のポストに入れる方法も引き続き有効です。紙で書いたものを、家族に渡す控えにしておくのは無駄になりません。

北アルプスは岐阜・長野・富山の3県にまたがります。稜線を縦走して県境を越える計画では、通る県それぞれの決まりがかかります。 岐阜側から入って長野側へ下りるなら、岐阜県の届出と、長野県の指定登山道に当たるかどうかの両方を確かめておきます。

群馬県の谷川岳は「10日前まで」

冬の谷川岳

群馬県警の案内によると、対象は谷川岳の「危険地区」で、冬山期間(12月1日〜翌年2月末日)を除く期間の登山が対象です。

提出方法にも具体的な指定があります。登山届2通を、登山しようとする10日前までに谷川岳登山指導センターへ提出。特定の山岳団体の会員で証明書の交付を受けている場合は、登山計画書1通で足ります。

2025年4月15日からは、書面に加えてオンライン(コンパス)でも出せるようになりました。

出さないまま危険地区に登った場合や、知事が指定した登山禁止に違反した場合は、条例に基づく罰則の対象です。

10日前までという期限は、思い立って週末に行く、という計画の立て方だと間に合いません。ここが実務上いちばん引っかかる点です。

富山県の剱岳は「20日前まで」

積雪期の立山

富山県のページによると、対象は剱岳および周辺山域で、期間は12月1日から翌年5月15日まで。提出期限は登山する日の20日前までで、これが義務として定められています。

3週間近く前です。積雪期の剱岳に入る計画は、装備や体力の準備だけでなく、この期限から逆算する必要があります。提出はオンライン登山届「コンパス」または富山県電子申請サービスが指定されています。

罰則の記載はページ上にありません。ただし、12月1日から翌年4月15日までに特別危険地域へ登る計画には、登山の中止または計画の変更を求めると書かれています。

長野県は「指定登山道」が対象

白馬村から見た冠雪の北アルプス

長野県登山安全条例は、「遭難の発生のおそれが高いと認められる山岳の登山道」を指定登山道として定め、そこを通行する際に登山計画書の届出を求めています。

指定登山道は平成28年4月11日付けで指定され、令和7年3月10日付けで変更されています。

対象の山域は広く、長野県の届出のページは代表的な山岳を次のように挙げています。

  • 北アルプス:白馬岳、唐松岳、鹿島槍ヶ岳、燕岳、常念岳、槍ヶ岳、穂高岳、乗鞍岳、焼岳など
  • 中央アルプス:木曽駒ヶ岳、宝剣岳、空木岳、恵那山など
  • 南アルプス:甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳、塩見岳、荒川岳(前岳)、赤石岳、光岳など
  • 八ヶ岳:蓼科山、北横岳、天狗岳、赤岳、阿弥陀岳など
  • 志賀・苗場:岩菅山、苗場山、鳥甲山など
  • 戸隠:高妻山、戸隠山、飯縄山、黒姫山など
  • 上信国境:根子岳、四阿山、浅間山(前掛山)、黒斑山など
  • 奥秩父:甲武信ヶ岳、金峰山、小川山など
  • 御嶽山

どの登山道が指定されているかは、同じページの位置図(PDF)で確かめられます。指定は見直されるので、行く予定の道が入っているかは、出かけるたびに見ておきます。

出し方は、ながの電子申請サービス、コンパスやYAMAP、FAX、郵送、登山口の登山ポストです。登山ポストがない登山口もあるので、ポストだけを当てにしないほうが確実です。

山梨県は冬の富士山・八ヶ岳・南アルプス

山梨県の登山・山岳情報ポータルによると、2017年10月に「山梨県登山の安全の確保に関する条例」が施行され、一部の山域で登山計画書の提出が義務になりました。

義務になるのは12月1日から翌年3月31日までの冬の期間で、指定区域は次のとおりです。

  • 富士山:山梨県側のうち、標高3,000m以上
  • 八ヶ岳:赤岳、権現岳、編笠山
  • 南アルプス:鋸岳、甲斐駒ヶ岳、アサヨ峰、鳳凰山、仙丈ケ岳、小太郎山、北岳、間ノ岳、農鳥岳、笹山、笊ヶ岳

提出はコンパス、メール、FAX、郵送、登山ポストで、山岳ごとに提出先が異なります。罰則と提出期限は、県のページには書かれていません。

条例の概要は、指定区域に冬の期間に入るときを届出の義務とし、それ以外の区域は届出に努めるもの(努力義務)と書き分けています。

甲斐駒ヶ岳・仙丈ケ岳・赤岳は、長野県の指定登山道の山岳にも入っています。冬に県境の稜線を歩く計画では、両県の決まりをそれぞれ確かめておきます。夏の富士山の手続きは富士山の入山規制の記事にまとめました。

新潟県は新潟焼山の山頂から2km

新潟県の新潟焼山の条例のページによると、「新潟焼山における火山災害による遭難防止に関する条例」が2015年6月1日に施行されています。

対象は新潟焼山の山頂から半径2km以内の活火山地区です。登山だけでなく、魚釣りや山菜採りの目的で入る場合も含まれます。届出をせずに登山した場合は罰則が適用されます(金額はページに書かれていません)。

区域の外は条例上の義務はなく、提出が勧められています。出し方は、コンパス、YAMAP、メール・郵送・FAX・持参(新潟県防災局防災企画課。持参は糸魚川・上越の地域振興局でも可)、警察経由、登山口などのポストです。ポストは冬の間は撤去されます。

乗鞍岳は岐阜県と長野県の両方で対象

乗鞍岳は岐阜県と長野県の県境にある山で、両方の県の届出の対象に入っています。 岐阜県側は指定の3区域、長野県側は指定登山道を通るときが対象です。

  • 岐阜県側:条例の対象として、2019年12月1日から届出が義務、2021年12月1日から罰則が施行されています。対象は「乗鞍岳畳平区域」「乗鞍スカイライン区域」「乗鞍山麓五色ヶ原の森」の各区域です
  • 長野県側:指定登山道の対象山域(北アルプス)の代表的な山岳に、乗鞍岳が入っています。どの登山道が指定されているかは、長野県のページの位置図(PDF)で確かめられます

岐阜県の届出は過料の規定があるぶん、出し忘れの影響が大きくなります。県境をまたいで歩くなら、北アルプスの縦走と同じく、両県の決まりがかかります。オンラインのコンパスは、岐阜県と長野県のどちらも届出先として挙げています。

期限から逆算する

期限のある山域は、計画を立てる段階で提出日をカレンダーに入れておくのが確実です。

行き先 提出の期限 入山日が土曜なら
積雪期の剱岳周辺(富山) 20日前まで 3週間前の土曜まで
谷川岳の危険地区(群馬) 10日前まで 前々週の水曜まで
北アルプスなど(岐阜) 期限の記載なし 入山前に提出
指定登山道(長野) 期限の記載なし 入山前に提出
冬の指定区域(山梨) 期限の記載なし 入山前に提出
新潟焼山の2km以内(新潟) 期限の記載なし 入山前に提出

※ 富山・群馬は「〇日前まで」を、入山日を含めずに数えた目安です。迷ったら1日早く出しておくと安心です。

天気で日程をずらすと、期限のある山域では出し直しになります。 予備日を含めた日程で出しておくか、変更の扱いを提出先に確認しておくと慌てません。

義務のない山でも出す先はある

条例の対象ではない山域でも、提出を受け付けている県警は多くあります。新潟県警はインターネット・アプリでの提出を勧めています。

横須賀市の三浦富士のような低山も同じです。横須賀市の観光情報サイトによると、津久井浜から三浦富士、砲台山、武山を巡るハイキングコースが整備されています。神奈川県警の案内は、提出を勧める書き方で、県内の山で提出を義務にする記載はありません。決まった様式はなく、書く項目だけが示されています。

出し先は、登山口の投函箱、郵送またはFAX、神奈川県警のオンラインの届出フォーム、YAMAPやコンパスなどのアプリです。神奈川県警は、遭難などの事故があったときに、協定に基づいてこれらのシステムに登録された情報を見て、捜索救助に使っています。

低山の日帰りでも道迷いは起きるので、オンラインで出しておけば手間はほとんどかかりません。同じ案内は、義務化されている山域もあるので前もって調べておくように、とも書いています。県外の山へ行くときは、この記事の表で行き先の県を見ておきます。

知らずに出さないとどうなるか

罰則の有無より先に、現実的な問題があります。

まず数字です。警察庁の令和7年における山岳遭難の概況等によると、令和7年の山岳遭難は3,122件、遭難者は3,623人。そのうち死者・行方不明者は332人です。遭難者の47.6%は60歳以上で、態様は道迷いが30.9%と最も多く、転倒19.2%、滑落17.3%が続きます。

道迷いは、本人も自分がどこにいるか分からない状態です。どのルートを歩くつもりだったかが分かっているかどうかで、捜索の始まり方が変わります。

捜索の初動が遅れます。 登山届は、どのルートを、いつ、何人で歩く予定かを伝える書類です。これが無ければ、家族が異変に気づいて通報しても、どこを探せばよいか分かりません。捜索範囲が広がれば、それだけ発見は遅れます。

そして捜索費用は原則として本人・家族の負担です。民間ヘリや民間の救助隊が出れば、費用は積み上がります。登山届は、その規模を小さくするための材料でもあります。

単独で歩く人ほど、登山届の意味は大きくなります。 一緒に歩く人がいなければ、遭難を知らせる人もいません。同じ資料では、単独登山の遭難者は1,367人で、そのうち死者・行方不明者は209人です。

提出方法は3つ

1. オンライン(推奨)

コンパス(日本山岳ガイド協会) と YAMAP が、複数の県で正式な提出先として認められています。一度登録すれば計画の使い回しができ、下山通知まで一貫して扱えます。岐阜県は両方をオンライン届出先として挙げています。

YAMAPとコンパスは、どちらか一方に出せば足ります。ただし積雪期の剱岳は、コンパスか富山県の電子申請サービスと指定されています。行き先の県が挙げている提出先から選びます。

2. 登山口のポスト

昔からある方法で、いまも有効です。ただし当日その場で書くことになるため、前もって出す義務がある山域(群馬10日前、富山20日前)では要件を満たしません。ポストのない登山口や、冬の間は撤去されるポストもあります。

3. 郵送・FAX・持参

岐阜県はこれらも認めています。期限のある県では、郵送は届くまでの日数を見込んで早めに出します。期限の数え方は、提出先に確かめておくと確実です。

書く内容

条例の様式は県によって異なりますが、共通して求められるのは次の項目です。

  • 氏名、住所、連絡先、緊急連絡先
  • 入山日と下山予定日、下山予定時刻
  • 登る山と具体的なルート(登山口・経由地・下山口)
  • パーティの人数と各人の連絡先
  • 装備(テント、ツェルト、食料の日数、通信手段)
  • エスケープルート

ルートを具体的に書くことがいちばん重要です。「〇〇岳」だけでは捜索範囲は絞れません。

グループで行くときは、パーティで1通にまとめ、全員の氏名と連絡先を書くのが一般的です。ただし様式は県ごとに違い、谷川岳のように「2通」と通数が決まっている場合もあるので、提出先の案内に合わせます。

記入の例(1泊2日の場合)

書き方のイメージです。山名・時刻は架空の例です。

項目 書き方の例
山域・山名 北アルプス 〇〇岳
日程 10月〇日(土)入山 → 〇日(日)下山、予備日 〇日(月)
ルート(1日目) 〇〇登山口 7:00 → 〇〇分岐 → 〇〇小屋(泊)15:00
ルート(2日目) 〇〇小屋 6:00 → 〇〇岳山頂 → 往路を下山 → 〇〇登山口 13:00
エスケープ 悪天時は〇〇分岐から〇〇沢コースで下山
宿泊 〇〇小屋(予約済み)
下山連絡 2日目16:00までに家族へ連絡。連絡がなければ19:00に通報
車 〇〇登山口駐車場、車種・色・ナンバー

時刻を入れると、どこまで進んでいたかを捜索する側が見積もれます。エスケープルートは、予定のルートで見つからないときに次に探す場所になります。

家族に渡すときに足すこと

提出先に出す書類と同じものを家族にも渡し、次の3つを口頭でも決めておきます。

  • 何時までに連絡がなければ通報するか(下山予定時刻から数時間後に決めておく)
  • 通報先(110番、または入山した地域の警察署)
  • 服装とザックの色(上空や遠くから探すときの手がかりになる)

「遅くなっても心配しないで」と言って出かけるのは逆効果です。通報の時刻を決めておけば、家族は迷わずに動けます。

計画を変えたとき、下山したとき

計画を変えたら、提出先と家族の両方に知らせます。 ルートや下山日が変わったのに届がそのままだと、違う場所を探されることになります。

下山したら、下山の連絡を忘れずに。 オンラインのコンパスも「下山通知を忘れずに」と案内しています。家族への「下りた」の一言も同じです。連絡がないまま時間が過ぎれば、決めておいた時刻に通報されます。

装備欄に書くもの

様式には装備を書く欄があります。何を挙げればよいかは、警察庁の令和7年における山岳遭難の概況等が目安になります。

挙げられているのは、その山の気候に合った服装、登山靴、ヘルメット、レインウェア、ツェルト、地図(アプリを含む)、コンパス、行動食。そして遭難時に助けを呼ぶための携帯電話・無線機・予備バッテリーです。

ヘルメットをどこで被るのかは登山用ヘルメットはどこで被るのかに、紙の地図の入手は地理院地図で登山の下調べをするにまとめました。

実際に持つものに落とすと、次の4つに整理できます。同じ内容を日帰りの分量で並べたものが日帰り登山の持ち物にあります。

照明と通信

  • ヘッドランプ(予備電池も)
  • 携帯電話
  • モバイルバッテリー

日没に間に合わなかったときと、救助を呼ぶときの装備です。同じ資料によると、遭難の76.3%は現場から通信手段で救助を要請しています。

ヘッドランプは乾電池式か充電式かで備え方が変わります。乾電池式は予備電池を持てば復帰できます。充電式はモバイルバッテリーと電力を共用できる反面、そのバッテリーが尽きると両方止まります。

軽さを優先するなら、数十グラムの超軽量タイプがあります。予備の光源として1つ足しておく用途にも向きます。

乾電池式で防水のものは、予備電池を持つ前提の構成になります。

充電式は、行動中にモバイルバッテリーから足せます。ただし電源が1つにまとまるので、バッテリーの残量管理はより重要になります。乾電池でも点くハイブリッド型なら、その弱点を補えます。

モバイルバッテリーは、表示された容量がそのまま使えるわけではありません。 電圧の変換と損失で、実際にスマホへ入るのは6〜7割です。10,000mAhのものでも、4,000mAhのスマホなら1.6回分ほどになります。

日帰りから1泊なら10,000mAhが目安です。山では重量がそのまま負担になるので、重さが明記されているものを選ぶと計算が立ちます。

連泊やパーティで共用するなら20,000mAh。ケーブルを忘れると容量は無意味になるので、本体にケーブルが入っているものは、その失敗を構造的に防げます。

明るさと点灯時間の関係、防水等級の差は登山用ヘッドランプの選び方に、容量の見積もり方と寒さで減る分は山でスマホの電池を切らさないにまとめました。

安全と救急

  • 救急セット(常備薬)
  • エマージェンシーシート(レスキューシート)

エマージェンシーシートは、動けなくなったときに体温を保つためのものです。軽くて小さいわりに、行動不能から救助までの時間を支えます。

救急セットは、絆創膏や消毒、テーピング、常備薬をまとめて持つためのものです。中身は自分で入れ替える前提です。持病の薬や、自分がよく起こす不調に合わせないと意味がありません。セットを買わずに、仕切りのあるポーチへ自分で詰める方法もあります。

シートを袋状にしたヴィヴィ(簡易シュラフ)なら、風で剥がれずに全身を包めます。シートより少し重くなりますが、ザックの隅に入る大きさです。一度広げると畳み直しにくいので、中身の確認は家で済ませておきます。

ナビゲーション

  • 登山地図(紙)
  • コンパス
  • GPSアプリ

資料は紙とアプリの併用を求めています。どちらかではなく、両方でより正確に位置が分かるから、という理由です。

遭難の態様では道迷いが30.9%で最多です。紙の地図とコンパスは電池を使わないので、アプリの代わりではなく保険として持ちます。

コンパスは、地形図と組み合わせて初めて働きます。持つだけでは現在地は分かりません。 使い方を知らないまま持つより、事前に地図と合わせる練習をしておくほうが確実です。ベースプレート式は地図の上に置いて方位を測れます。

そのほか

  • ホイッスル
  • 飲料水
  • 行動食

ホイッスルは、声を出し続けられない状況で居場所を知らせるためのものです。

水は容器ごと持つことになります。広口のボトルは残量が見えて、洗いやすく、凍らせたものを入れられるのが利点です。飲み口が広いぶん、歩きながら飲むには向きません。行動中に口をつける前提なら、ハイドレーションや細口と使い分けます。

行動食は、途中で足りなくなると判断力から先に落ちます。行動時間から逆算して、予定より少し多めに入れておきます。

書いたものは実際に持つ

当たり前に見えますが、ここが装備欄の意味です。届に書いた装備は、捜索する側の判断材料になります。 ツェルトを持っていると書いてあれば、その晩を越えられる前提で動けます。書いて持たないと、その前提が崩れます。

雨具は登山用レインウェアの選び方に、ポールはトレッキングポールの選び方にまとめています。

まとめ

  • 登山届は全国一律の義務ではないが、条例で義務化している県がある
  • 岐阜県は5万円以下の過料。北アルプス・御嶽山・白山・乗鞍岳が対象
  • 群馬県の谷川岳「危険地区」は10日前まで、罰則あり
  • 富山県の剱岳周辺は12月1日〜5月15日で20日前まで
  • 長野県は指定登山道が対象。指定は見直される
  • 山梨県は12月1日〜3月31日、冬の富士山(3,000m以上)・八ヶ岳・南アルプスの指定区域が対象
  • 新潟県は新潟焼山の山頂から2km以内が対象で、罰則あり
  • 乗鞍岳は岐阜県(指定の3区域)と長野県(指定登山道)の両方で対象
  • 義務のない山でも、県警やアプリで提出を受け付けている
  • 期限のある県では、登山口のポストでは間に合わない。提出日をカレンダーに入れる
  • 提出先とは別に、家族にも同じ計画を渡し、通報する時刻を決めておく
  • 計画を変えたら知らせ、下山したら下山連絡をする
  • 罰則より、捜索の初動と費用のほうが実害は大きい
  • 装備欄には照明・通信、救急、ナビゲーション、水と行動食を書く。書いたものは実際に持つ

同じ「入山前に確認しておくこと」として、熊スプレーの運搬ルールとマダニ対策も用意しています。

出典

画像クレジット

  • 登山届投入箱(アイキャッチ): 登山届投入箱.jpg) by Nori Norisa(CC BY 2.0)
  • 登山届の提出箱がある登山口(濁河温泉): Post of Mountaineering (Nigorigo-onsen).jpg) by Alpsdake(CC BY-SA 4.0)
  • 北アルプスの稜線の登山道: Adobe Stock #536222072
  • 冬の谷川岳: Adobe Stock #283163156
  • 積雪期の立山: Adobe Stock #471155934
  • 白馬村から見た冠雪の北アルプス: Adobe Stock #801656434
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