山や河原で焚き火をしてよい場所。森林法と消防法と自然公園法の線引き

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

焚き火について調べると、「禁止されている」と「禁止する法律はない」の両方が出てきます。どちらも半分あたっています。

焚き火そのものを一律に禁じる法律はありません。 そのかわり、別々の法律が別々の角度から線を引いています。全部を通ったときだけ火をつけられる、という構造です。

この記事でわかること

  • 焚き火の可否を決めている4つの確認
  • 国立公園でたき火が許可制になる区域
  • 森林法の「火入れ」が焚き火とどう違うか
  • 市町村が出せる制限と、届出の話
  • ゴミを燃やすことが別の罪になる理由

河原に置いた焚き火台と薪

確認する順番

上から順に見ていくと、たいていの場所で答えが出ます。

順番 確認すること 決めているもの
1 その土地で火を使ってよいか 土地の所有者・管理者。キャンプ場なら場内のルール
2 区域の指定がかかっていないか 自然公園法など
3 いま制限が出ていないか 市町村。乾燥期の制限や火災警報
4 何を燃やすか 廃棄物処理法

よくあるのは、1番を飛ばして3番から調べるやり方です。法律に書いていなくても、その土地の管理者が禁じていれば、そこでは焚き火をしません。

国立公園の特別保護地区は許可制

自然公園法は、特別保護地区の中で許可なしにできない行為を並べています。その一項がこれです。

火入れ又はたき火をすること。

同じ並びには、木竹を損傷すること、木竹以外の植物を採取すること、落葉や落枝を採取することも入っています。焚き付けに落ち枝を集める行為まで含まれるというのが、この条文の及ぶ範囲です。

特別保護地区は、国立公園の中でも景観を維持するために特に指定された区域です。区域の内外は地図でしか分かりません。歩いているだけでは境界が見えないので、事前に調べることになります。禁止行為の全体像は国立公園でやってはいけないことにまとめました。

森林法の「火入れ」は焚き火ではない

焚き火の話でよく引かれるのが、森林法の火入れの規定です。ただ、この条文が想定しているのは焚き火ではありません。

森林や、森林に接近している原野・山岳・荒廃地などで火入れをするには、市町村長の許可が要ります。そして許可できる目的は、造林のための地ごしらえ、開墾準備、害虫駆除、焼畑などに限られています。

つまり、レジャーの焚き火は、そもそも許可の対象として想定されていないわけです。無許可の火入れには20万円以下の罰金、火入れした森林が保安林なら30万円以下の罰金が定められています。他人の森林を焼いた場合はさらに重くなります。

森林で焚き火をするなら、この条文よりも先に、その森林の所有者の許可という1番の関門があります。落ちている枝を燃料にする行為も、森林の産物を採る行為です。山菜やきのこを勝手に採ると何の罪になるかと同じ話が、薪にも当てはまります。

林床に落ちた枯れ枝

市町村は期間を区切って止められる

消防法には、短いけれど強い条文があります。

市町村長は、火災の警戒上特に必要があると認めるときは、期間を限つて、一定区域内におけるたき火又は喫煙の制限をすることができる。

乾燥注意報が続く春先などに、この制限が出ます。去年できたことが今年できないのは、この仕組みのためです。

さらに同じ法律は、屋外で火災の予防に危険だと認められる行為について、消防吏員が禁止や停止、消火準備を命じられるとしています。命令の対象として、火遊び、喫煙、たき火が並んでいます。残り火や灰の始末も命令の対象です。

市町村の火災予防条例で、たき火をするときの届出を求めている地域もあります。迷ったら、その市町村の消防に聞くのが早いです。

ゴミを燃やすのは別の話

焚き火のついでに、包装やレジ袋を燃やしてしまう人がいます。これは焚き火の可否とは別の規制に触れます。廃棄物の処理及び清掃に関する法律は、こう定めています。

何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。

除外されるのは、処理基準に従った焼却、他の法令にもとづく焼却、そして公益上や社会の慣習上やむを得ないものなど、政令で定められたものです。キャンプの焚き火自体は後者の枠で扱われますが、そこにゴミを入れた時点で話が変わります。

燃え残りも問題になります。アルミの内側が付いた包装や食品トレイは燃えきらず、灰の中に残ります。持ち帰るほうが早いです。

「相当の注意」を欠くと軽犯罪法

もうひとつ、火の扱いそのものに関する古い規定があります。軽犯罪法は、拘留または科料にあたる行為のひとつとして、相当の注意をしないで建物や森林その他燃えるような物の附近で火をたいた者を挙げています。

「燃えるような物の附近」は、山ではほぼどこでもです。落ち葉の上、枯れ草の中、テントの脇。火を焚く場所より、火のまわり1mを整えることのほうが効いてきます。

消火用の水を張ったバケツ

直火が禁じられている理由

キャンプ場で直火が禁じられていることが増えました。理由はいくつか重なっています。

  • 地面の中の根を焼く。表面が消えても地下でくすぶることがある
  • 石や地面に焼け跡が残り、次の利用者が同じ場所を使えなくなる
  • 消し残しが見えにくい

焚き火台を使うと、この3つがまとめて減ります。台の下に敷く難燃シートも同じ役割です。片づけたあとに、そこで焚き火をしたと分からない状態にするのが目標になります。

灰は、水をかけて完全に冷ましてから持ち帰るか、指定された場所に捨てます。土に埋めると、消えていない火が残ることがあります。避けてください。

地面を焼かないための道具

上の3つを減らすための道具です。どれも「焚き火をしてよい場所かどうか」とは別の話で、道具があるから焚き火ができる、という順番にはなりません。

火を地面から離す本体です。畳むと薄くなるので、歩いて入る場所でも持てます。

車を横付けできる場所なら、薄く畳めることより火床の広さを取る手もあります。次の2つはそちら側です。

本体に付属品をまとめたセットです。本体だけ買って足りないものを買い足す、という順番を踏まずに済みます。何が入るかは商品ページで確かめてください。

焚き火台と焼き網を兼ねる形です。焚き火と調理で台を2つ持ちたくないときの選択になります。

台の下に敷いて、輻射熱と落ちた燃えさしから地面を守ります。台の寸法より一回り大きいものを選びます。

灰と燃え残りを入れて持ち帰るためのものです。上に書いたとおり、水で冷ましてから入れます。

まとめ

  • 焚き火を一律に禁じる法律はないが、別々の法律が別々に線を引く
  • 最初に確かめるのは、その土地の管理者が許しているか
  • 国立公園の特別保護地区では、たき火も落枝の採取も許可制
  • 森林法の火入れは、造林や害虫駆除などの目的に限られた制度
  • 市町村長は期間を限ってたき火を制限できる
  • ゴミを燃やす行為は廃棄物処理法で原則禁止
  • 相当の注意を欠いた火は軽犯罪法に触れる
  • 直火をやめて台を使い、灰は冷ましてから持ち帰る

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