山菜やきのこを勝手に採ると何の罪になるか。森林窃盗と入林のきまり

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

春のフキノトウ、秋のきのこ。山で見つけると、つい手が伸びます。

ただ、山に生えているものは落ちているものとは違います。森林には所有者がいて、生えているものはその森林の産物として扱われます。ここを外すと、楽しみが窃盗になります。

この記事は、採ってよい場所の見分け方に絞ります。種類の同定は扱いません。

この記事でわかること

  • 他人の森林で採ったときに問われる罪と罰則
  • 保安林で重くなる理由
  • 国有林に入るときの手続き
  • 国立公園や条例で乗ってくる制限
  • 採る前に確かめる順番

春の斜面に生えたフキノトウ

場所で扱いが変わる

表にすると、こうなります。

場所 採取の扱い 根拠
私有林 所有者の許可が要る 森林法の森林窃盗
保安林 許可なく下草の採取などができない 森林法。罰則も重い
国有林 入林手続きに加えて、採取には別の手続きが要る場合がある 国有林野の管理
国立公園の特別地域 植物の採取に許可が要る 自然公園法
自治体が条例で守っている区域 区域ごとに制限 各条例

どこも「自由に採ってよい」欄がありません。 山に入る前に、その山が誰の土地かを確かめるところから始まります。

森林窃盗という罪がある

窃盗というと刑法を思い浮かべますが、森林については森林法に専用の規定があります。

森林においてその産物(人工を加えたものを含む。)を窃取した者は、森林窃盗とし、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。

「産物」なので、木材だけの話ではありません。山菜もきのこも、その森林の産物です。

保安林の中だと重くなります。同じ法律の次の条は、森林窃盗が保安林の区域内で犯されたときは5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金としています。

保安林は、水源の涵養や土砂の流出防止のために指定されている森林です。そこの下草を持ち去る行為は、木を切るのと地続きだ、という扱いです。

国有林は「入る」と「採る」が別

国有林なら公共のものだから自由、とはいきません。林野庁は国有林への入林を希望されるみなさまへで、こう書いています。

国有林では、国有林野の適切な管理のため、また、国有林野へ入林されるみなさまの安全を確保するために、一定の場合を除いて事前の入林手続きを行っていただいています。

そして、保安林内では樹木の損傷や下草の採取などが禁止されていること、樹木の損傷や林産物の窃取は法により罰せられることも明記されています。

動植物を採る場合は、入林手続きとは別に、都道府県や環境省などでの手続きが要ることがあります。入林届を出したから採ってよい、にはならないという構造です。

手続きの窓口は、入る国有林を管轄する森林管理局や森林管理署です。区域によって扱いが違うので、そこに聞くのがいちばん早いです。

林道の入口に立つ国有林の標識

国立公園の中ではさらに乗る

国立公園の特別地域では、木竹以外の植物を採取したり損傷したりする行為に許可が要ります。特別保護地区ならもっと厳しくなります。

登山道が国立公園を通っていることは珍しくありません。歩いている自分がどの区域にいるのか、地図で分かるようにしておきます。禁止行為と罰則は国立公園でやってはいけないことにまとめました。

放射性物質の検査という別の線

林野庁は野生の山菜やきのこ採取にあたっての留意点で、検査の結果が一般食品の基準値である100 Bq/kgを超えた場合、該当する都県が市町村に出荷自粛を要請するとしています。

同じページは、山菜やきのこを採ってもよい場所かどうか確認すること、一部の森林では空間放射線量が高いため森林への不必要な立ち入り自体を控えるよう呼びかけが行われている地域があることも書いています。

出荷制限の状況は都県ごとに公開されています。行く地域の情報を、その年に確認することになります。

採る前に、食べられるかを確かめる

所有者の許可があっても、種類を間違えれば意味がありません。厚生労働省は毒キノコによる食中毒に注意しましょうで、こう呼びかけています。

食用と確実に判断できないキノコは、絶対に採らない、食べない、売らない、人にあげないようにしましょう。

間違えやすい例として、クサウラベニタケとツキヨタケが挙げられています。どちらも食用種と混同されやすいきのこです。

この記事では見分け方を書きません。写真と文章で同定できる、という前提そのものが危ういからです。地域の講習会や、確実に分かる人に見てもらうのが現実的な道になります。

手元に置く図鑑を挙げますが、図鑑で判断がつくという意味ではありません。 似た種を並べて見るためのもので、迷ったら採らない、という原則は変わりません。

似たきのこを並べて原寸で載せる作りです。見分けの難しい種を、隣どうしで見比べられます。

山菜ときのこを1冊にまとめたものです。季節ごとに引けます。

倒木に生えたきのこ

クマと同じ場所に立っている

もうひとつ、忘れやすい前提があります。山菜ときのこの採取地は、クマの採食地でもあります。

北海道の資料は、雪解けが早く山菜採りに好適な沢筋や海岸の斜面を、ヒグマの重要な採食地として挙げています。秋の実りについては、人間とクマが競合していると書いています。

つまり、採りやすい場所ほど鉢合わせやすいということです。季節ごとの動きは北海道のヒグマの一年に、本州のクマはツキノワグマはいつ動くのかにまとめました。

採取は、歩くのとは条件が違います。しゃがんで、同じ場所に長くとどまり、下を向いています。 音が出ず、視界も利きません。歩いているときより、こちらの存在が伝わりにくい状態です。

歩けば鳴りますが、立ち止まると鳴りません。 採っているあいだは手で振るか、声を出すか、別の手立てが要ります。

こちらは音を止められる型です。山菜を扱う場所によっては、鳴らしたくない場面もあります。選び方は熊鈴の選び方にまとめました。

まとめ

  • 山菜もきのこもその森林の産物。他人の森林で採れば森林窃盗
  • 罰則は3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
  • 保安林なら5年以下または50万円以下と重くなる
  • 国有林は入林手続きと採取の手続きが別
  • 国立公園の特別地域では植物の採取に許可が要る
  • 放射性物質の検査で、地域ごとに出荷自粛の要請が出ることがある
  • 食用と確実に判断できないきのこは採らない
  • 採りやすい場所は、クマの採食地でもある

川で釣る場合も、似た構造の制度があります。渓流釣りの遊漁券は何のために買うのかにまとめました。

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