北海道のヒグマの一年。冬眠明けから冬眠入りまでの季節ごとの行動

本記事はアフィリエイトリンクを含みます(PR)。リンクを経由して商品が購入された場合、運営者に収益が発生します。

注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

北海道の山に入るとき、ヒグマがいるかいないかで悩む意味はあまりありません。北海道の山野は、広くヒグマの生息域だからです。

考えることになるのは、いまの季節に、ヒグマがどこで何を食べているかのほうです。食べ物は季節で入れ替わり、その場所は人が歩く場所と重なります。

この記事では生態と季節の動きだけを扱います。出遭ってしまったときの行動は、判断が要る領域なので踏み込みません。

この記事でわかること

  • ヒグマが冬眠から出る時期と、冬眠に入る時期
  • 季節ごとに何を食べ、どこにいるのか
  • 山菜採りやきのこ採りと行動が重なる理由
  • 出没情報をどこで見るか

春先の残雪が残る沢筋

一年の動きを先に

北海道が公開しているヒグマ対策の手引きから、季節ごとの動きをまとめます。

季節 動き 主な食べ物
3月下旬から4月下旬に冬眠明け。5月下旬から7月上旬が交尾期 フキ、イラクサ、エゾニュウなどの草本。前年のドングリ
草本が硬くなり、食べ物を探す移動が活発になる セリ科の草本、アリなどの昆虫、ザリガニ、ヤマグワ
冬眠に備えて大量に食べる ミズナラなどの堅果、サルナシ、ヤマブドウ、サケ科の魚
11月下旬から12月中旬に冬眠へ (冬眠)

手引きは、年末ごろまで足跡が確認されることも珍しくない、とも書いています。カレンダーの日付でくっきり切り替わるものではありません。

春は、山菜採りの場所と重なる

冬眠明けの春先は、食べ物を求めて広く動きます。ここで問題になるのが場所です。手引きは、雪解けが早い沢筋や、草が生える海岸の斜面を、ヒグマの重要な採食地として挙げています。

雪解けが早いということは、山菜が早く出るということでもあります。人が山菜採りに向かう場所と、ヒグマが向かう場所が、同じ理由で重なります。

好んで食べるものとして、フキ、イラクサ、セリ科のアマニュウやエゾニュウが挙げられています。フキの群落に入っていくときは、そこが誰かの食卓かもしれないという前提で歩くことになります。

5月下旬から7月上旬は交尾期です。オスの成獣が、発情したメスを探して広い範囲を動きます。

夏は沢沿いとアリ塚

主な餌である植物の芽が硬くなる季節です。手引きは、この時期を食料を求める活動や移動が活発になる季節としています。

沢沿いは、セリ科の草本が生え、ザリガニがいて、涼しい。夏のヒグマにとって条件がそろった場所です。

面白いのは、アリの扱いです。倒木の下のアリ塚を掘り返して、巣ごと食べます。

手引きは、アリ塚が壊されていてアリがまだ慌ただしく動き回っていたら、掘り返した直後かもしれないので特に注意が必要だとしています。

壊れたアリ塚は、時刻まで教えてくれる痕跡だということです。

倒木と掘り返された地面

秋は木の実をめぐって競合する

秋は冬眠に備えて脂肪を蓄える季節で、食べる量が増えます。ミズナラやカシワ、ブナの堅果、サルナシ、ヤマブドウ。手引きは「人間も利用する秋の実りは、ヒグマと競合しています」と書いています。

きのこ採りや山ぶどう採りで人が入る場所は、そのままヒグマの採食地です。木の上で食べていることもあるので、地面だけを見て歩くと気づけません。

そして、実りの良し悪しがその年の行動を変えます。 堅果類が凶作の年には食べ物を探して広範囲を移動するため、人の生活圏への出没が増えると考えられています。冬眠に入る時期も、凶作の年は早まり、豊作の年は遅くなる傾向があるとされています。

「毎年この時期は大丈夫だった」が通じないのは、この年ごとの振れ幅のせいです。

体の大きさと行動圏

手引きによれば、体重はオスで150から400kg、メスで60から150kg程度。日本に生息する最大の陸上動物で、時速50kmほどで走ることができます。

行動圏はオスで数十から500平方キロメートル、メスで数から数十平方キロメートル。縄張りは持たず、個体どうしで重なり合っています。「この沢は1頭のもの」という考え方は成り立ちません。

手引きは、本来は行動が慎重で、人前に現れることを避ける動物だ、とも書いています。だからこそ、こちらの存在を早めに伝えるという対策に意味が出てきます。熊鈴の選び方で音の出し方をまとめています。

痕跡は読めるが、確実ではない

痕跡についても具体的な数字が出ています。

  • フンの直径が4cm以上あれば、ヒグマの可能性が高い
  • 前足の幅が14cm(道南では13cm)を超える個体はオスの可能性が高い
  • 爪痕は指の爪による複数の平行線になる。エゾシカが角を擦った跡と似ている

ただし手引きは、フンの識別について、正しく判断するにはある程度の経験が必要だとしています。足跡も、地面の固さや足のつき方で残り方が変わります。

痕跡は「新しいかどうか」を見るためのものと考えるのが現実的です。種類の断定は、ここでは目的になりません。

樹皮に残る縦の爪痕

出没情報とヒグマ注意報

北海道は、市街地付近での頻繁な出没や農業被害などがあったときに、ヒグマ注意報を出しています。春と秋には注意特別期間も設定されます。

行く前に見るものは2つです。道の注意喚起と、入る市町村の出没情報。市町村ごとの公開のしかたはクマの出没情報はどこで見るかにまとめました。

ゴミが個体を変える

手引きは、学習能力の高さについても書いています。ポイ捨てされたゴミのように人からエサを得られることを覚えると、人家付近に出没し、人への警戒心が低い個体が生まれてしまう、という説明です。

行動食の包み、果物の皮、食器を洗った水。持ち帰るのは景観の話ではなく、次にそこを歩く人の条件を変えないためです。

音を出す手段のひとつとして

OnTrailsが制作している熊鈴アプリです。鈴を忘れたときの保険として使えます。クマの目撃情報や熊鈴利用記録を地図上で確認できる地図表示機能もあります。

BearBell アプリのアイコン

OnTrails のアプリ

BearBell

スマートフォンを熊鈴として鳴らすアプリ。バックグラウンド再生、GPSで移動を検知して自動で鳴らす Autoモード、警告音、SOS機能。クマの目撃情報と熊鈴の利用記録を地図上で確認できます。基本機能は無料です。

アプリの詳しい説明を見る

まとめ

  • 冬眠明けは3月下旬から4月下旬、冬眠入りは11月下旬から12月中旬
  • 春の採食地は雪解けが早い沢筋と海岸の斜面。山菜採りの適地と重なる
  • 夏は沢沿いとアリ塚。壊れたアリ塚は直後の痕跡かもしれない
  • 秋は堅果と果実。凶作の年は広く動き、冬眠も早まる
  • 体重はオスで150から400kg。時速50kmで走る
  • 痕跡は目安になるが、識別には経験が要る
  • ゴミを残すと、人を恐れない個体を作ることになる

北海道へ遠征するなら、熊スプレーの運び方も先に決まります。熊スプレーは飛行機に持ち込めるかにまとめました。本州のクマについてはツキノワグマはいつ動くのかが別記事にあります。

この記事をシェア

新しい記事は X でお知らせします。

@OnTrails_JP