ドライレイヤーは何をしているのか。汗を離す層と吸う層の役割分担

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登りで汗をかき、稜線に出た瞬間に体が冷える。あの感覚を減らすために売られているのが、ドライレイヤーと呼ばれる一枚です。

紛らわしいのは、これが吸わない下着だということです。汗を吸って乾かす役目は上のベースレイヤーが持っていて、ドライレイヤーは汗を肌から引きはがして渡す係。2枚で1つの仕組みになっています。

この記事でわかること

  • ドライレイヤーとベースレイヤーの役割の違い
  • 撥水で離す方式と、メッシュで吸い上げる方式の違い
  • 代表的な2つの製品の考え方
  • 効きが落ちる条件
  • どちらを選ぶかの目安

畳んだアンダーウェアとベースレイヤー

比較する2つの製品

まず、つくりの違いと購入前に見る点を並べます。製品名から本文の紹介箇所へ移動できます。

製品 つくりの特徴 購入前に確認すること
ファイントラック ドライレイヤー ベーシック 撥水性のある生地を使うタイプ 肌へのフィットと、重ねる吸汗速乾ウェア
ミレー ドライナミック メッシュ 立体的なメッシュを使うタイプ メッシュの厚みを含めた、重ね着のサイズ感

どちらも上に重ねる衣類と合わせて選びます。サイズや袖の形はモデルごとに異なるため、販売ページの品番とサイズ表も確認してください。

比較する軸は3つ

製品を並べる前に、見るところを決めておきます。

  1. 汗をどう動かすか。 撥水で押し返すのか、メッシュで吸い上げるのか
  2. 生地の厚みとフィット。 肌に接する面積と、上に着るものへの影響
  3. 手入れで戻るか。 洗濯で性能が落ちるものか、戻せるものか

3番は見落とされがちです。買ったときの性能が続く前提で選ぶと、2シーズン目に評価が変わります。

撥水で汗を離す方式

ファイントラックのドライレイヤーは、撥水を軸にしています。かいた汗を撥水生地が肌から離し、上に重ねた吸汗速乾のウェアが吸い取る。ドライレイヤー自体は保水しにくいので、ベースレイヤーが濡れても肌との間は乾いたまま、という説明です。

生地には孔があり、汗はそこを通って外側へ移ります。立体的な編み構造で嵩を出すことで、濡れたベースレイヤーが肌に触れにくくなり、同時に空気の層で保温も稼ぐとしています。

オススメのポイント

  • 汗を押し返す方向の設計なので、肌に水が残りにくい
  • 薄手で、いま持っているベースレイヤーの下に足しやすい
  • 半袖から長袖、タイツまで同じ考え方でそろえられる

気になる点

  • 上に吸汗速乾のウェアが要ります。 単体では汗の行き場がありません
  • 撥水は使ううちに落ちます。洗い方で寿命が変わります
  • 薄いので、これ1枚では保温として数えられません

半袖はいちばん試しやすい形です。まず1枚で効きを確かめて、合うようなら形を増やす、という順番が無駄になりません。

メッシュで吸い上げて渡す方式

ミレーのドライナミックメッシュは、同じ目的に別の道筋で向かっています。メッシュ構造でかいた汗を素早く吸い上げ、上に重ねたベースレイヤーへ運ぶ。ベースレイヤーの汗の拡散と乾燥を助けながら、肌に触れている部分を乾いた状態に保つ。ミレーはそう説明しています。

素材はポリプロピレンで、疎水性が高いため水分をすぐ手放し、メッシュ自体も早く乾きます。厚みのあるメッシュが空気を抱え込み、肌との間に体温に近い層を作るとしています。

オススメのポイント

  • 厚みのあるメッシュが、濡れたウェアの張りつきを物理的に防ぐ
  • 空気の層ができるぶん、冷たい外気が肌に直接当たりにくい
  • 汗の量が多い人ほど、吸い上げる方向の設計が噛み合いやすい

気になる点

  • メッシュの跡が肌につきます。 見た目を気にする場面には向きません
  • 厚みがあるので、タイトなベースレイヤーと合わせると窮屈に感じることがあります
  • こちらも単体では成立しません。上に着るものとセットです

半袖のショートスリーブは、夏の行動着の下に足す想定で使いやすい形です。

メッシュ地のアップ

用途別の選び方

  • 手持ちのベースレイヤーを変えたくない。 薄い撥水タイプが足しやすいです
  • 汗の量が多く、張りつきが不快。 厚みのあるメッシュが向きます
  • 冬に使いたい。 空気の層を作るタイプのほうが、保温では有利です
  • 夏の低山だけ。 どちらでもよいので、まず1枚買って試すのが早いです

どちらの方式でも、肌に直接着て、上に吸汗速乾を重ねるという使い方は共通です。ここを外すと、どちらも仕事をしません。

層の組み立て全体はレイヤリングの考え方にまとめました。

効きが落ちる条件

ファイントラックは、効果が感じられないときの原因をFAQで公開しています。重ねる衣類や手入れの方法を見直すときに確認してください。

挙げられているのは3つです。

1. サイズがルーズなこと。

きつくない程度に身体にフィットしているか、という条件が示されています。ドライレイヤーもベースレイヤーも、緩いと汗が渡りません。

2. ベースレイヤーの側の問題。

吸汗性が落ちていたり、表面が平滑で相性が悪かったりすると効かない、とされています。上に着るものが古いと、下を新調しても変わらないということです。

3. 撥水性の低下。

使用にともなう低下に加えて、洗濯時の洗剤成分や柔軟剤などの助剤が生地に残ることが原因として挙げられています。まず適切に洗い、洗剤成分などをよくすすぎます。改善しない場合、ドライレイヤーにはメーカー指定条件でのアイロンがけ、上に重ねるベースレイヤーには吸汗加工剤が案内されています。吸汗加工剤はドライレイヤーの撥水回復に使うものではありません。他社製品にはそのまま当てはめず、洗濯表示と各メーカーの案内を確認してください。

つまり柔軟剤は敵です。良かれと思って足したものが、機能を止めます。

洗濯した下着を干したところ

まとめ

  • ドライレイヤーは汗を吸う下着ではなく、渡す層
  • 撥水で離す方式と、メッシュで吸い上げる方式がある
  • どちらも上に吸汗速乾を重ねてはじめて成立する
  • 効かない原因は、サイズのゆるさ、上の層の劣化、撥水の低下
  • 柔軟剤や洗剤の残留が撥水を落とす
  • 濡れの位置を変えるだけで、汗の量は減らない
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