登山用ヘッドランプの選び方。ルーメンだけで選ぶと失敗する理由

本記事はアフィリエイトリンクを含みます(PR)。リンクを経由して商品が購入された場合、運営者に収益が発生します。

注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

売り場で真っ先に目に入るのは「300ルーメン」という数字です。でも、そこだけ見て買うと山で困ります。明るいモードほど、電池が早く終わるからです。

先に結論を書くと、見るべきは最大の明るさではなく、ふだん使うモードで何時間もつかです。

選ぶ基準は4つ

1. ルーメンは「照射距離」と「点灯時間」とセットで読む

同じ製品でもモードによって数字は大きく変わります。たとえばモンベルのマルチパワー ヘッドランプは、公式スペックでこうなっています。

  • 電球色LED: 10ルーメン / 5m / 単4形電池で120時間
  • ワイドモード: 40ルーメン / 11m / 70時間
  • スポットモード: 300ルーメン / 60m / 20時間

スポットモードの照射時間は20時間ですが、300ルーメンを20時間保つ意味ではありません。 乾電池式は時間とともに暗くなります。取扱説明書では、2m先が0.25ルクスになるまでを照射時間としています。カタログの一番大きい数字は、あくまで最大値であって常用値ではありません。

実際の使い方はこうなります。手元やテントの中は10〜40ルーメンで足ります。最大にするのは、暗い樹林帯を下るときと、道を探すときだけ。つまり300ルーメンは常用しません。選ぶときに見るのは、ふだん使うモードの点灯時間です。

2. 防水等級(IPX)は思っているより差がある

IPXのあとの数字が防水の強さです。同じメーカーの製品でも差があります。

  • コンパクト マルチランプ: IPX4(あらゆる方向からの水の飛まつ)
  • マルチパワー ヘッドランプ: IPX8(この製品では水深1.5m・1時間の浸水試験条件)
  • リチャージャブル パワーヘッドランプ: IPX6

この3製品では防水等級が異なりますが、充電式かどうかだけでは決まりません。IPX6は噴流水、IPX8はメーカー指定条件での水没を対象とするため、数字だけであらゆる水のかかり方への強さを順位付けすることはできません。

3. 乾電池か充電式か

これは「どちらが良い」ではなく、行動時間と気温で決まります

乾電池式は、切れても予備と交換すれば即復帰できます。上のマルチパワーは単4形3本で、ニッケル水素充電池やリチウム電池も使えます。

充電式は電池を買い足さずに済みます。リチャージャブル パワーヘッドランプはUSB Type-Cで充電でき、内蔵電池は3.7V / 1800mAh。ただし山の中で切れたら、モバイルバッテリーがないと復帰できません。

4. 重量は「電池込み」で比べる

ここは間違えやすいところです。モンベルの表記は「61g(95g)」のように、括弧の中が電池を含む重さ。本体だけの数字を見て軽いと判断すると、実際に頭に載る重さとは30g以上ずれます。

夜の道を照らすヘッドランプの光

比較表

いずれも公式ページの記載です。重量の括弧内は電池を含む値です。

製品 最大の明るさ 常用モード 防水 電源 重量
コンパクト マルチランプ 35ルーメン / 11m / 17時間 10ルーメン / 6m / 48時間 IPX4 単4形1本 22g(32g)
マルチパワー ヘッドランプ 300ルーメン / 60m / 20時間 40ルーメン / 11m / 70時間 IPX8 単4形3本 または 専用充電池 61g(95g)
リチャージャブル パワーヘッドランプ 300ルーメン / 70m / 15時間 40ルーメン / 11m / 36時間 IPX6 USB Type-C充電(3.7V / 1800mAh) 86g

1. コンパクト マルチランプ

公式ページによると、単4形電池1本で、重量22g(電池込み32g)。低輝度10ルーメン / 6m / 48時間、高輝度35ルーメン / 11m / 17時間。防水はIPX4。

オススメのポイント

電池込み32g。この軽さがすべてです。日帰りで「たぶん使わないけど、一応」という持ち方なら、この重さは迷わずザックに入ります。照射時間の数字だけでは、暗い登山道を歩く明るさが足りるとは判断できません。

気になる点

最大35ルーメン、照射距離11m。暗い登山道を歩き続けるには足りません。日没後に下る可能性がある計画で、これ一つに頼るのは無理があります。防水もIPX4で、水しぶきまでです。

2. マルチパワー ヘッドランプ

公式ページによると、単4形電池3本で重量61g(電池込み95g)。スポット300ルーメン / 60m / 20時間、ワイド40ルーメン / 11m / 70時間、電球色10ルーメン / 5m / 120時間。防水はIPX8。

オススメのポイント

IPX8という防水が際立ちます。防水には試験条件があります。電池室を正しく閉じ、パッキンなどを確認して使います。乾電池式なのもいいところで、予備を持てば行動時間の上限は自分で決められます。専用の充電池にも対応しているので、使い分けもできます。

気になる点

電池込み95g。コンパクト マルチランプの3倍です。予備の単4形3本を足せばもっと増えます。日帰りでも予定外に暗くなる可能性を考え、重量だけでなく必要な照明を確保します。

3. リチャージャブル パワーヘッドランプ

公式ページによると、USB Type-C充電式で重量86g。スポット300ルーメン / 70m / 15時間、ワイド40ルーメン / 11m / 36時間、電球色10ルーメン / 5m / 60時間。防水はIPX6。

オススメのポイント

照射距離70mは3モデルで最長です。電池を買い足す手間もないので、ふだんからモバイルバッテリーを持ち歩く人なら、こちらのほうが楽です。

気になる点

防水はIPX6で、乾電池式のIPX8より低いです。点灯時間も短く、スポットで15時間、ワイドで36時間。乾電池式の20時間 / 70時間には届きません。そして切れたときの復帰手段がモバイルバッテリーしかない。ここが乾電池式との大きな違いです。

用途別の選び方

  • 日帰り低山・保険として持つだけ … 軽さ優先。30g前後のものを常時ザックに
  • 日没後の行動があり得る計画 … 最大300ルーメン級。常用モードの点灯時間で選ぶ
  • 沢沿い・長雨 … 防水等級の高いもの。IPX8とIPX4では前提が違います
  • 山小屋泊・テント泊 … 電球色や低輝度モードがあると同室の人に配慮できます
  • 厳冬期 … 乾電池式で予備を持てる構成が扱いやすい

よくある質問

何ルーメンあれば足りますか

必要な明るさは地形、歩く速さ、配光、視力などで変わり、一律に何ルーメンで足りるとはいえません。ただしその明るさで何時間もつかは必ず見てください。数字の大きさより、ふだん使うモードでの持続時間です。

充電式と乾電池式、どちらがいいですか

山中で復帰できるかで考えてください。乾電池式は予備電池で即復帰、充電式はモバイルバッテリーが必要です。

IPX4では雨で壊れますか

IPX4は「あらゆる方向からの水の飛まつ」への耐性です。通常の雨なら想定内ですが、水没や強い水流は範囲外です。沢沿いを歩くなら等級の高いものを選んでください。

明るいほど良いのでは

明るいモードほど点灯時間が短く、電池の消耗も早い。周囲や同行者を照らして眩しくさせる問題もあります。使い分けられることのほうが実質的です。

まとめ

  • ルーメンは照射距離と点灯時間とセットで読む。最大値は常用値ではない
  • 防水等級は同じメーカーでも差がある。水没と噴流水など、試験条件も確認する
  • 乾電池式は予備で復帰できる。充電式はモバイルバッテリーが前提
  • 重量は電池込みで比べる
  • 電池は寒さで性能が落ちる。予備の光源はもう一つ持つ

装備の数値をどう読むかという点では、レインウェアの選び方でも同じ話をしています。あちらは透湿性の測定方法の違いでした。夜間や早朝に行動するなら、熊鈴の選び方もあわせて確認してください。

出典

画像クレジット

  • 夜の橋を渡るハイカー(アイキャッチ): Dreamy Night Time River Crossing by cogdogblog(CC BY 2.0)
  • 夜の道を照らすヘッドランプの光: High Trestle Trail in Winter – Night Headlamp.jpg) by Tony Webster(CC BY-SA 2.0)
この記事をシェア

新しい記事は X でお知らせします。

@OnTrails_JP