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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。
ザック選びは、色や形から入ると迷います。先に容量を決めると、候補が一気に絞れます。
この記事でわかること
- 容量を先に決める理由
- 日帰り・山小屋泊・テント泊それぞれの目安
- 容量を決めたあとに見る4つの点
- デニールという数字の意味
- UL(ウルトラライト)のザックが何を前提にしているか
- ノース・フェイス、パタゴニア、ミステリーランチなどの軽量ザックの比較
- ザック選びで解決しないこと
登山スタイルから比較する
まず、行く山と泊まり方に近い項目から読んでください。容量の数字は目安です。防寒着や水、共同装備を含めた実際の荷物が入るかを確認します。
| 予定している登山 | 比較する容量の目安 | 先に確認したい荷物 |
|---|---|---|
| 日帰りのザックを見る | 20〜25L | 雨具、防寒着、水、非常時の装備 |
| 山小屋泊のザックを見る | 30〜40L | 日帰り装備に加える着替えや宿泊用品 |
| テント泊のザックを見る | 50L以上を起点に検討 | テント、寝袋、マット、調理道具 |
候補を絞ったら、販売ページの容量だけでなく、背面長と推奨荷重も確認してください。同じ容量でも、体への合い方や扱える重さは製品によって違います。
順番は容量が先
モンベルのバックパックの選び方は、決め方の順序をはっきり示しています。まず登山スタイルから容量を決め、そのあとで機能を吟味してモデルを絞る。
逆にすると、気に入ったモデルに荷物を合わせることになります。入らないから何かを置いていく、という選び方になってしまいます。
日帰りは20〜25L
基本の装備と食料を合わせて20〜25Lが標準、というのが公式の目安です。装備を厳選すれば15Lでも対応できるとされていますが、「厳選すれば」という条件付きです。最初の1つとしては20〜25Lが扱いやすい範囲になります。
登山装備ガイド 基本編では20〜30Lと、もう少し広く取っています。分かれ目は防寒着が入るかどうかです。夏でも稜線は冷えるので、着ないまま持ち歩く前提の容積が要ります。
日帰りでも、ヘッドランプ、救急セット、エマージェンシーシートは携行するもの、地図とコンパスは必携とされています。これらは登山届の装備欄に書く内容とも重なります。日帰りだから軽く、とはなりません。 実際に23Lへ何が入るのかは日帰り登山の持ち物で並べました。

背面長の調節機構やサイズ展開は製品によります。容量だけで決めず、背負ってフィットを確かめてください。
体に沿わせるベスト型は、走らなくても揺れが少なく、行動中に前で水を取れます。日帰りの荷物なら、この形が扱いやすいです。
山小屋泊は30〜40L
日帰りの基本装備に、宿泊用のシーツや寝袋、着替え、洗面用具、数日分の食料が上乗せされます。引き算ではなく足し算なので、日帰りの装備が減るわけではありません。
モンベルの登山装備ガイド 泊まり登山編では、山小屋泊の目安を30〜45Lと、もう少し広く示しています。1泊なら30L台で足りますが、2泊3日のように連泊するなら、食料や着替え、モバイルバッテリーなどの予備が泊数分だけ増えます。 連泊の予定があるなら、30L台ではなく上限に近い40L台を見ておくと安心です。
小屋によって寝具の扱いが違うので、行く小屋の案内を見てから決めると精度が上がります。寝袋が必要なら、その収納容積も見込んで選びます。
40Lまで取れるものは、小屋泊と軽めのテント泊の両方に使えます。1つで兼ねたい場合はこの帯です。
テント泊は50L以上を起点に考える
「30Lでテント泊できるか」と調べる人もいますが、モンベルの泊まり登山編が示す目安は50〜60L。30Lはこの範囲よりかなり小さく、標準的な装備のままでは収まりません。あとで触れるUL(ウルトラライト)の48L前後の例よりも、さらに踏み込んで中身を軽くする前提が必要になります。
テント、寝袋、マット、調理器具、食料。山の衣食住をすべて背負うので、装備は大幅に増えます。公式の目安は50L以上ですが、50L以上は目安です。日数が増えれば食料と燃料がそのぶん積み上がります。
なお、この容量帯は背面長を調節できるモデルがあります。体に合わせられるぶん、店頭で合わせる意味が大きくなります。
UL(ウルトラライト)のザックは前提が違う
ここ数年、登山でもトレイルランニングでも、装備を軽くする方向が中心になっています。それに合わせて、荷物が軽いことを前提にしたザックが増えました。UL専門のブランドだけでなく、ザ・ノース・フェイス、パタゴニア、ミステリーランチといった大手も、軽さを打ち出したザックを出しています。
ULはどのくらいの軽さを指すか
ULに公式な基準はありません。よく使われる目安は、ベースウェイトが4.5kg未満というものです。ベースウェイトは、食料・水・燃料と、身に着けている服を除いた荷物の重さを指します。従来型の縦走装備は6.8〜13.6kgほど、という整理もあります(Ultralight backpacking)。
つまりULのザックは、中身が4〜5kg台まで減っている人のために作られた道具です。自分の装備がいま何kgかは、ベースウェイトの数え方で一度量っておくと、ULのザックが合うかどうかを判断できます。
作りはどこが違うか
これまでのザックは、重い荷物を腰で受けるために、背面に板やフレームを入れて作られています。ULのザックはその部分が薄いか、無いこともあります。背負い心地を捨てているのではなく、そもそも重い荷物を入れない前提で作られている、と考えるのが近いです。
| 見るところ | 一般的な縦走用ザック | ULのザック |
|---|---|---|
| 背面のフレーム | アルミや樹脂のフレーム・板が入る | 無いか、取り外せる。背面のパッドやマットで形を保つ作りもある |
| 腰ベルト | 厚いパッドで荷重を腰に乗せる | 薄い、または取り外せる |
| 生地 | 太い糸のナイロンで丈夫さを取る | 細い糸のナイロンや、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を織り込んだ薄い生地 |
| 口の閉じ方 | 雨蓋(トップリッド)とドローコード | ロールトップや巾着式で、雨蓋を省くことが多い |
| 外側のポケット | ファスナー付きを複数 | 大きなメッシュポケットと左右のボトルポケット |
フレームや厚いベルトを外すと、そのぶん数百グラム軽くなります。代わりに、重い荷物を入れたときに肩へ負担が集まりやすくなります。
耐荷重(推奨積載重量)を必ず見る
そのため、選ぶときに見る数字が1つ増えます。耐荷重(推奨積載重量)です。各社が公式ページに書いているので、そこを必ず見てください。ここを超えると、軽いはずのザックのほうが疲れます。
たとえばゴッサマーギアのG4-20 ウルトラライト42は、最大積載を30lb(約13.6kg)、快適に背負える目安を25lb(約11.3kg)としています。この数字はザックの中身すべての重さです。ベースウェイト5kgに、水2L(2kg)と、食料・燃料を2〜3kgと見て足すと、9〜10kgほどになります。ベースウェイトが7〜8kgあると、同じ計算で快適の目安を超えます。
48L前後のULのザックでテント泊をする人がいるのは、この前提があるからです。ザックを小さくしたから軽くなるのではなく、中身を軽くしたから小さいザックで足りるという順番になります。
UL・軽量ザックを比べる
ここでは、楽天・Amazonで買える軽量寄りのザックを、容量の小さい順に並べました。重量はメーカーまたは販売ページの記載です。
| 製品 | 容量 | 重量 | 背面の作り | 向く使い方 | 価格を見る |
|---|---|---|---|---|---|
| ザ・ノース・フェイス ウルトラメイフライパック | 19L | 約310g | 取り外せる背面フォーム | 日帰り、荷物の少ない山行 | 楽天 |
| パタゴニア テラヴィア・パック 28L | 28L | 726g | エアメッシュの背面(フレームの記載なし) | 日帰り〜山小屋1泊 | 楽天 |
| ミステリーランチ レイディックス31 | 31L級 | 1.4kg | 取り外せるアルミフレーム | 山小屋泊、荷物が重めの日帰り | 楽天 |
| ゴッサマーギア G4-20 ウルトラライト42 | 42L(本体30L+ポケット12L) | 703g(Mサイズ) | フレームなし。取り外せる座布団パッド | 中身を軽くしたテント泊 | 楽天 |
| ミステリーランチ レイディックス47 | 45L(販売ページの記載) | 1.6kg | アルミフレーム、背面長を無段階調節 | 軽量寄りのテント泊、山小屋の連泊 | 楽天 |
同じ「軽量」でも、300g台から1.6kgまで幅があります。フレームの無いものほど軽く、フレームのあるものほど重い荷物に耐えます。 自分のベースウェイトと泊数に合う側を選んでください。
ザ・ノース・フェイス ウルトラメイフライパック(19L)
約310gと、ここに並べた中で一番軽い日帰り向けです。生地はチャレンジセイルクロスのTX70 Ultraで、超高分子量ポリエチレンを使い、薄くても裂けや摩耗に強いとされています。背面フォームと腰ベルトは外せます。
雨具と防寒着、水、行動食で埋まる容量なので、夏の日帰りで装備を絞れる人向けです。限定販売のシリーズで、取り扱う店が限られます。
パタゴニア テラヴィア・パック 28L
公式の説明は、トレイルでの日帰りハイキングと、場合によっては1泊、という位置づけです。重さは726g。70デニールのリサイクルナイロン・リップストップに、エアメッシュの背面とショルダーを組み合わせています。
腰ベルトのポケット、ボトルが入るサイドポケット、トレッキングポールのホルダーに加え、レインカバーが付属します。日帰りの20〜25Lでは少し足りない人や、山小屋1泊を軽く済ませたい人に合います。
ミステリーランチ レイディックス31・47
ミステリーランチは、重い荷物を背負う軍用やハンティング向けのザックで知られるブランドです。レイディックスはその作りを残したまま軽くしたシリーズで、本体に超高分子量ポリエチレンを織り込んだ生地を使っています。
厳密なULより重めですが、アルミフレームが入っているぶん、荷物が重くなる日にも対応しやすいのが特長です。31は1.4kgでフレームを外せます。47は1.6kgで、背面長を無段階で合わせられます。ULに移る途中で、まだ装備が重い人の候補になります。
ゴッサマーギア G4-20 ウルトラライト42
フレームを持たない、典型的なULの作りです。Mサイズで703g。背面には取り外せる座布団型のパッドが入り、休憩時はそのまま座布団として使えます。口はロールトップで、外側に大きなメッシュポケットがあります。
上で触れたとおり、快適の目安は約11.3kgです。ベースウェイトを5kg前後まで落としてから選ぶザックだと考えてください。
フレーム付きの48Lクラス
まだ中身を減らしきれていない段階なら、フレームを残しつつ軽くした48L前後のザックが現実的です。グレゴリーのフォーカル48や、オスプレーのイーエックスオーエス48がこの帯にあたります。
順番を逆にすると失敗します。いまの装備のまま容量だけ落とすと、外付けが増えて重心が外に出ます。まず中身を減らし、そのあとで容量を決めてください。
容量を決めたあとに見るところ
公式ページは、容量の次に見る点を4つ挙げています。
1. 荷室へのアクセス方式とポケット
モデルごとに、荷室の開き方とポケットの数が違います。ここで覚えておきたいのは、ポケットは重さと引き換えだということです。多いほど便利とは限りません。生地と縫製とファスナーがそのぶん増えます。
雨蓋がドローコード式のものは、トップリッドと本体の間に荷物を挟めます。容量を少し伸ばせる形です。
2. 生地の厚さ
デニールは糸の太さを表す単位で、生地の厚さそのものではありません。同じ素材や織り方なら、太い糸は丈夫さを比べる目安になりますが、異なる素材を数値だけで比較することはできません。レインウェアの表地と同じ単位なので、見たことがあるかもしれません。
岩場でこするなら厚いほう、軽さを取るなら薄いほう。ここは丈夫さと軽さのどちらを取るかという、はっきりした交換です。ULのザックが薄い生地を使っているのは、後者を取っているからです。

3. 背面長
背面長の調節機構はモデルごとに確認します。 サイズ展開から体に合うものを選ぶ製品も、ハーネスの高さを変えられる製品もあります。
合わせるのは身長ではなく背面長(首の付け根から腰骨まで)です。背が高くても胴が短い人はいます。調節できない容量帯こそ、店頭で背負って確かめる価値があります。

4. 重量
製品そのものの重さです。同じ30Lでも数百グラム違います。中身が同じなら、その差はそのまま肩に乗ります。
雨のこと
パックカバーが付属するかは製品によります。 買ってから気づくと、最初の雨で困ります。付いていなければ別売りを用意してください。
ザックの容量とカバーのサイズを合わせてください。 小さいと掛からず、大きいと風であおられます。
まとめ
- 決める順番は容量が先、機能があと
- 日帰りは20〜25L(厳選すれば15L、余裕を見るなら30Lまで)
- 山小屋泊は30〜40L
- テント泊は50L以上
- 容量のあとに見るのはアクセス方式・生地の厚さ・背面長・重量
- デニールは糸の太さ。素材や織り方も合わせて見る
- 背面長の調節機構とサイズ展開は製品ごとに確認
- ULのザックは荷物が軽いことが前提。目安はベースウェイト4.5kg未満。耐荷重を必ず見る
- 軽量ザックは300g台から1.6kgまで幅がある。フレームの有無で背負える重さが変わる
- パックカバーの付属は製品による
装備全体の重さを数える方法はベースウェイトの数え方にまとめました。同じく重さを見る装備としてトレッキングポールの選び方と登山用レインウェアの選び方も用意しています。
出典
アイキャッチ:OnTrails/AI生成イメージ


