テント泊用スリーピングマットの選び方。R値と厚さで比べる基準

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

寝袋を新調したのに、テント泊の夜に背中から冷えてきて眠れなかった。そんな経験がある人は、原因が寝袋ではなくマットにあることが多いです。地面からの冷気は、寝袋の保温力だけでは防ぎきれません。

マット選びでよく出てくるのが「R値」という表示です。見たことはあっても、数字が何を意味するのか、厚ければ厚いほどいいのか、はっきり分からないまま選んでいる人も多いはずです。

この記事でわかること

  • R値とは何か。ASTM F3340-18という共通規格の意味
  • マットの3つのタイプ(クローズドセルフォーム/空気注入式/セルフインフレータブル)の違い
  • 季節・用途で見るR値の目安
  • 厚さと収納サイズがトレードオフになること

結論。見るのはR値、タイプは携行スタイルで決める

迷ったら、まずこの2点だけ確認します。

  • 断熱性はR値で見る。 数値が高いほど断熱性が高くなります
  • タイプは携行スタイルで決める。 パンクの心配をなくしたいならクローズドセルフォーム、荷物を小さくしたいなら空気注入式、その中間ならセルフインフレータブル

そのうえで、厚いマットほど重く、収納サイズも大きくなります。ザック全体の重さとのバランスで決めます。

マットが要る理由

モンベルは、スリーピングパッドの役割を「断熱性」と「クッション性」の2つに整理しています。クッション性に欠けると翌朝体が痛んだり、断熱性が低いと冷えで深く眠れなかったりする、としています。マットがあることで地面の冷気が伝わりにくくなり、地面の凸凹も気になりにくくなります。

寝袋は体の周りの空気を保温する仕組みです。体の下側は寝袋の中綿が体重で圧縮されてしまい、保温の役目を果たしにくくなります。地面からの冷気を防ぐのは、寝袋ではなくマットの仕事ということです。

ザックと一緒に広げたテント泊装備。折りたたみ式マットも入っている

R値とは何か。ASTM F3340-18という共通規格

モンベルは、R値(熱抵抗値)を「ASTM F3340-18に基づくスリーピングパッドの断熱性を表す指標」と説明しています。数値が高いほど断熱性が高くなります。

Sea to Summitは、R値について「研究室で厳密に管理された基準のもとで試験された値だけが、そのマットがどれだけ体の熱の吸収を防ぐかを知る手段になる」と説明しています。ASTM F3340-18は2020年1月1日から業界共通の試験規格として採用され、ブランドをまたいで比較できるようにする目的で作られました。試験時の周囲温度やマット内部の圧力なども、以前の試験方法より明確に定義されています。

寝袋の温度表示と同じで、以前はメーカーごとに試験条件がばらばらで、数字だけでは比較しづらい状態でした。今はR値という共通の数字で、ブランドをまたいで比べられます。モンベルも同じASTM F3340-18の規格でR値を表示しています。

なお、Sea to Summitは、女性向けモデルは胴体や足先の断熱材を追加している場合があり、同系統のユニセックス向けよりR値が高くなる傾向がある、とも説明しています。体格や体質で寒さの感じ方が違う人は、この点も踏まえて数値を見ます。

マットの3つのタイプ

マットは大きく3つのタイプに分かれます。

クローズドセルフォーム。 モンベルは「折り畳み式で、素早い設置・撤収が可能」なタイプと説明しています。空気を入れる作業がなく、鋭い岩やいがぐりの上に直置きしてもパンクの心配がありません。その代わり、フォームの厚みそのものが断熱・クッション性の上限になるので、厚くしようとすると畳んだときのサイズも大きくなります。

空気注入式(エア)。 モンベルは「空気で内部を膨らませる」タイプで、「コンパクトに収納できるので、荷物を小さくしたい人におすすめ」と説明しています。薄く小さく収納できる代わりに、設営のたびに息を吹き込むかポンプで空気を入れる手間があり、穴が開けばその場で断熱・クッション性能を失います。

セルフインフレータブル。 モンベルは「フォーム入りの空気注入式」で、「クッション性と断熱性に優れ、快適な寝心地が得られます」と説明しています。バルブを開けるとフォームが自力で膨らみ、仕上げに少し空気を足す仕組みです。空気注入式より重くなりやすい一方、フォームが入っているぶん、完全に平らに潰れることは少なくなります。

色違いの空気注入式・セルフインフレータブルマットを並べたところ

季節・用途で見るR値の目安

モンベルは、自社ラインアップの比較表で、製品ごとのR値に「3シーズン対応」「オールシーズン対応」のいずれかを添えています。例えば、U.L.エアパッドはR1.4で「3シーズン対応」、より厚みのあるU.L.サーモ エアパッドはR4.9で「オールシーズン対応」です。この表を見ると、R値が上がるほどオールシーズン対応に近づく傾向があります。

ただし、どの数値からオールシーズン向けに切り替わるという境界線は、モンベル自身も示していません。添えられているのは「R値はパッドを選択する際の目安としてください」という一文だけです。季節名だけで何度のR値を選べばいいかは断定できないので、同じタイプ・同じ使用シーンの製品どうしでR値を比べて判断するのが実用的です。

厚さと収納サイズはトレードオフになる

厚さを出せば寝心地はよくなりますが、そのぶん収納サイズも重量も大きくなりやすい、というのが基本の傾向です。ただし同じ厚さでも、素材や構造次第で重さは変わります。4製品のスペックを見ると、厚さ7.6cmのThermarest NeoAir XLite NXTが326gなのに対して、厚さ8cmのISUKA エントリーエアマットレスは550gです。厚さがほぼ同じでも、重さには1.7倍近い差があります。

使用サイズも4製品でそろっていません。NeoAir XLite NXT(RSサイズ)は168cm、Zライト ソル(Rサイズ)とISUKA トレイルマットレスは183cm、ISUKA エントリーエアマットレスは180cmです。同じ「レギュラー」という表記でも、メーカーごとに長さの基準が数cmずれています。身長に対して余裕があるかは、購入前に自分の身長と見比べておくと安心です。

登山道の岩の脇に置いた、丸めたマットとザック

スペックで比べる

いずれも公式ページの記載です。

製品 タイプ R値 使用サイズ 厚さ 重量 収納サイズ 価格を見る
Therm-a-Rest NeoAir XLite NXT(RSサイズ) 空気注入式 4.5 168×51cm 7.6cm 326g 直径10×23cm 楽天Amazon
Therm-a-Rest Zライト ソル(Rサイズ) クローズドセルフォーム 2.0 183×51cm 2cm 413g 非公開(下記参照) 楽天Amazon
ISUKA トレイルマットレス Reg セルフインフレータブル 2.7 183×51cm 2.5cm 520g 直径12.5×27cm 楽天Amazon
ISUKA エントリーエアマットレス Reg 空気注入式 4.8 180×55cm 8cm 550g 直径10.5×20cm 楽天Amazon

Zライト ソルは、公式ページに折りたたみ時の収納サイズの記載がなく確認できていません。アコーディオン状に折るクローズドセルフォームで、丸めて筒状に収納するタイプではないため、ザックの外に固定するなど携行の仕方自体が他の3製品と変わります。

R値で見ると、NeoAir XLite NXT(4.5)とISUKA エントリーエアマットレス(4.8)は、モンベルの比較表でオールシーズン対応とされているU.L.サーモ エアパッド(R4.9)に近い数値です。Zライト ソル(2.0)とISUKA トレイルマットレス(2.7)は、3シーズン対応のU.L.エアパッド(R1.4)より高いものの、オールシーズン対応の製品群ほどではない帯に位置します。

製品紹介

Therm-a-Rest NeoAir XLite NXT(RSサイズ)

オススメのポイント:326gと4製品中もっとも軽く、収納サイズも直径10×23cmとコンパクトです。R値4.5は、モンベルの比較表でオールシーズン対応とされているU.L.サーモ エアパッド(R4.9)に近い数値です。

気になる点:使用サイズは168cmで、他の3製品より12〜15cm短いRSサイズです。身長が高い人は、数値だけで選ぶと足元が余らない可能性があります。

Therm-a-Rest Zライト ソル(Rサイズ)

オススメのポイント:クローズドセルフォームなので、空気を入れる手間もパンクの心配もありません。片面にアルミ蒸着のThermaCaptureコーティングがあり、体の熱を反射する作りです。設置も撤収も、折り畳むだけで済みます。

気になる点:厚さ2cmで、4製品の中ではクッション性が最も薄くなります。折りたたみ時の収納サイズは公式ページに記載がなく確認できていません。丸めて収納する他の3製品とは違い、ザックの外付けを前提にする場面が増えます。

ISUKA トレイルマットレス Reg

オススメのポイント:フォーム入りの空気注入式(セルフインフレータブル)で、断熱性とクッション性のバランスがよいタイプです。バルブを開ければ自力でフォームが膨らむので、空気注入式ほど息を吹き込む量が多くありません。

気になる点:厚さ2.5cmに対して重量520g。厚さ7.6cmとより厚みのあるNeoAir XLite NXT(326g)と比べると、薄いのに軽さでは見劣りします。

ISUKA エントリーエアマットレス Reg

オススメのポイント:厚さ8cmと4製品中もっとも厚く、R値4.8は、モンベルの比較表でオールシーズン対応とされているU.L.サーモ エアパッド(R4.9)に近い数値です。空気注入式なので、使わないときは小さく収納できます。

気になる点:重量550gと4製品中もっとも重くなります。空気注入式のため、設営のたびに空気を入れる手間と、穴が開けば性能を失う前提は変わりません。

まとめ

  • マットの役割は断熱性とクッション性。寝袋だけでは地面からの冷気を防げない
  • 断熱性はR値で見る。数値が高いほど断熱性が高い(ASTM F3340-18という共通規格)
  • タイプはクローズドセルフォーム(パンクなし)/空気注入式(軽量・コンパクト)/セルフインフレータブル(中間)の3つ
  • モンベルの比較表では、R値が上がるほどオールシーズン対応に近づく傾向がある(U.L.エアパッドR1.4は3シーズン対応、U.L.サーモ エアパッドR4.9はオールシーズン対応)
  • 厚いマットほど重く、収納サイズも大きくなる傾向。同じ厚さでも素材次第で重さは変わる
  • 4製品の使用サイズは168〜183cmでそろっていない。購入前に身長と見比べる

寝袋側の温度表示の考え方は寝袋の選び方に、マットを含めた荷物全体の重さの数え方はベースウェイトの数え方に、テント泊装備をまとめて入れるザックの選び方はザック容量の選び方にまとめています。

出典

画像クレジット

  • アイキャッチ:OnTrails/AI生成イメージ
  • テント泊装備とマット:wetwebwork「Camping Equipment」(CC BY-SA 2.0) — 出典.jpg)
  • 空気注入式・セルフインフレータブルマットの比較:Superbass「Isomatten selbstaufblasend」(CC BY-SA 4.0) — 出典
  • マットとザック:Buidhe「Backpacking supplies (pack, tent, sleeping pad, and bear box) at Panhandle Gap」(CC BY-SA 4.0) — 出典_at_Panhandle_Gap.jpg)
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