日没から逆算する、登山の下山時刻の決め方。7時出発なら目標は14時半

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

日没が17時なら、何時までに下山すればいいのか。答えは「17時」ではありません。登山ガイドが紹介している計算式に当てはめると、朝7時に歩き始める場合の下山目標は14時半です。この記事では、その計算のしかたと、日没時刻の調べ方を順に説明します。

この記事でわかること

  • 日没時刻から下山目標時刻を出す計算式と、具体的な数字
  • 「日没の1〜2時間前」という別の目安との使い分け
  • 日没時刻の調べ方と、山で気をつけたいずれ
  • 下山が遅れたときのために持っておきたいもの

結論。下山目標は日没よりかなり前に置く

  • 計算式:(日没時刻-歩き始め)× 75% を、歩き始めの時刻に足すと下山目標時刻になります
  • 例:7時に歩き始めて日没が17時なら、下山目標は14時30分です
  • 日没時刻は国立天文台「暦計算室」で調べます。ただし山に囲まれた場所では、表示よりも早く暗くなります

7時出発・日没17時なら、下山目標は14時30分

日本山岳ガイド協会認定の登山ガイド・木元康晴氏は、山と溪谷オンラインで次の考え方を紹介しています。

  • 最終下山時刻は、基本はその日の日没時刻
  • 最終下山時刻から登山開始時刻を引いた時間が「行動可能時間」
  • 行動可能時間の75%を「行動予定時間」とし、登山開始時刻に足した時刻が「下山目標時刻」

数字を入れると、次のようになります。

“行動可能時間 = 17:00(日没)− 7:00(歩き始め)= 10時間行動予定時間 = 10時間 × 75% = 7時間30分下山目標時刻 = 7:00 + 7時間30分 = 14:30 “

日没の17時ちょうどに下りてくる計画にはしません。残りの25%、この例では2時間30分は、休憩が長引いたり、道の状態で思ったより時間がかかったりした分を吸収するための予備です。

歩き始めの時刻が変わると、下山目標も変わります。日没が17時の日で比べると次のとおりです。

歩き始め 行動可能時間 行動予定時間(75%) 下山目標時刻
6:00 11時間 8時間15分 14:15
7:00 10時間 7時間30分 14:30
8:00 9時間 6時間45分 14:45

遅く歩き始めるほど、使える時間そのものが短くなります。コースタイムが下山目標までに収まらないなら、出発を早めるか、コースを短くします。

山道を下る登山者とキャニオンの眺め

「日没の1〜2時間前」という目安もある

日本気象協会のtenki.jpに寄稿する重松貴志氏は、別の目安を挙げています。

  • 下山予定時刻は、日没時刻の1〜2時間前までに設定する
  • 登山計画で予定していた行動時間の半分を過ぎたら、引き返す

日没17時なら、下山予定は15時〜16時になります。75%の計算で出した14時30分のほうが早いので、上の例では75%の計算に合わせておけば、どちらの目安も満たせます。

2つ目の「行動時間の半分で引き返す」は、歩いている途中の判断に使えます。たとえば往復6時間の予定なら、歩き始めて3時間たった時点で山頂に着いていなければ、そこで折り返す、という使い方です。

どちらの目安も、官公庁が決めた基準ではなく、登山ガイドや専門媒体が示している考え方です。いずれにしても、栃木県警察が呼びかけているとおり「日暮れまでには必ず下山」が守るべき最低限のラインです。

日没時刻は国立天文台「暦計算室」で調べる

計算の出発点になる日没時刻は、国立天文台が案内している「暦計算室」のウェブサイトで調べられます。

  1. 暦計算室の「こよみの計算」ページを開く
  2. 場所を指定する(都道府県の主要都市から選ぶ、市区町村名で検索する、地図をクリックする、緯度経度を入力する、のどれか)
  3. 年・月・日を選んで実行すると、その日の日の入り時刻が表示される

場所は、登山口や下山口にいちばん近い市区町村を選びます。

沈みゆく太陽と、矢印表示のあるカリフォルニア・トレイルの道標

ひとつ注意があります。国立天文台によると、この時刻は地平線や水平線まで見通せるものとして計算されていて、近くの山や建物は考慮されていません。谷あいの登山道や山の東側の斜面では、表示された日の入り時刻より前に、太陽が山に隠れて暗くなります。下山目標に余裕を持たせるのは、このずれを見込む意味もあります。

決めた時刻は登山計画書に書いておく

計算した下山目標時刻は、登山計画書の下山予定時刻の欄にそのまま書いておきます。提出先にも自分にも、何時までに下りるつもりかが残ります。

下山が遅れたときのために持っておきたいもの

計画どおりにいかず、暗くなってから歩くことになったときのために、出発前にザックへ入れておきたいものが4つあります。

1つは、ふだん使うヘッドランプとは別の、予備の灯りです。ヘッドランプの選び方で本体を選んだうえで、電池切れや紛失に備え、ザックの底に入れっぱなしにできる小型のものを足しておきます。ボタン電池式なら軽く、長く入れておいても場所を取りません。

2つ目は、スマホの電源です。地図アプリで現在地を確かめ続けると、バッテリーの減りは早くなります。日没後は気温も下がり、寒さでバッテリーの持ちも悪くなります。日帰りなら5,000〜10,000mAhが目安で、低温でも使えると書かれているものを選ぶと安心です。

3つ目は、予定より多めの行動食です。下山が1〜2時間延びると、そのぶんエネルギーも使います。昼食とは別に、歩きながら食べられるものを1〜2回分足しておきます。どれだけ持てばいいかは行動食の量の目安で計算しています。

ようかんは寒くても固くなりにくく、手袋をしたままでも食べられます。賞味期限の長いものなら、ザックに入れっぱなしの予備にもなります。

4つ目は、紙の地図とコンパスです。暗くなると道標や踏み跡が見えにくくなり、道を外れやすくなります。スマホの電池が切れても現在地と進む方向を確かめられるよう、歩く山域の紙の地図(昭文社「山と高原地図」など)とコンパスを持っておきます。アプリと紙を併用する理由は登山地図アプリの記事にまとめました。

針葉樹のシルエット越しに沈む夕日

日没前後は気温も下がります。標高による気温の下がり方は標高と気温の関係にまとめました。

まとめ

  • 下山目標時刻は「歩き始め+(日没-歩き始め)×75%」で出せます。7時出発・日没17時なら14時30分です
  • 残りの25%は、遅れを吸収するための予備です
  • 「日没の1〜2時間前に下山」「行動時間の半分で引き返す」という目安もあります。どれも登山ガイドや専門媒体の考え方です
  • 日没時刻は国立天文台「暦計算室」で調べます。山に囲まれた場所では、表示より早く暗くなります
  • 計算した時刻は登山計画書に書き、予備の灯り・モバイルバッテリー・多めの行動食・紙の地図とコンパスをザックに入れておきます

出典

画像クレジット

Wikimedia Commons と Flickr から。

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