登山地図アプリは紙と併用する。警察庁がそう書いている理由

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

登山地図アプリは、現在地が点で表示されるという一点で、紙の地図を大きく上回ります。それでも警察庁は、紙の地図と併用するように書いています。

この記事でわかること

  • 道迷いが遭難の何割を占めるか
  • 警察庁が「併用」と書いている理由
  • アプリを選ぶときに見る点
  • 紙とコンパスが担っている役割
  • アプリで解決しないこと

道迷いが最多

警察庁の令和7年における山岳遭難の概況等によると、遭難者3,623人のうち態様別で最も多いのが道迷いで30.9%。転倒19.2%、滑落17.3%と続きます。

1,119人が道迷いです。 転倒19.2%、滑落17.3%より多く、遭難の3割を占めます。地図の話が最初に来るのは、この数字があるからです。

踏み跡が分かれてどちらも同じに見える登山道

警察庁は「併用」と書いている

道迷い防止の項に、併用について1行だけ触れています。

なお、登山地図アプリと紙の地図を併用することで、より正確な位置を把握することができるため、道迷いの防止につながる。

置き換えではなく、併用です。 アプリを否定していませんが、紙をやめてよいとも書いていません。

理由は、GPSについての別の記述から読み取れます。GPS付きの携帯電話は現在地を素早く救援機関に伝えられる有効な手段だが、多くの山岳では通話エリアが限られ、バッテリーの残量にも注意が要る、という書き方です。

通話・通信には携帯電話の電波、アプリの動作には電池が必要です。GPSの測位と、ダウンロード済み地図の表示は携帯電話の圏外でも利用できます。 紙の地図とコンパスにはその依存がありません。併用が勧められているのは、依存先の違う2つを持つという意味です。

アプリを選ぶときに見る点

各社が公式に掲げている機能から、判断の軸になるものを挙げます。

オフラインで動くか

主要な登山地図アプリは、いずれも事前にダウンロードした地図を圏外で表示できることを掲げています。

山では電波がないのが普通です。 事前に地図をダウンロードしておけるかどうかは、最低条件になります。当日、登山口で慌てて落とそうとして圏外、というのが典型的な失敗です。

電池の持ち

GPSの受信そのものは通信を使いません。機内モードのままでも現在地は分かります。 圏外で電波を探し続けると電池が減るので、機内モードにしておくほうが持ちます。ただし救助要請には電波が要るので、その場面では解除します。

このあたりは山でスマホの電池を切らさないにまとめました。

記録と共有

多くのアプリが、歩いた軌跡を記録して共有する機能を持っています。山行計画の作成から記録の公開までを一つで扱えるものもあります。

他の人の記録は、直近の登山道の状況を知る材料になります。ただし個人の記録なので、状況が変わっていることもあります。

計画の提出につながるか

登山届の出し方で書いたとおり、岐阜県は日本山岳ガイド協会とヤマップをオンラインの届出先として挙げています。警察庁も、登山届の提出手段として登山地図アプリを挙げています。

作成した登山計画書・登山届は、一緒に登山する仲間、家族や職場等と共有するとともに、登山口の登山届ポスト、インターネットや登山地図アプリを活用して都道府県警察、自治体などに提出する。

計画作成から提出までを一本で済ませられるなら、手間がひとつ減ります。

オフライン対応の登山GPSアプリ「OnTrails」

圏外でも地図と現在地を表示できる登山GPSアプリです。事前に地図を落としておけば、電波の届かない山域でも現在地が出ます。

OnTrails アプリのアイコン

OnTrails のアプリ

OnTrails

オフライン対応の登山GPSアプリ。目的地への方角と距離を示すロックオン、赤線での軌跡の自動記録とGPXの書き出し、緊急時の座標共有。地図はGoogle Map・国土地理院地図・OpenStreetMapから選べます。

アプリの詳しい説明を見る

OnTrails アプリの画面

紙とコンパスが担っていること

紙の地図は現在地を教えてくれません。代わりに、次のことができます。

全体が一度に見える。 画面はスクロールしないと隣が見えません。紙は広げれば周囲の地形が同時に目に入ります。逃げる方向を考えるときに使います。

電池を使わない。 これが最大の違いです。

画面割れや電池切れの影響を受けない。 ただし紙も破れたり濡れて読めなくなったりします。耐水性や収納方法を確認してください。

コンパスと組み合わせると方角が出る。 アプリが止まったとき、地形と方角だけで判断する材料になります。紙の地図の入手と、コンパスに要る磁北線の引き方は地理院地図で登山の下調べをするにまとめました。

岩の上に広げた地形図とコンパス

紙の地図と一緒に用意する道具

SUUNTO A-30は、地図に重ねて使うベースプレート型のコンパスです。紹介先は北半球用のNHモデル。購入しただけで現在地が分かる道具ではないので、地図と組み合わせた使い方を事前に練習してください。

紙を行動中に取り出しやすくするには、マップケースも使えます。イスカのミニサイズを選ぶ場合は、持参する地図を折った寸法が収まるかを確認します。

まとめ

  • 遭難の態様は道迷いが30.9%で最多(1,119人)
  • 警察庁はアプリと紙の地図の併用を求めている
  • GPSは有効だが通話エリアとバッテリー残量に注意、と明記されている
  • 選ぶときはオフラインで使えるかを最低条件にする
  • 機内モードでもGPSは動く。救助要請時は解除する
  • 登山届の提出手段としてアプリが挙げられている
  • 紙は全体が見える・電池を使わない。ただし濡れと破損には備える

入山前の手続きは登山届の出し方に、電池の見積もりは山でスマホの電池を切らさないにまとめました。

出典

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