山でドローンを飛ばす前に確認すること。航空法の許可が要る空域と国立公園の扱い

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

稜線からの空撮は魅力的ですが、山は「人がいないから自由」という場所ではありません。航空法の規制は山にも及びます。

引っかかりやすいのは3つです。地表から150mという高さ、当日でないと分からない緊急用務空域、そして法律とは別に立ちはだかる土地の管理者。順に見ていきます。

機体登録や技能証明の手続きそのものには踏み込まず、山で飛ばす場面に絞ります。

この記事でわかること

  • 許可が要る空域が4つあること
  • 山で特に引っかかりやすいのはどれか
  • 国立公園でドローンはどう扱われるか
  • 土地の管理者という、法律とは別の壁
  • この記事で扱えない範囲

許可が要る空域は4つ

国土交通省の無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法が挙げているのは、空港等の周辺、緊急用務空域、150m以上の上空、人口集中地区の4つです。ここで飛ばすには、あらかじめ国土交通大臣の許可が要ります。

山で問題になりやすいのは、後ろの2つ以外、つまり150m以上の上空緊急用務空域です。

稜線の上空を飛ぶドローン

150mは標高ではなく地表からの高さ

条文は「地表又は水面から150m以上の高さの空域」です。標高2,000mの稜線に立っていても、そこから150m上げれば該当します。

ここを標高と読み違えると、簡単に超えます。山の上だから高く上げてよい、という理屈は成り立ちません。

しかもこの空域は、許可を申請する前に空域を管轄する管制機関との調整が要ります。当日思い立って上げられる高さではありません。

緊急用務空域は、許可があっても飛ばせない

ここが最も見落とされやすい規定です。

空港等の周辺の空域、地表又は水面から150m以上の高さの空域、または人口集中地区の上空の飛行許可があっても、緊急用務空域を飛行させることはできません。

緊急用務空域は、警察や消防の航空機が飛ぶことが想定される場合に指定されます。山岳遭難の捜索や山火事があれば、そこは緊急用務空域になり得ます。

つまり、前日まで問題のなかった場所が、当日の朝に飛ばせなくなることがあります。国土交通省も、飛ばす前に設定されていないことを確認するよう求めています。事前の許可では免除されません。当日その場で見る必要があります。

飛ばし方にも承認が要る

空域とは別に、飛ばし方の規定があります。夜間の飛行目視外の飛行人や物件と距離を確保できない飛行。この3つが承認の対象です。

山に置き換えると、日の出前の撮影、尾根の陰に機体を送り込む飛行、登山道の近くでの飛行が当たり得ます。山でやりたくなる撮り方は、だいたいここに触れます。

国立公園では、意外にも許可は要らない

環境省関東地方環境事務所の国立公園内でのドローン使用についてによれば、国立公園の区域内での飛行や離着陸は、自然公園法における許可申請や届出が必要な行為ではありません

ただし、そのあとが本題です。

ドローンの使用により他の国立公園利用者に著しく迷惑をかけた場合や、ドローンの落下・衝突により野生生物を損傷させた場合、落下したドローンを回収せずに放置した場合等には、自然公園法等に反する行為に該当し、罰則の適用や必要な措置(原状回復等)を命じる場合があります。

落として回収できなければ、それ自体が違反になります。

山では回収不能な場所へ落ちることが普通にあり得ます。谷、岩壁、樹林の上。街なら拾いに行ける場所でも、山では取りに行けません。ここが、山でドローンを飛ばすことの本質的なリスクです。飛ばす前に「落ちたら拾えるか」を先に考えてください。

自然公園法の禁止行為については国立公園でやってはいけないことにまとめました。

法律の外側にある壁

航空法をクリアしても、それで飛ばせるとは限りません。

環境省は、神社仏閣や公園施設をはじめ、土地や施設の管理者・所有者が敷地上空での飛行を禁止している場合があるとして、事前の確認を求めています。河川・湖・滝についても、河川管理者や周辺自治体がルールを定めていることがあります。

山域では、登山道の管理者、山小屋、社寺、自治体が該当します。法律の話とは別に、その土地を管理している人の判断がある、という二重構造です。

音のこと

規制ではありませんが、実務上いちばん摩擦を生むのは音です。環境省が挙げている「他の国立公園利用者に著しく迷惑をかけた場合」は、多くの場合ここから始まります。

静かな稜線でプロペラ音は遠くまで届きます。自分の位置からは離れているつもりでも、向こうの尾根まで聞こえます。周囲に人がいるなら、飛ばす前に一声かけるだけで結果が変わります。

それでも飛ばすなら、機体で見るところ

ここまで書いたとおり、山でドローンを飛ばすのは簡単ではありません。そのうえで機体を選ぶなら、山で差が出る点が3つあります。

1. 100g以上は登録の対象です。 国土交通省の無人航空機登録ポータルサイトは、屋外を飛行させる100g以上のすべてのドローン・ラジコン機が登録の対象だとしています。いま売られている撮影用の機体は、ほぼ全部が対象だと考えてください。

2. リモートIDが要ります。 登録した機体は、登録記号の表示に加えて、リモートIDを発信させる決まりです。内蔵していない機体は、外付けの機器を足すことになります。

3. 高度の制限は、法律だけではありません。 機体そのものにも運用できる高度の上限があります。DJI Neo は公式スペック運用限界高度(海抜)2,000m、離陸重量が約135gとされています。海抜2,000mは、北アルプスの稜線より下です。 標高の高い山では、法律の前に機体の側が前提から外れます。

リモートIDを内蔵しているモデルなら、外付けの機器を足さずに済みます。折りたたんで持ち運べる形も、ザックに入れる前提では選ぶ理由になります。

どちらを選んでも、落ちたら拾えるかという問題は残ります。 谷や樹林の上に落とせば回収できず、放置すれば自然公園法に反する行為になり得ます。飛ばす前に、落下したときに取りに行ける場所かどうかを見てください。

まとめ

  • 許可が要るのは空港周辺・緊急用務空域・150m以上・人口集中地区の4つ
  • 150mは地表からの高さ。標高が高い場所でも同じ
  • 緊急用務空域は、許可があっても飛ばせない。当日確認する
  • 夜間・目視外・人や物件と距離を取れない飛行は承認が要る
  • 国立公園では自然公園法の許可・届出は不要
  • ただし落下・放置・他の利用者への迷惑は罰則や原状回復命令の対象になり得る
  • 土地の管理者が禁じている場合がある。航空法とは別に確認する

入山前の手続きは登山届の出し方にまとめました。

出典

画像クレジット

Wikimedia Commons と Flickr から。

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