国立公園でやってはいけないこと。自然公園法の禁止行為と50万円以下の罰金

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

日本の主要な山域の多くは国立公園か国定公園の中にあります。そこには自然公園法という法律があり、マナーではなく規制として禁止されている行為があります。

やっかいなのは、その2つが同じ場所に並べて書かれていることです。環境省の利用上のマナーには、動植物をとらない、石を持ち帰らない、餌を与えない、といった項目が並んでいます。見出しは「マナー」です。ところが同じページに、場所によっては法律で規制されている、と添えられています。どれがお願いで、どれが法律なのかが、読んだだけでは分かりません。

そこを分けて整理します。登山者が関係する範囲に絞ります。

この記事でわかること

  • 違反したときの罰則
  • 禁止されている行為と、許可が要る行為
  • 場所によって規制の強さが変わること
  • 山でやりがちで、実は引っかかること
  • この記事で扱えない範囲

先に罰則から

規制の具体的内容に、罰則がはっきり書かれています。

本規制に違反すると自然公園法第70条の罰則が適用され、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金。 ここが、よくある「山のマナー」の話と決定的に違うところです。怒られて終わりではなく、法律違反として扱われる行為があります。

とはいえ、普通に歩いて帰ってくるぶんには何も起きません。引っかかるのは、たいてい持ち帰る火を使う餌をやるかの3つです。

禁止されていること

環境省が規制の対象として挙げているのは、工作物の新改増築、木竹の伐採、土石の採取、動植物の捕獲・採取です。前の2つは工事や林業の話なので、登山者に関係するのは後ろの2つになります。

動植物の捕獲・採取。 高山植物を摘む、山菜を採る、昆虫を捕る。花はもちろん、枯れ枝や落ち葉も対象になり得ます。

土石の採取。 石を持ち帰る行為です。環境省はマナーのページで「石を持ち帰らないでください」と具体的に書いています。記念に1つ、が引っかかります。

これらをどうしても行う必要がある場合は、国立公園なら環境大臣、国定公園なら都道府県知事の許可が要ります。学術調査などのための枠組みなので、登山の途中で取れるものではありません。

たき火とキャンプは、少し性質が違います。禁止されているのではなく、場所が決められているという書き方です。理由も明示されていて、植生の破壊、野生動物の誘因、山火事の3つ。焚き火台を持っていても、指定された場所でなければ同じことです。

餌やりも規制の対象です。そして施設への落書きは、自然公園法ではなく器物損壊として扱われます。

ロープで仕切られた登山道脇の高山植物

同じ公園でも、場所で強さが変わる

ここが分かりにくいところです。国立公園は一枚の区域ではなく、規制の強さが違う区分に分かれています。おおまかには、普通地域よりも特別地域、特別地域よりも特別保護地区が厳しくなります。

特別保護地区は、その公園でいちばん守りたい場所に指定されます。制限も一段強く、木を植えることや家畜を放牧することまで禁じられています。

既に、特別保護地区では、「木竹を植栽すること」、「家畜を放牧すること」が禁止されていますので、今回の改正により、原則として全ての動植物の放出が引き続き禁止されることとなります。

植えることすら禁止、というのは直感に反するかもしれません。ここでは、外から持ち込まれた生き物が生態系を変えてしまうことのほうが問題として重い、という考え方になっています。

自分が入る場所がどの区分かは、公園ごとの区域図で公開されています。「国立公園だから一律にこう」ではないことだけ、覚えておいてください。

山でやりがちなこと

条文だけ読んでも実感が湧かないので、場面に置き換えます。

高山植物を摘む。 動植物の採取です。写真を撮るだけにしてください。

きれいな石を持ち帰る。 土石の採取です。環境省が品名を挙げるように「石を持ち帰らないでください」と書いています。

指定地以外でたき火をする。 山火事と植生破壊の両方に関わります。焚き火台を使っていても、場所が指定地でなければ同じです。

使われた跡のある石囲いの焚き火跡

動物に食べ物をやる。 サルやシカに与えると、人を食べ物と結びつけて覚えます。餌付けされた動物は、最終的に駆除の対象になります。あげた人ではなく、動物のほうが減ります。

行動食のかけらを落とす。 これも餌付けです。意図の有無は関係ありません。パンくずもナッツの殻も、拾って持ち帰ってください。

枯れ枝を集めて燃やす。 たき火の場所の問題と、木竹の扱いの問題が同時に起きます。

トイレと計画

環境省は、トイレがない場所があることと、携帯トイレを使うことにも触れています。山域によっては携行が前提になっているところもあります。詳しくは携帯トイレの使い方にまとめました。

計画についても、事前に情報を集めて無理のない行動計画を立てること、天候・アクセス・登山道の状況に加えて火山情報を入手することが挙げられています。火山情報が並んでいるのは、日本の国立公園らしいところです。

登山道の分岐に立つ道標

まとめ

  • 国立公園には自然公園法があり、お願いと規制が地続きになっている
  • 違反すると6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
  • 引っかかるのは、たいてい持ち帰る・火を使う・餌をやるの3つ
  • 動植物と石を持ち帰らない。 枯れ枝や落ち葉も対象になり得る
  • たき火とキャンプは場所が決められている。 焚き火台があっても同じ
  • 行動食のかけらも餌付けになる。意図の有無は関係ない
  • 特別保護地区は制限が一段厳しい。 同じ公園でも一律ではない
  • 個別の可否は地方環境事務所か都道府県の窓口へ

入山前の手続きは登山届の出し方に、山でのドローンについてはドローンを飛ばす前に確認することにまとめました。国立公園の中でもとくに規制の細かい富士山は、富士山に登る前の手続きで扱っています。

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