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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。
「水は2リットルくらい?」という会話で決めてしまうことが多い装備です。重いので、多すぎれば脚にこたえ、少なければ後半で困ります。
実は、量の目安は掛け算で出せます。この記事では、その計算と持ち方に絞ります。体調そのものの判断には踏み込みません。
この記事でわかること
- 行動中に失われる水分の見積もり方
- 背負う量と、現地で足す量の分け方
- 一度に飲んでも入らない理由
- ボトルとハイドレーションの向き不向き
- この計算が外れる場面

掛け算で出す
モンベルが公開している夏の熱中症対策アイテムのページに、日本山岳ガイド協会が採用している計算式が載っています。
脱水量(mL)=体重(kg)×行動時間(h)×5(mL)
体重60kgの人が6時間歩く場合で計算します。
“ 60 × 6 × 5 = 1,800 mL “
1.8リットルです。 ここに、休憩で飲む分や食事に使う分が乗ります。テント泊なら炊事の水も別に要ります。
体重が80kgなら、同じ6時間で2,400mL。体格で必要量が変わることが、この式のいちばん実用的なところです。パーティ全員が同じ量を持つ理由はありません。
全部を背負う必要はない
出た数字をそのまま担ぐと、水だけで2kgを超えます。実際には、途中で足せる場所を数えます。
- 山小屋。 販売しているところが多く、確実性が高い
- 水場。 地図に記号がある場所。ただし涸れることがあります
- 登山口の自販機。 歩き出す前に満タンにできます
考え方としては、背負う量=全体の必要量−確実に補給できる量です。ここで「確実に」を甘く見ると、水場が涸れていたときに詰みます。山小屋の営業期間と時間も、その年の情報を見てください。
登山口までの移動でも、意外と飲みます。登山口の駐車場がカーナビで出てこない理由で書いたように、林道が長い山では、着いた時点で水筒が減っていることがあります。
一度にたくさん飲んでも入らない
同じページは、人が吸収できる水分量は1時間に1Lが目安といわれている、としています。それを超えない量を少しずつ飲めば、体内の水分量を一定に保ちやすくなります。
つまり、山頂で一気に飲んで取り返す、という使い方は成り立ちません。 30分に1回、ひと口ふた口。行動のリズムに混ぜてしまうほうが現実的です。
塩分にも触れています。汗にはミネラル分が含まれるため、大量に汗をかいたあとに水だけを補給すると体内の塩分濃度が下がり、かえって脱水を助長する。だから塩分を含むものと合わせてとる、という説明です。
行動食を塩気のあるものと甘いもので分けておくと、この点が自然に満たせます。組み立て方は行動食は何をどれだけ持つかにまとめました。

持ち方を決める
量が決まったら、入れ物です。大きく2つに分かれます。
ボトル
口が広いものは、粉末を溶かすのも、雪を入れるのも、洗うのも簡単です。残量が目で見えるのがいちばんの利点で、計画どおりに飲めているかがひと目で分かります。
1リットルは、日帰りの主力として扱いやすい大きさです。ザックの脇ポケットに入るかどうかは、買う前に確かめておきます。
行動用とは別に、小さいものをもう1本持つ手もあります。
こちらは、粉末の飲料を作る係や、山小屋で買った分を移す係にすると使い勝手がよくなります。
ハイドレーション
チューブで飲むタイプです。ザックを下ろさずに飲めるので、少量ずつという飲み方と噛み合います。歩きながら口に運べる分、飲む回数が自然と増えます。
2リットルは、稜線で水場のない区間を歩く日に向きます。背中側に収まるので、重心が体に近くなるのも利点です。
ただし、残量が分かりにくいという弱点があります。気づいたら空が起きやすいので、ボトルを1本併用して、最後の予備をそちらに残しておきます。
冬は別の話になる
気温が下がると、チューブの中の水が凍ります。ハイドレーションが使えなくなる場面があるということです。
寒い時期は、口の広いボトルに切り替える、保温ボトルを足す、といった判断になります。
湯を入れて持つ前提の型です。行動用の水とは別に数えます。 これ1本で足りる量ではありません。標高と気温の関係は山の気温は標高で何度下がるかにまとめました。

まとめ
- 目安は体重(kg)に行動時間(h)と5mLを掛けた量
- 体重60kgで6時間なら1,800mL。体格で変わる
- 背負う量は、必要量から確実に補給できる量を引いた分
- 吸収の目安は1時間に1L。少量ずつ飲む
- 汗をかいたら塩分と合わせてとる
- ボトルは残量が見え、ハイドレーションは飲む回数が増える
- 冬はチューブが凍る。ボトルに切り替える
- 水場は涸れる。当てにする量は控えめに
必要な水が決まると、ザックの容量も決まります。登山用ザックの容量の決め方もあわせてどうぞ。