地理院地図で登山の下調べをする。標高と磁北線と距離を出す

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

登山アプリの地図は、そのほとんどが国土地理院の地形図をもとにしています。その大もとが、ブラウザで無料で使える地理院地図です。

アプリより表示は素っ気ないですが、下調べに使える機能が揃っています。しかも、その値がどういう性質のものかまで公開されています。

この記事でわかること

  • 地理院地図で出せる値
  • 磁北線という、コンパスを使うなら要る線
  • 距離と断面図の出し方
  • 紙の地形図をどこで買うか
  • 値の精度について

出せる値

地理院地図で得られる値等についてに、何がどう計算されているかがまとめられています。登山で使うのは主にこのあたりです。

内容
緯度・経度 世界測地系(JGD2011)
標高 標高タイルから表示
距離 地球を回転楕円体とみなした近似式で計算
磁北線 磁気図(偏角)2020.0年値
UTMグリッド・経緯度グリッド 位置の格子

注目したいのは磁北線です。 ここは説明が要ります。

磁北線は、コンパスを使うなら要る

地図の上が指しているのは真北です。ところが、コンパスの針が指すのは磁北で、この2つはずれています。日本では西へ数度から10度近く。このずれを無視すると、遠くの目標ほど大きく外れます。

紙の地形図でコンパスを使うとき、あらかじめ地図に磁北線を引いておくのはこのためです。地理院地図は、その磁北線を表示できます。もとになっているのは磁気図の偏角で、2020.0年値と明示されています。

コンパスは、地図と組み合わせて初めて働きます。持っているだけでは現在地は分かりません。 ベースプレート式なら、地図の上に置いて方位を測れます。

地形図の上に置いたベースプレートコンパス

距離と断面図

地理院地図には計測機能があります。ルートをクリックしていくと距離が出て、そのまま断面図も描けます。

登山の下調べでいちばん使えるのは、この断面図です。同じ距離でも、標高差の付き方で疲れ方がまるで違います。 平坦な林道が長く続いて最後に一気に上げるルートと、最初から一定に上げていくルートでは、時間配分も水の消費も変わります。

距離は「地球を回転楕円体とみなした近似式」で計算されている、と明記されています。地図上の直線距離なので、実際に歩く距離とは違います。斜面を上り下りするぶん、実際は長くなります。

窓辺に広げた地形図と鉛筆

紙の地形図はどこで買うか

アプリと紙の併用が勧められる理由は登山地図アプリは紙と併用するに書きました。電池を使わない地図を1枚持つ、という話です。

紙の地形図は国土地理院の地図販売のページから、取扱店を辿って買えます。地図センターや、山の本を置いている書店で扱っています。

紙は濡れると読めなくなります。地形図をそのまま持つなら、防水のケースに入れるか、ジップ袋に入れるかのどちらかは要ります。

自分で印刷するという手もあります。 地理院地図は画面の範囲を印刷でき、必要な範囲だけを持てます。1枚まるごとより軽く、濡れてもあきらめがつきます。ただし縮尺の扱いには注意が必要で、地理院地図のスケールバーは「地図中心の緯度におけるスケール」を表示していると説明されています。メルカトル図法で変換しているため、中心と違う緯度では縮尺が変わります。

なお、地図を使うときは国土地理院の利用規約に従ってください。

ジップ袋に入れてヒップベルトに挿した地図

地形図と登山地図は別物

ここで混同しやすいのが、地形図と、書店で売っている登山地図の違いです。

地形図(国土地理院) 登山地図(山と高原地図など)
得意 地形の正確さ。等高線が細かい 行程。ルート、コースタイム、水場、危険箇所
登山道 最小限。廃道が残っていることもある 現地調査に基づいて毎年更新される
磁北線 自分で引く 印刷されているものが多い

どちらが上ということはありません。目的が違います。

地形図は「この尾根はどっちへ落ちているか」を読む道具です。逃げる方向を考えるときに使います。 一方、登山地図は「ここからここまで何時間か」を出す道具です。計画を組むときに使います。

登山地図はエリアごとに分かれているので、行く山域のものを買うことになります。年ごとに更新されるので、古い版を持ち続けないほうがいい種類の地図です。

なお、国土地理院の地形図そのものは、一般の通販ではあまり扱われていません。 上に書いた取扱店か、地理院地図からの印刷になります。

精度について

地理院地図のヘルプには、はっきりした断りがあります。

データの精度のほか、画面上の位置読み取り等の誤差要因が存在することをご理解いただいた上で、各自必要とされる精度に応じてご活用ください。

誤差があることを前提に使ってください、という書き方です。 住所についても「地図中心付近の住所が表示されます。正確な所属を示すとは限りません」とされています。

登山で影響が出るのは標高です。標高タイルから表示される値なので、細かい地形は丸められます。ピークの標高が数メートル違う、という程度の話ですが、地図の値は測ったものではなく、計算されたものだと知っておいてください。

まとめ

  • 地理院地図はブラウザで無料。登山アプリの地図の大もと
  • 出せるのは緯度経度(JGD2011)、標高、距離、磁北線
  • 真北と磁北はずれる。コンパスを使うなら磁北線が要る
  • 断面図が下調べに使える。同じ距離でも標高差の付き方で疲れ方が違う
  • 距離は地図上の値。実際に歩く距離より短く出る
  • 紙の地形図は国土地理院のページから取扱店を辿る。必要な範囲だけ印刷する手もある
  • 地形図と登山地図は目的が違う。 地形を読むなら地形図、行程を組むなら登山地図
  • 値には誤差があると、国土地理院自身が断っている

現在地の確認は登山地図アプリは紙と併用するに、入山前の手続きは登山届の出し方にまとめました。

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