登山用ソックスの選び方。素材と厚さの違い

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

登山用品店やECサイトの靴下コーナーには、メリノウールと化繊(合成繊維)の靴下が並んでいます。さらに「レギュラー」「ミッドウェイト」「厚手」のような厚さやクッションの表記がブランドごとに違い、今使っている登山靴(ローカットかハイカットか)にどれが合うのかも分かりにくい。結局、なんとなく手に取った1足で済ませている人も多いはずです。

素材と厚さをそれぞれどう決めるか。メーカーが公表している素材構成や厚さの区分をもとに、編集部の考えでまとめました。

この記事でわかること

  • メリノウールと化繊、それぞれをどんな人に勧めるか
  • 厚さ・クッション量の決め方と、ブランドごとの表記の違い
  • 重ね履き(ソックスレイヤリング)を勧める場面
  • 4製品それぞれの向き・不向き

結論。基本の1足はメリノウール混紡、厚さは靴のカットで決める

編集部が最初の1足に勧めるのは、メリノウールにナイロンなどを混ぜた混紡の靴下です。ウールの保温性とにおいの出にくさに、化繊の強さと乾きやすさが加わり、春から秋の日帰り登山の大半をこれ1足でまかなえます。

そのうえで、場面に合わせて次のように選び分けます。

  • 春〜秋の日帰り、ミッドカット〜ハイカットの登山靴:メリノウール混紡の中厚手〜厚手
  • 真夏や汗を多くかく人、ローカットのハイキングシューズ:化繊主体のミッドウェイト。指の間の擦れが気になるなら5本指
  • 長い行程や縦走、足が濡れやすい人:薄い化繊インナーとメリノウールの重ね履き
  • 積雪期:厳冬期用ブーツに合わせた極厚手

厚さを決める軸は、合わせる登山靴のカットです。モンベルは登山用ソックスの選び方で、厚さを「超極厚手:厳冬期対応ブーツ用」「極厚手:厳冬期対応ブーツ、ハイカット用」「厚手:ハイカット、ミッドカットブーツ用」「中厚手:ローカットハイキングシューズ用」「薄手:旅行や普段履き用」の5段階で示しています。編集部もこの対応を目安にしています。

ただし、厚さの呼び方はブランドごとに基準が違います。詳しくは後述します。

素材で選ぶ

迷ったらメリノウール系

モンベルは、メリノウールの特徴を次のように説明しています。

上質で繊維長の長い高品質なウールを使用し、優れた保温性とウール特有のチクチク感がない快適さを兼ねています。調湿・消臭効果と防縮加工が特徴です。

編集部がメリノウール系を基本に推す理由は、気温の幅に強いことです。朝の冷え込みから日中の登りまで、1日の中で暑さ寒さが入れ替わる登山では、保温と調湿の両方を持つ素材のほうが合わせやすい。においが出にくいとされる点も、山小屋泊や連日の行動で助かります。

モンベルの「メリノウール トレッキング ソックス Men’s」は、ウール58%+ナイロン26%+ポリエステル14%+ポリウレタン2%の混紡で、平均重量101g。サイズはS(22〜24cm)からXL(28〜30cm)まで4段階です。登山用のメリノウール靴下は、このようにウールを5〜6割にして化繊を混ぜた作りが主流です。ウール100%より強く、乾きやすくなるので、編集部はこの混紡のバランスを選びます。

岩場を越える登山者のウールソックスと登山靴

日帰りの行程でも、ソックスは登山靴と同じくらい足を支える道具です。岩場や段差の多い道ほど、靴の中で足がずれないだけの厚みとフィットが必要になります。

夏と汗かきの人には化繊系

化繊系は、ナイロンやポリエステルを主な素材にした靴下です。メリノウールに比べて速乾性や耐久性を前面に出した製品が多く、価格も抑えやすい傾向があります。

編集部が化繊系を勧めるのは、真夏の低山や樹林帯の登りで汗を多くかく人、ローカットのハイキングシューズで軽く歩きたい人です。保温より乾きやすさを優先したい場面では、ウールの比率が低い化繊主体の靴下のほうが合います。あとで比較するザ・ノース・フェイスの「トレッキング ミッドウェイト クルー」も、ウールの混用率は約4%で、化繊が主体の作りです。

injinji(インジンジ)の「Trail Midweight Crew」のような5本指の化繊ソックスは、指と指の間の擦れを減らす作りです。下りで指同士が当たってマメができやすい人には、試す価値があります。

厚さ・クッション量で選ぶ

厚さの区分は、ブランドによって言い方も段階数も違います。

モンベルは前述のとおり「薄手・中厚手・厚手・極厚手・超極厚手」の5段階です。finetrack(ファイントラック)は、自社のソックスレイヤリングの中で「生地厚」という言葉を使い、ドライレイヤー®が「極薄手」、メリノスピン®が「中厚手〜極厚手」、ラミースピン®が「薄手〜中厚手」と説明しています。

Darn Tough(ダーンタフ)やSmartwool(スマートウール)は「クッションタイプ」という言い方で、「ライトクッション」「ミッドウェイトクッション」のような段階を使っています。

ここが厄介で、これらの厚さ・クッション量の呼び方には、ブランド間で共通の基準がありません。 モンベルの「厚手」とfinetrackの「厚手」、Darn Toughの「ミッドウェイトクッション」が同じ厚みとは限りません。そこで編集部は、厚さを次の順で決めることを勧めます。

  1. 靴のカットから、モンベルの5段階でいうどのあたりかを決める
  2. 選んだブランドの中で、その段階に近いものを選ぶ
  3. 靴を買うときは、山で履く靴下を履いて試し履きする

ブランドをまたいで「厚手」どうしを比べるより、靴と靴下をセットで合わせるほうが確実です。

長い行程には重ね履き(ソックスレイヤリング)

finetrackは、靴下も上着と同じように重ねて履く「ソックスレイヤリング」という考え方を示しています。ドライレイヤー®ソックスを素肌側に履き、その上にメリノスピン®やラミースピン®のソックスを重ねる組み合わせです。

finetrackは、この仕組みを次のように説明しています。

汗はドライレイヤー®ソックスを透過し、ベースレイヤーソックスに吸収される。

「ドライレイヤーインナーソックス レギュラー」はナイロン100%、重量27gのインナー専用ソックスで、撥水性によって肌表面に汗が残りにくくなるとされています。

1枚で厚さを確保するのではなく、薄いインナーと厚みのあるアウターを重ねて濡れを肌から離す発想です。編集部は、1日6時間を超えるような長い行程や縦走、足の汗が多くてマメができやすい人にこの組み合わせを勧めます。一方で、短い日帰りなら1枚履きで十分です。重ねるぶん足の容積が増えるので、靴に余裕があるかも合わせて見ておきたいところです。

岩に腰かけて休む登山者の登山靴とソックス

行程が長くなるほど、足の濡れと擦れが積み重なります。重ね履きは、そうした場面のための選択肢です。

製品で比較する

ここからは4つの製品を、メーカー・販売元が公表している仕様をもとに、編集部の見立てで紹介します。

finetrack メリノスピンソックス アルパインレギュラー

finetrackの「メリノスピンソックス アルパインレギュラー(FSU0411)」は、ウール55%、ナイロン29%、ポリエステル13%、ポリウレタン3%の混紡。重量80g、厚さ分類は「厚手」、サイズはXSからLまでです。

メーカーは「オールシーズンの登山に適した厚手モデル」とし、「長時間の行動でも蒸れにくく、長期遠征にも耐えるヘタリにくさ」があるとしています。

オススメのポイント

ミッドカット〜ハイカットの登山靴で、春から秋まで通して履く1足を探している人に勧めます。ウールと化繊の混紡で、編集部が基本に推す条件を満たしています。同じfinetrackのドライレイヤー®インナーと重ねれば、そのまま長い行程向けの組み合わせにもなります。

気になる点

厚手の分類なので、ローカットのハイキングシューズには厚すぎる場合があります。靴の中に余裕がない人は、同じシリーズの薄い段階を選ぶほうが合います。

Darn Tough ハイカー マイクロクルー ミッドウェイトクッション

Darn Toughの「ハイカー マイクロクルー ミッドウェイトクッション(19441466)」は、メリノウール61%、ナイロン36%、Lycraスパンデックス3%の混紡。クッションタイプは「ミッドウェイトクッション」です。

販売元のA&Fは、Darn Tough製品について「全て生涯保証となっております。アウトドアソックスでは例がありません」と説明しています。

オススメのポイント

4製品の中でメリノウールの比率がいちばん高く、ウールの良さを重視する人に勧めます。生涯保証があるので、長く履き込んで使いたい人にも向きます。丈が短めのマイクロクルーなので、ミッドカットの靴や、夏場に足首まわりを軽くしたい人に合います。

気になる点

ハイカットの登山靴では、靴の履き口より丈が短く、擦れることがあります。ハイカットに合わせるなら、同じシリーズの丈の長いモデルが向きます。品番や配色によって、シーズンで仕様が変わることがあります。

ザ・ノース・フェイス トレッキング ミッドウェイト クルー

ザ・ノース・フェイスの「トレッキング ミッドウェイト クルー(NN82325)」は、アクリル、ポリエステル、ウール、ナイロン、ポリウレタンを使い、ウール混用率は約4%です。

メーカーは、においのもととなる繊維上のバクテリア増殖を抑える「ポリジン加工」によって抗菌防臭機能を持たせ、アーチサポートも備えているとしています。

オススメのポイント

化繊主体で、汗をかく季節の日帰りに勧めます。ウールに頼らずにおい対策をしたい人や、土踏まずを支える作りを求める人に向きます。

気になる点

ウールが約4%と少ないので、寒い時期や朝晩の冷え込みが強い山では、メリノウール系のほうが向きます。秋以降も1足で通したいなら、ほかの3製品のほうが合います。

injinji トレイル ミッドウェイト クルー

injinjiの「Trail Midweight Crew」は、58% Nylon、39% COOLMAX® EcoMade Polyester、3% LYCRA® Spandexの構成です。COOLMAX® EcoMadeは、100%リサイクルポリエステルの繊維だとされています。

5本指構造のトレイルソックスで、指と指の間に生地が入る作りです。

オススメのポイント

指の間のマメや擦れに悩んでいる人に勧めます。5本指は4製品の中でこの製品だけです。ウールを含まない化繊のみの構成なので、夏場や汗の多い人にも合います。

気になる点

5本指は履くのに少し手間がかかり、好みも分かれます。保温を求める季節には、上に薄手のウールソックスを重ねる使い方になります。素材構成は米国の公式サイト(injinji.com)の記載です。

比較表

素材構成と厚さ表記はメーカー・販売元の公表値、「向く人」は編集部の見立てです。

製品 素材構成 厚さ・クッション表記 向く人 価格を見る
finetrack メリノスピンソックス アルパインレギュラー ウール55%・ナイロン29%・ポリエステル13%・ポリウレタン3% 厚手(finetrack基準) ミッド〜ハイカットで、通年の1足を探す人 楽天Amazon
Darn Tough ハイカー マイクロクルー ミッドウェイトクッション メリノウール61%・ナイロン36%・Lycraスパンデックス3% ミッドウェイトクッション(Darn Tough基準) ウール重視で長く履き込みたい人 楽天Amazon
ザ・ノース・フェイス トレッキング ミッドウェイト クルー アクリル・ポリエステル・ウール(約4%)・ナイロン・ポリウレタン ミッドウェイト 汗をかく季節の日帰りに 楽天Amazon
injinji トレイル ミッドウェイト クルー ナイロン58%・COOLMAX®エコメイドポリエステル39%・LYCRA®スパンデックス3% ミッドウェイト 指の間のマメや擦れに悩む人 楽天Amazon

厚さ・クッション量の表記は、各ブランド独自の基準です。ブランドをまたいで同じ厚みを意味するものではありません。

まとめ

  • 基本の1足は、メリノウールに化繊を混ぜた混紡の靴下を勧める
  • 真夏や汗の多い人、ローカットのシューズには化繊主体。指の擦れが気になるなら5本指
  • 厚さは、合わせる登山靴のカットから決める。呼び方はブランドごとに違うので、同じブランドの中で選び、靴と一緒に試し履きする
  • 長い行程や縦走には、薄い化繊インナーとメリノウールの重ね履き

登山靴とカットの関係は登山靴の選び方、服装全体の重ね方はレイヤリングの考え方、日帰りの持ち物全体は日帰り登山の持ち物リストにまとめています。

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