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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。
登山用品店やECサイトでミドルレイヤーのフリースを探すと、見た目も重さもまったく違うものが並んでいます。片方は裏面がふわっと起毛した厚手のもの、もう片方は表面に凹凸のある格子模様の「グリッドフリース」。どちらも「フリース」とだけ書かれていて、行動中に着るミドルレイヤーとして何を基準に選べばいいのか分かりにくい。
この記事では、登山用フリースの生地で定番のPolartec(ポーラテック)を軸に、生地の種類と厚さの段階を整理し、6つの製品を重さで比べます。
この記事でわかること
- 起毛フリースとグリッドフリースの仕組みの違い
- Polartecの「100・200・300」が何を表しているか
- 6製品の重さを公式・販売ページの記載で比べた結果
- 行動中と停滞中、どちらを選ぶかの基準
選ぶ基準。行動中か、停滞中か
編集部は、行動量が多く汗をかく場面ではグリッドフリースや薄手の起毛を、停滞中心で防寒を優先する場面では厚手の起毛フリースを勧めます。
稜線を登り続けるような行動中は、熱と汗を外へ逃がすことが優先されます。ここは通気性を重視したグリッドフリースが向きます。逆に山小屋前や休憩での待ち時間、寒い時期の停滞では、保温力を重視した厚手の起毛フリースが向きます。
ミドルレイヤーが受け持つ仕事
登山のウェアは3つの層に分けて考えます。ミドルレイヤーは、保温と通気の両方を受け持つ層です。詳しくはレイヤリングの考え方にまとめましたが、フリースはこのミドルレイヤーの代表的な選択肢のひとつです。

起毛フリースと、Polartecの「100・200・300」
起毛フリースは、表面の繊維を起こして、そのすき間にためた空気で保温する生地です。毛足が長く厚いほど空気を多く含み、そのぶん暖かく、重くなります。
起毛フリースの厚さを見分ける手がかりになるのが、Polartecのフリースに付いている番号です。Polartec公式は、フリースを次の4段階で紹介しています。
| Polartecの段階 | 公式の説明(要約) | この記事で紹介する製品 |
|---|---|---|
| Micro | 穏やかな条件や重ね着向けの、ごく軽いもの | — |
| 100 | 軽い保温。通気性のあるミドルレイヤーに向く | マーモット ポーラライトフリースジャケット |
| 200 | 中厚手。寒い時期に幅広く使える | ザ・ノース・フェイス フィールドフリースジャケット |
| 300 | 厚手。厳しい寒さで最大の保温を担う | ザ・ノース・フェイス デナリジャケット |
公式ページは番号の具体的な定義までは示していませんが、100 → 200 → 300 の順に厚く、暖かくなる並びです。製品名に「200 Micro」「300 Micro」とあるものは、同じ段階の中で表面を細かく仕上げた生地だと考えてください。

グリッドフリースの仕組み
グリッドフリースの代表的な素材が、Polartecの「Power Grid」です。Polartec公式は、構造について「毛足の高い部分と、何もない空間が交互にある独自のグリッド構造を持ち、生地の内外に空気の流れを増やす」と説明しています。
同社は「肌から汗を引き離し、外側の表面全体に広げて素早く蒸発させる。これにより生地が水分で飽和することを防ぎ、ドライに保つ」とも説明しています。起毛フリースが空気の層で保温するのに対し、グリッドフリースは格子の隙間で通気の道を作り、軽さと蒸れにくさを優先した構造です。
ここで注意したいのは、「グリッド=必ず薄手」ではないという点です。グリッド構造を採った製品にも、厚さの異なるモデルがあります。グリッド構造というだけで厚さが決まるわけではなく、モデルごとの重量表記で確かめる必要があります。
なお、Polartecには「Power Dry」という薄手の生地もあります。公式は肌側に着るベースレイヤー向けの生地として紹介しており、汗を外側へ移して素早く乾かすことを特長に挙げています。
重さで比べる
重量は各ブランドの公式ページ、マーモットのみ販売ページの記載です。いずれもLサイズ(R1のみサイズの記載なし)。
| 製品 | 種類 | 生地 | 重量 | 価格を見る |
|---|---|---|---|---|
| ザ・ノース・フェイス エクスペディショングリッドフリースフーディ | グリッド | FUTURE FLEECE(ノース・フェイス独自) | 約220g | 楽天 |
| パタゴニア R1 プルオーバー | グリッド | Polartec Power Grid | 306g | 楽天 |
| ブラックダイヤモンド コエフィシェントフリースフーディ | 薄手 | Polartec Power Dry | 310g(Mサイズ実測・販売ページ) | 楽天 |
| マーモット ポーラライトフリースジャケット | 起毛(薄手) | Polartec 100 | 431g | 楽天 |
| ザ・ノース・フェイス フィールドフリースジャケット | 起毛(中厚手) | Polartec 200 Micro | 約510g | 楽天 |
| ザ・ノース・フェイス デナリジャケット | 起毛(厚手) | Polartec 300 Micro | 約710g | 楽天 |
グリッドの約220gから、厚手の起毛の約710gまで、3倍以上の差があります。同じ起毛でも、Polartecの段階が100・200・300と上がるにつれて、431g・約510g・約710gと重くなっていきます。
ブランドをまたいで重量を比べる共通の試験基準は見当たりませんでした。サイズや計り方も揃っていないので、この数値は目安として見ておきます。

行動中に着るなら。グリッドと薄手
ザ・ノース・フェイス エクスペディショングリッドフリースフーディ
公式によると、FUTURE FLEECE(ポリエステル100%)を使い、「グリッド構造により行動中は通気換気」できるとしています。重量は約220g(Lサイズ)で、今回の6製品の中で一番軽いモデルです。
オススメのポイント
グリッド構造で通気性を確保しつつ、八本の突起がある中空繊維で軽さと保温力を両立しているとメーカーは説明しています。行動中に着たまま歩くミドルレイヤーとして、編集部はこのモデルを勧めます。
気になる点
薄く軽いぶん、停滞時間が長い行程や厳冬期の防寒には単体では足りません。アウターや別の防寒着を合わせる前提で選びます。
パタゴニア R1 プルオーバー
公式によると、胴体にPolartec Power Gridを使い、脇の下などには通気性の高いベースレイヤー素材を組み合わせたハイブリッド構造です。重量は306g。肩の縫い目をザックのショルダーハーネスから外した位置にしています。
オススメのポイント
Polartec Power Gridを使った、グリッドフリースの定番です。胴体は暖かく、脇は熱を逃がす作り分けがされているので、登りと休憩を繰り返す行程に向きます。
気になる点
スリムフィットのハーフジップなので、着脱は前開きのジャケットより手間がかかります。上に羽織るものとのサイズの相性も確認してください。
ブラックダイヤモンド コエフィシェントフリースフーディ
販売ページによると、生地はPolartec Power Dry(180g/㎡)で、重量はMサイズの実測で310g。保温性、通気性、速乾性をうたうアルパイン向けのミドルレイヤーです。
オススメのポイント
伸縮性のある薄手の生地で、体に沿うスリムフィット。汗をかく登りで、肌に近い層として着たい人に向きます。
気になる点
Polartec自身はPower Dryをベースレイヤー向けの生地として紹介しています。保温はグリッドや起毛より控えめと考え、寒い時期は上に保温着を重ねてください。
停滞や寒い時期に着るなら。起毛
マーモット ポーラライトフリースジャケット
販売ページによると、Polartec 100を使った起毛フリースで、重量は431g(Lサイズ)。前身頃と背中上部の裏地にメッシュを使っています。
オススメのポイント
Polartecの段階では一番軽い「100」。起毛の柔らかさがありつつ、行動中にも着やすい薄さです。秋の低山や、春夏の朝晩の防寒に向きます。
気になる点
薄手なので、冬の停滞や稜線の強風では単体では足りません。ウインドシェルやダウンと組み合わせます。
ザ・ノース・フェイス フィールドフリースジャケット
公式によると、Polartec 200 Micro(ポリエステル100%)を使い、重量は約510g(Lサイズ)。対応するアウターとファスナーでつなげる「ZIP IN ZIP」に対応しています。
オススメのポイント
中厚手の「200」で、行動中の防寒と休憩時の保温のどちらにも寄せられる厚さです。手持ちのノース・フェイスのシェルとつなげれば、重ね着が一体になります。
気になる点
グリッドに比べると通気性は控えめです。急な登りが続く行程では、汗をかく前に脱ぐ前提で持ちます。
ザ・ノース・フェイス デナリジャケット
公式によると、本体にPolartec 300 Micro(ポリエステル100%)、肩部分にリサイクルナイロンを使い、「保温性、イージーケア性に優れ、柔らかくなめらかな表面が特徴」としています。重量は約710g(Lサイズ)で、今回の6製品の中で一番重い、保温力を優先した作りです。
オススメのポイント
肩部分に摩耗しやすいナイロン素材を配置しているぶん、ザックのショルダーハーネスが当たる部分の耐久性を重視したい人に、編集部はこのモデルを勧めます。
気になる点
重量は約710gとグリッドフリースの3倍以上あり、行動中に着たまま歩く用途には重さが負担になります。停滞・防寒用として持ち、行動中は別のミドルレイヤーに着替える、という使い方に向きます。
まとめ
- 起毛フリースは繊維のすき間にためた空気で保温する。厚いほど暖かく、重い
- Polartecの起毛フリースは100 → 200 → 300 の順に厚く、暖かくなる
- グリッドフリースは毛足のある部分と空間が交互にある構造で通気の道を作り、軽さと蒸れにくさを優先する
- グリッド構造でも厚さはモデルごとに違う。「グリッド=薄手」と決まっているわけではない
- 今回の6製品では、グリッドの約220gから厚手の起毛の約710gまで、3倍以上の重量差がある
- 行動量が多く汗をかく場面はグリッドや薄手、停滞中心・防寒優先の場面は厚手の起毛が向く
服装全体の重ね方はレイヤリングの考え方に、晴れた稜線で着るアウターはウインドシェルとは何かにまとめました。
出典
- Polartec Power Grid
- Polartec Fleece Series
- Polartec Power Dry
- ザ・ノース・フェイス エクスペディショングリッドフリースフーディ
- ザ・ノース・フェイス デナリジャケット
- ザ・ノース・フェイス フィールドフリースジャケット
- パタゴニア メンズ R1 プルオーバー
画像クレジット
- アイキャッチ:トレッキングポールを持ち森の山道を歩く登山者:Adobe Stock #531171382
- フリースを着て山道で空を見上げる女性:Adobe Stock #470234255
- 起毛したフリース生地のアップ:Adobe Stock #401142151
- フードをかぶり紅葉の岩山を見上げる登山者:Adobe Stock #448492550


