チェーンスパイクと軽アイゼンの違い。歯の数と対応する路面で選ぶ

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

晩秋から春先、低山や残雪期の縦走で「チェーンスパイクで足りるのか、軽アイゼンが要るのか」と迷う人は多いと思います。検索すると「チェーンスパイクは滑る」「軽アイゼンは重い」のような感想ベースの記事が目立ちますが、歯の数・重さ・メーカーが想定している路面を見れば、はっきり違いが出ます。

雪の上を歩く登山靴の靴底

この記事でわかること

  • 構造の違いと、製品ごとの歯の数・重さ(公式スペック)
  • メーカーが示す「対応する斜面・路面」の範囲
  • どちらを選ぶかの基準

結論。選ぶ基準は3つ

  • 歯の数と大きさ:チェーンスパイクは小さい歯が多数、軽アイゼンは大きい歯が少数
  • 重さ:チェーンスパイクが軽いとは限らない。歯の数と構造で決まる
  • 対応斜面:軽アイゼンのほうが急な斜面まで対応する一方、どちらも登山用クランポンの代用にはならない

チェーンスパイクと軽アイゼンは、構造がそもそも違う

チェーンスパイクは、鋲をもつチェーンが登山靴のアウトソールを覆い、それを伸縮性の高いシリコンラバーやエラストマーのバンドで固定する構造です。キャラバンの解説では「鋲をもつチェーンが登山靴のアウトソールを覆い、それを伸縮性が高いシリコンラバーで固定」とされています。

軽アイゼンは、フレームに大きい爪が付いた、登山用クランポンに近い構造です。キャラバンは6本爪の軽アイゼンを「日本でいうところのいわゆる”軽アイゼン”」と説明しています。この構造の違いが、歯の大きさと対応する斜面の差につながります。

雪面に立つ登山靴に着けた、大きな爪のアイゼン

低山の残雪は、こうして雪が解けた部分と締まった部分がまだらに残ります。チェーンスパイクと軽アイゼンの違いは、この路面でどこまで食い込むかの違いでもあります。

歯の数・重さを比較する

いずれも公式サイト・公式代理店の記載です。

製品 タイプ 歯の数 歯の高さ 重量(ペア)
アイスマスター R チェーンスパイク 13個 15mm S約455g〜LL約500g
アイスマスター エボ チェーンスパイク 13カ所 15mm S約425g〜LL約450g
アイスマスター ライト チェーンスパイク 13ヵ所 13mm S約270g〜LL約302g
Kahtoola MICROspikes チェーンスパイク 12本 10mm M 338g
フロスト 軽アイゼン(6本爪) 6本 高さ30mm・幅15mm 約555g
EVERNEW 4本爪アイゼン 軽アイゼン 4本 記載なし 250g
EVERNEW 巾調節式6本爪アイゼン 軽アイゼン 6本 全長15cm S約570g〜L約590g

チェーンスパイクは歯の数こそ多いものの、1本あたりは小さい歯です。軽アイゼンの爪は、キャラバンの比較記事によると「爪の大きさ(面積)はアイスマスターエボ、アイスマスターライトの数倍」あり、フロストの爪は高さ30mm・幅15mm。歯の数より1本あたりの大きさで、雪への食い込み方が変わります。

重さは「チェーンスパイクが軽い」とは決めつけられません。EVERNEWの4本爪アイゼンは250gで、チェーンスパイクのアイスマスター ライト(S約270g)より軽く、歯の数が少ない分軽くできる製品もあります。逆に6本爪のフロストや巾調節式6本爪アイゼンは、チェーンスパイクの多くより重くなります。重さはタイプではなく、歯の数と構造で決まります。

対応する路面・斜面で選ぶ

ここは歩き方の指導ではなく、メーカーが自分の製品について示している範囲をそのまま整理します。

チェーンスパイクについて、キャラバンは「雪が少ない低山や起伏が少ない残雪上などでは十分に機能」すると説明しています。アイスマスター Rの製品ページでも「比較的容易な冬期登山から夏山の雪渓歩きまで幅広く対応可能」とされ、傾斜が緩い雪道や残雪の踏み跡が主な想定です。

軽アイゼンのフロスト(6本爪)について、キャラバンのフィールドインプレッションでは、写真では急斜面に見えた雪面を実測すると約25度で、雪が締まっていればテストで登れたと報告しています。製品ページでも「冬の低山ハイクや夏の雪渓歩きに適しています」とされています。チェーンスパイクより急な斜面でも使われている点が、爪の大きさと対応しています。

ただし、どちらも本格的な雪山用クランポンの置き換えにはなりません。アイスマスター Rとアイスマスターエボ・ライトの製品ページには、それぞれ「登山用クランポンとしての代用には使用できません」と明記されています。歯が大きい軽アイゼンでも同じで、急峻な雪壁や凍った急斜面は想定していません。

雪が積もった樹林の中の、木道と階段の下り道

チェーンスパイクや軽アイゼンが対象にしているのは、あくまで残雪や緩い雪道です。写真のような氷河や急峻な凍結斜面は、登山用クランポンの領域になります。

製品で比較する

キャラバン アイスマスター エボ

オススメのポイント

スパイク高15mmのステンレススチール・スパイクを13カ所に配置し、同じキャラバンのアイスマスター ライト(13mm)より食い込みが深くなります。重量もS約425g〜LL約450gと、アイスマスター Rよりやや軽い構成です。

気になる点

チェーンスパイクである以上、登山用クランポンとしての代用には使用できないと製品ページに明記されています。

キャラバン アイスマスター R

オススメのポイント

スパイク高15mmのスパイクを13個備え、製品ページでは「比較的容易な冬期登山から夏山の雪渓歩きまで幅広く対応可能」とされています。エボと同じ15mmの歯で、残雪の踏み跡から冬の低山まで使う場面が広いモデルです。

気になる点

重量はS約455g〜LL約500gで、アイスマスター系列の中ではもっとも重くなります。製品ページには「登山用クランポンとしての代用には使用できません」と明記されています。

キャラバン アイスマスター ライト

オススメのポイント

重量はS約270g〜LL約302gで、アイスマスター R・エボよりかなり軽くなります。歯は13ヵ所で、持ち歩く重さを抑えたいときの候補です。

気になる点

スパイク高は13mmで、R・エボの15mmより短くなります。エボと同じく、登山用クランポンの代用には使用できないと製品ページに明記されています。

Kahtoola マイクロスパイク(MICROspikes)

オススメのポイント

歯数12本・スパイク長10mmで、ステンレススチール製のスパイクとチェーンを採用しています。Mサイズで338gと、アイスマスター R・エボより軽量です。

気になる点

歯の高さが10mmと、アイスマスター系列(13〜15mm)より短くなります。雪が深い場面では歯の大きいモデルとの差が出る可能性があります。

キャラバン フロスト

オススメのポイント

6本爪で、爪の高さ30mm・幅15mmとチェーンスパイクより大きく、キャラバンのフィールドインプレッションでは、写真では急斜面に見えた雪面を実測すると約25度で、雪が締まっていればテストで登れたと報告されています。ラチェットベルト構造で装着しやすい点も扱いやすさにつながります。

気になる点

重量は約555gで、チェーンスパイクの多くより重くなります。軽アイゼンであっても、登山用クランポンの代用にはならないという位置づけは変わりません。

EVERNEW 4本爪アイゼン(EBY012)

オススメのポイント

質量250gで、今回比較した製品の中でもっとも軽量です。素材は炭素鋼、仕様はゴムバンド式で、用途は夏の雪渓用。収納袋が付属します。

気になる点

歯数は4本と少なく、6本爪のフロストや巾調節式6本爪アイゼンより接地点が少なくなります。急な斜面での使用を想定した資料は見当たりません。

雪に覆われたなだらかな登山道を一人で歩く登山者

用途別の選び方

  • 雪が少ない低山、起伏の少ない残雪の踏み跡 → チェーンスパイク
  • 春以降の残雪が多い山、少し急な斜面が混じる低山 → 軽アイゼン(6本爪)。爪が大きく、現地テストでは約25度の雪面まで登れている
  • 荷物を軽くしたい、雪渓の一部だけ通過する → EVERNEWの4本爪のような軽量な軽アイゼンも選択肢
  • 本格的な雪壁や急峻な凍結斜面 → どちらも対象外。登山用クランポンの領域

参考までに、モンベルのチェーンスパイクも重量はペアでS280g〜XL405gと公開されています。自社通販のみで楽天・Amazonでは買えないため、比較の参考値に留めます。

まとめ

  • チェーンスパイクは小さい歯をチェーンで連結した構造。軽アイゼンはフレームに大きい爪が付いた構造
  • 軽アイゼンの爪は、チェーンスパイクの爪より数倍大きい(フロストで高さ30mm・幅15mm)
  • 重さは「チェーンスパイクが軽い」とは限らない。EVERNEW 4本爪(250g)はチェーンスパイクより軽い
  • チェーンスパイクは雪が少ない低山・起伏の少ない残雪向け、軽アイゼンは現地テストで約25度の雪面まで登れたと報告されている
  • どちらも登山用クランポンの代用にはならない、とメーカー自身が明記している

日帰り登山の持ち物は日帰り登山の持ち物リスト、残雪期の気温の目安は標高と気温の関係でも扱っています。

出典

画像クレジット

Adobe Stock から。

  • 岩と氷の登山道でチェーンスパイクを着けた足元(アイキャッチ): Adobe Stock #397690827
  • 雪の上を歩く登山靴の靴底: Adobe Stock #407867956
  • 雪面で登山靴に着けたアイゼン: Adobe Stock #499236786
  • 雪の樹林の木道と階段: Adobe Stock #399669859
  • 雪の登山道を歩く登山者: Adobe Stock #510691279
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