登山靴のカットで何が変わるのか。ハイ・ミドル・ローの使い分け

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

登山靴の説明でまず出てくるのが「ハイカット」「ミドルカット」「ローカット」です。選ぶときは、荷物の重さだけでなく地形・季節・足へのフィットを見ます。

先に基準を書きます。テント泊と長期縦走はハイカット、日帰りから山小屋泊はミドルカット、整備された低山とトレイルランニングはローカット。同じ山でも、荷物が変われば靴も変わります。

この記事でわかること

  • カットの高さが何を変えるのか
  • 荷物の重さとカットの対応
  • ソールの硬さで変わること
  • 防水と非防水の使い分け
  • 靴選びで解決しないこと

最初に見るのはカットではなくソール

意外かもしれませんが、モンベルの登山靴の選び方が最初に挙げているのはカットではありません。ソールのグリップ力です。滑って転べばケガをしますし、場所によっては滑落につながります。

これは統計とも合っています。警察庁の遭難の態様は、道迷いに次いで転倒が19.2%、滑落が17.3%。合わせて3分の1以上が「滑る・転ぶ」です。靴の一番の仕事は、まず滑らないことになります。

登山靴のソールの溝

ハイカットは重い荷物のため

推奨されているのは、森林限界より高いところを歩く縦走と、テント泊です。理由は2つあります。

  1. 足首をホールドして、ねん挫のリスクを減らす
  2. 剛性の高いソールが、岩の凹凸から足裏を守る

どちらも荷物が重いほど差が開きます。重さが増せば足首にかかるねじれも大きくなり、足裏が受ける凹凸の痛みも増える。そこを靴で受け止める、という考え方です。

逆に言えば、荷物が軽いのにハイカットを選ぶ理由は薄くなります。

岩の重なる道を登る足元

ミドルカットは日帰りから山小屋泊

ハイカットとローカットの中間で、程よい足首の保護と、やや硬めのソールを持ちます。小屋泊程度の荷物で長時間歩くのに合う、という位置づけです。

そして登山装備ガイド 基本編には、踏み込んだ一行があります。

荷物の少ない日帰り登山でもミドルカット以上のモデルが安心です。

日帰りでもミドルカット以上。 1足目を選ぶなら、ここが基準になります。

同じミドルカットでも、より軽快な作りのものがあります。荷物が軽く、歩く距離が長い山行ではこちらが合います。

いずれも防水透湿素材のモデルです。天候のよい日帰りに限るなら、次の項の非防水も選択肢になります。

ローカットは軽い荷物と短い行程

足首の自由度が高く、ソールが柔らかいので軽快に歩けます。適するのは、日帰りで荷物が少なく、整備された登山道を歩く場合。この「整備された」という条件が付いています。岩や木の根が出た道では前提が変わります。

いま、装備を軽くして歩く人がローカットを選ぶ場面は増えています。トレイルランニング用の靴が、そのままハイキングでも履かれるようになったためです。荷物が軽ければ、足首を固める必要がそもそも小さくなります。

底の厚いタイプは、硬い路面や長い下りでの脚の負担を減らす方向の作りです。

ただし、軽い靴が上位互換というわけではありません。 足首の保護はなく、ソールが柔らかいぶん、岩を踏んだ感触がそのまま足裏に来ます。重い荷物を背負ってこれを履くと、下の表の対応が崩れます。靴だけ軽くするのではなく、荷物を軽くしたうえで靴も軽くする、という順番です。

荷物とカットの対応

山行 カット ソール
テント泊・長期縦走 ハイカット 硬め
山小屋泊・日帰り ミドルカット やや硬め
低山の整備された道・トレイルランニング ローカット 柔らかめ

この表は大まかな整理です。カットの高さだけで用途を決めず、ソールの剛性、フィット、行程も確認します。

防水は要るのか

靴の中が濡れる原因は2つあります。外から入ってくる水と、自分の汗です。だから防水だけでは足りず、汗の水蒸気を出す透湿性も要る。ゴアテックスのような防水透湿素材が勧められるのはこのためです。

一方で、天候のよい日帰りなら通気性のよい非防水も使える、と明示されています。自分の汗でも靴の中は濡れるため、夏の低山では防水が裏目に出ることもあります。この構図はレインウェアと同じなので、登山用レインウェアの選び方もあわせて読んでください。

浅い流れに入った登山靴

ソールの硬さはどこで決まるか

つま先はソールと一体成形のバンパーで守られ、内部にはねじれを防ぐプレートが入っています。このプレートやシャンクの有無が、ソールの硬さを決めています。

店頭で靴を手に取って軽くねじってみると、差がはっきり分かります。カタログの数字より確実です。

雪山は別の話

雪山ではアイゼンとの相性でソールの硬さを選びます。ワンタッチやセミワンタッチのアイゼンを使うなら、かかとやつま先にコバがあるモデルが要ります。

アイゼンの装着方式と靴底の剛性・形状によって適合が異なります。コバの有無だけでは判断せず、靴とアイゼン双方のメーカーの対応情報を確認してください。

ソールは使わなくても劣化する

見落とされやすいところです。ソールは使っていなくても経年劣化で剥がれることがあります

数年ぶりに出した靴ほど危ない、ということです。押し入れから出したら、家で曲げて確認してから山に持っていってください。歩き出してから剥がれると、下山手段がなくなります。帰宅後の手入れと、劣化の見分け方は登山靴の手入れにまとめました。

まとめ

  • 最初に見るのはソールのグリップ力。遭難の態様では転倒19.2%、滑落17.3%
  • ハイカットはテント泊と長期縦走。足首のホールドと硬いソール
  • ミドルカットは日帰りから山小屋泊。公式は「日帰りでもミドルカット以上が安心」としている
  • ローカットは整備された低山とトレイルランニング
  • 基準は背負う重さ。同じ山でも山行形態で変わる
  • 濡れの原因には自分の汗もある。天候が良ければ非防水も選べる
  • 雪山は靴とアイゼン双方の適合情報を確認する
  • ソールは使わなくても経年劣化する

容量の決め方は登山用ザックの容量の決め方にまとめました。

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