登山の保温ボトルは何mlを選ぶか。350ml・500ml・750ml・900mlの使い分け

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

保温ボトルの売り場に行くと、350mlから900mlまでサイズが並んでいます。山頂でお湯を注いだのに、休憩の終わりにはもう生あたたかいだけだった、という経験がある人も多いはずです。反対に、大きいボトルを買ってザックの中で場所を取る、重いという失敗もあります。

この記事でわかること

  • 保温ボトルの「保温効力」が何を測った数字か
  • サーモスとモンベルの350ml〜900mlの保温効力・重量・寸法の違い
  • 「山専用ボトル」と一般的な保温ボトルの構造の違い
  • 日帰り・小屋泊・厳冬期など、用途別にどの容量が合うか

先に結論です。日帰りで荷物を軽くしたい日は350〜500ml、休憩で仲間とお湯を分け合うような標準的な日帰り〜小屋泊は750ml前後、厳冬期や行動時間が長く小屋で何度もお湯を使う日は900ml前後が目安になります。

保温効力とは何を測った数字か

保温ボトルのカタログには「保温効力78℃以上」のような数字が並んでいます。これは測定条件が公式に決まっている数値です。

保温効力とは、室温20℃±2℃において製品に熱湯を中せん下端まで満たし、湯温が95℃±1℃のときから中せんとコップを付けて縦置きにした状態で6時間放置した場合におけるその湯の温度です。

つまり、室温20℃前後で95℃のお湯を満量まで入れ、ふたを閉めたまま置いた6時間後の温度です。山で注ぐお湯は沸騰直後ではないことも多く、置く場所の気温も室温20℃より低いことがほとんどです。実際の使用条件は、この測定条件より厳しくなる場面が多く、数値どおりの温度は保てません。

保温ボトルから湯気の立つお茶がカップに注がれている

注いだ瞬間の湯気は、6時間後の温度とは別の話です。山で飲む温度は、ボトルの性能と、入れたときの湯温と、外の気温で決まります。

350ml・500ml・750ml・900mlを比べる

サーモスの3点と、モンベルの登山用ボトル「アルパイン サーモボトル」の2サイズを並べます。サーモスのFFM-352は山専用シリーズではない、ふつうのコップタイプのステンレスボトルです。山専用ボトルはFFX-752とFFX-902の2点です。

いずれも公式ページの記載です。

製品 タイプ 実容量 保温効力(6時間後) 重量 寸法(幅/奥行/高さ) 価格を見る
FFM-352 ステンレスボトル(コップタイプ) 0.35ℓ 69℃以上 約0.2kg 6.5×6.5×19.0cm 楽天Amazon
FFX-752 山専用ステンレスボトル 0.75ℓ 78℃以上 0.36kg(ボディリング・ソコカバーを外すと0.33kg) 8.0×8.0×26.0cm 楽天Amazon
FFX-902 山専用ステンレスボトル 0.9ℓ 80℃以上 0.39kg(ボディリング・ソコカバーを外すと0.36kg) 8.0×8.0×30.0cm 楽天Amazon
モンベル アルパイン サーモボトル 0.5L 登山用サーモボトル 0.5L 78℃以上 237g Φ6.8×22.5cm 楽天Amazon
モンベル アルパイン サーモボトル 0.9L 登山用サーモボトル 0.9L 81℃以上 354g Φ7.6×29.1cm 楽天Amazon

容量が大きくなるほど、保温効力の数字も上がっています。中身に対してまわりの空気に触れる面積の比率が小さくなるぶん、冷めにくくなるためです。そのかわり重量も増え、350mlの約0.2kgに対して900mlは0.39kgです。

同じ900mlどうしでは、モンベルが354gでサーモスFFX-902の0.39kgより約40g軽く、保温効力も81℃以上と1℃高い数字です。モンベルの0.5Lは、サーモスの750mlと同じ78℃以上を237gで出しています。いずれもメーカーが公表している測定条件での数値で、条件が同じ室温20℃・6時間なので横に並べて比べられます。

夕方の山頂で保温ボトルを横に置いて休憩する登山者

山頂の休憩でカップ1〜2杯を飲むだけなら、350〜500mlで足ります。何人分を、何回の休憩で使うかが容量を決めます。

1. THERMOS ステンレスボトル FFM-352(350ml)

公式ページによると、保冷効力は6時間後11℃以下です。保温・保冷の両方が公式に記載されている製品です。

オススメのポイント

重量は3点でもっとも軽い約0.2kgです。コップタイプなので、お湯を注ぎ分けて複数人で使うときに扱いやすくなります。保冷効力の記載があるのもこの製品だけで、冷たい飲み物を入れる使い方にも向きます。

気になる点

保温効力は3点でもっとも低い69℃以上です。山専用シリーズではないため、グローブを着けたままの操作や本体保護を考えた構造はありません。

2. THERMOS 山専用ステンレスボトル FFX-752(750ml)

公式ページによると、ボディリング・ソコカバーを外すと重量は0.33kgになります。

オススメのポイント

保温効力78℃以上は、350mlのFFM-352より9℃高い数字です。山専用ボトル共通の構造として、ノンスリップカップ、イージーオープニングストッパー、ボディリング、ボトムカバーが付いています。ボディリングとソコカバーは取り外せるので、重さを少し落とすこともできます。

気になる点

重量は0.36kgで、FFM-352の約0.2kgより重くなります。寸法は幅・奥行8.0cm、高さ26.0cmと一回り大きく、ザックの中で場所を取ります。

3. THERMOS 山専用ステンレスボトル FFX-902(900ml)

公式ページによると、ボディリング・ソコカバーを外すと重量は0.36kgになります。

オススメのポイント

保温効力80℃以上は3点でもっとも高い数字です。900mlという容量なら、1回の休憩で複数人分のお湯を分けたり、小屋で何度もお湯を使う場面でも足りやすくなります。

気になる点

重量0.39kgは3点でもっとも重く、高さ30.0cmで寸法も最大です。ザックの中での収納場所を、750ml以上に考えておきます。

4. モンベル アルパイン サーモボトル(0.5L/0.9L)

公式ページによると、外側にSUS304、内側に耐食性の高いSUS316のステンレス鋼を使った、登山用に開発されたボトルです。サイズは0.35L・0.5L・0.75L・0.9Lの4つがあります。

オススメのポイント

内栓は半回転で開け閉めでき、グローブを着けたままでも扱いやすい作りです。0.5Lは237gで保温効力78℃以上、0.9Lは354gで81℃以上と、同じ容量帯のサーモス山専用ボトルより軽く、保温効力も同等以上です。別売りのアクティブリッドに替えると、直飲みのボトルとしても使えます。

気になる点

ボディリングやボトムカバーのような本体保護のパーツはありません。岩場で落としたときの凹みや、雪の上に置いたときの滑りやすさは、サーモスの山専用ボトルほど配慮されていません。

「山専用ボトル」と一般の保温ボトルの違い

FFM-352のような一般的なステンレスボトルと、FFX-752・FFX-902のような山専用ボトルは、同じ保温ボトルでも作られた意図が違います。公式サイトは、山専用ボトルの紹介ページで次のように説明しています。

平地では考えられない厳しい条件を想定して開発された/口径のサイズから形状、素材に至るすべての構造に、登山者のための意図があります。

具体的には、グローブを着けたままでも持ちやすいノンスリップカップ、片手でも開けやすいイージーオープニングストッパー、本体を保護するボディリング、底を保護するボトムカバーが、山専用ボトルの構造です。ボディリングとボトムカバーは、どのサイズでも取り外せます。

山専用ボトルのラインナップは、500ml・750ml・900mlの3サイズです。350mlのFFM-352はこの山専用シリーズには含まれず、グローブ対応や本体保護の構造は持っていません。モンベルのアルパイン サーモボトルは、半回転で開く内栓でグローブ操作に対応していますが、本体を守るパーツは付いていません。

雪の中で手袋をした両手で温かいカップを持つ

山専用ボトルは、冷えた稜線や雪の上での休憩、グローブを着けたままの操作を想定して作られています。容量が上がるほど、重さとサイズも増えます。持っていく容量を決めるときは、保温効力の高さだけでなく、この重さと大きさも合わせて考えておきます。

用途別の選び方

  • 日帰り・荷物を軽くしたい日 … 350〜500ml。FFM-352の約0.2kg、モンベル0.5Lの237gが候補になります
  • 標準的な日帰り〜小屋泊、休憩でお湯を分け合う場面 … 750ml前後。FFX-752の保温効力とサイズが合います
  • 厳冬期・行動時間が長い日・小屋で複数回お湯を使う場面 … 900ml前後。保護パーツ付きならFFX-902、軽さと保温効力ならモンベル0.9L

テントの前で保温ボトルからコップにお湯を注ぐ

小屋泊やテント泊では、朝に入れたお湯を夕方まで何度も使います。休憩の回数が多い日ほど、後半の休憩で注げるお湯の量と温度に容量の差が出ます。

雪山の上で保温ボトルを持って座る登山者

行動時間が長く気温の低い厳冬期ほど、お湯が冷めにくい大容量のメリットが出てきます。

まとめ

  • 保温効力は、室温20℃・熱湯95℃・6時間放置という条件で測った数字。実際の使用条件はこれより厳しくなることが多い
  • 容量が大きいほど保温効力は高いが、重量とサイズも増える(サーモス:0.35ℓ→約0.2kg、0.75ℓ→0.36kg、0.9ℓ→0.39kg)
  • モンベルのアルパイン サーモボトルは、0.5Lで237g・78℃以上、0.9Lで354g・81℃以上。軽さでは上回るが、本体保護のパーツはない
  • 山専用ボトルはノンスリップカップ・ボディリング・ボトムカバーなどの構造を持つ。FFM-352は山専用シリーズではない、ふつうのステンレスボトル
  • 日帰りの軽量重視は350〜500ml、休憩で分け合うなら750ml、厳冬期や長時間は900mlが目安

山で持っていくお湯や水の量をどう決めるかは、水の量の決め方でまとめています。日帰りの持ち物全体のバランスは日帰り登山の持ち物リスト、山頂や稜線でどれだけ気温が下がるかは標高と気温の関係で扱っています。

出典

画像クレジット

写真はすべて Adobe Stock のライセンス画像です。

  • アイキャッチ(保温ボトルからマグに注ぐ手元): Adobe Stock #468019339
  • 湯気の立つお茶を注ぐ: Adobe Stock #391312601
  • 山頂で保温ボトルを横に休憩する登山者: Adobe Stock #571756283
  • 雪の中で手袋をして温かいカップを持つ: Adobe Stock #558332079
  • テントの前で保温ボトルからお湯を注ぐ: Adobe Stock #628167994
  • 雪山で保温ボトルを持って座る登山者: Adobe Stock #298615153
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