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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。
登山口までは普通に動いていた地図アプリが、稜線に入った途端「読み込み中」のまま固まる。下山してから、保存したつもりの地図が真っ白だったと気づく。どちらも、出発前の保存の仕方で防げます。
この記事でわかること
- 電波が無くても地図アプリが動く理由
- 出発前にオフライン地図を確実に保存する手順
- 位置情報の設定で電池の減り方がどう変わるか
- GPSを使い続けたときの電池消費をどう見積もればいいか
- 電波の無い前提で、電池と地図を守る持ち物(モバイルバッテリーの比較つき)
結論
出発前に、Wi-Fiか電波のある場所で、歩く範囲より広めに地図を保存しておきます。 エスケープルートや下山口まで含めるのが安全です。保存したら、位置情報の許可は地図アプリだけ「常に許可」にし、他は「使用中のみ」かオフにします。GPSを長時間使うこと自体が電池を多く使う操作だとGoogleは案内しているので、地図アプリを開きっぱなしにすれば電池の減りは早まるという前提で持ち物を組みます。
電波が無くても地図が動く理由
位置を測るのはGPSで、通信は使いません。 衛星からの信号を受信するだけなので、電話の電波が届かない場所でも現在地は分かります。地図の画像データそのものは別の話で、こちらは事前に保存していなければ、電波が届く場所でしか表示されません。
ただし、位置情報の精度を上げる設定をオンにしていると、GPSに加えてWi-Fi・モバイルネットワークや加速度計・気圧計などのセンサーも使って精度を高める仕組みがあります(Google Pixelのヘルプ)。
電波の無い山の中では、この補正が効かず、GPSだけで位置を測ります。 精度は少し落ちても、現在地が分からなくなることはありません。

出発前にオフライン地図を保存する手順
地図が固まる、真っ白になる。こうした失敗の多くは、保存のタイミングと範囲で起きます。
保存はWi-Fiか電波のある場所で、前日までに済ませます。 登山口に着いてから落とそうとすると、その場所がすでに電波の弱いエリアだったり、駐車場の混雑で通信が遅かったりして、中途半端なまま出発することになります。保存する範囲も、歩く予定のコースより広めにとります。エスケープルートや、途中で引き返す可能性のある分岐、下山口の周辺まで含めておきます。コースの線だけをなぞって保存すると、予定を変えた瞬間に地図の外に出てしまいます。

保存する前に、スマホの空き容量も確認します。 地図データは、広い範囲・細かい縮尺で保存するほど容量を使います。
OnTrailsのアプリも、地図を事前にダウンロードしておけば、電波の届かない山の中でもGPSナビゲーションが使えます。
OnTrails のアプリ
OnTrails
オフライン対応の登山GPSアプリ。目的地への方角と距離を示すロックオン、赤線での軌跡の自動記録とGPXの書き出し、緊急時の座標共有。地図はGoogle Map・国土地理院地図・OpenStreetMapから選べます。
位置情報の設定と、GPSを使い続けたときの電池の減り方
次に見るのは位置情報の許可設定です。Androidのヘルプは、電池を多く使う操作の例として「GPS を長時間使用する。」を挙げ、対策として位置情報へのアクセスを切る方法を示しています(位置情報をオフにすると一部のアプリや機能が動作しなくなるとも注記されています)。Appleも同じ考え方で、位置情報を使っているアプリは専用の表示で示され、アプリ単位でLocation Servicesをオフにすることでバッテリーを最適化できると案内しています。
地図アプリ以外の位置情報は、切っておくほど電池が持ちます。 登山中は地図アプリだけ「常に許可」にして、SNSや天気アプリなど使わないアプリは「使用中のみ」かオフにしておきます。
「地図アプリを開きっぱなしでGPSを使うと、スマホの電池が何時間でどれだけ減るか」という公式スペックは、AppleもGoogleも公開していません。 減り方は機種や画面の明るさで変わります。
目安になるのは、GPS専用機の数字です。GarminのGPSウォッチ「fēnix 7」の公式スペックには、モードごとのバッテリー稼働時間が並んでいます。
スマートウォッチモード:約18日間/バッテリー節約モード:約57日間/GPSモード:約57時間/マルチGNSSモード:約40時間/マルチGNSS+音楽再生モード:約10時間/バッテリー最長モード:約136時間/Expeditionモード:約40日間
スマートウォッチモードの約18日間に対して、GPSモードは約57時間。 GPSを使うと、待機中の何十倍もの速さで電池が減ります。専用チップと専用電池を積んだ腕時計の数字なので、画面が大きく通信も動くスマホの持ち時間はこれより短くなります。実際の容量の見積もり方は山でスマホの電池を切らさないにまとめています。
電波の無い前提で、電池と地図を守る持ち物
保存した地図とGPSの測位は、電波が無くても動きます。使えなくなる原因は、電池切れか、スマホの故障・水没です。

電池は、モバイルバッテリーで足します。 地図アプリを開いたまま歩く日は、スマホ1回分の満充電に近い容量(10000mAh前後)を1つ持っておくと、帰りの電車で地図を確かめる分まで残せます。ケーブルを忘れると充電できないので、ケーブル一体型か、短いケーブルをバッテリーと同じ袋に入れておきます。
| 持ち物 | 向いている使い方 | 主な仕様(商品ページの記載) | 価格を見る |
|---|---|---|---|
| Anker Zolo Power Bank | 日帰り〜1泊。ケーブルを別に持ちたくない人 | 10000mAh、最大30W、USB-Cケーブル内蔵 | 楽天 |
| Anker Power Bank(Fusion) | 山小屋や前夜の宿で、コンセントから本体ごと充電したい人 | 10000mAh、USB-Cケーブル内蔵、コンセントに直接挿せるプラグ付き | 楽天 |
| Anker PowerLine III Flow | 手持ちのバッテリーに合わせる予備のケーブル | USB-C & USB-C、やわらかいシリコン素材 | 楽天 |
Anker Zolo Power Bank。 ケーブルが本体に付いているので、忘れる心配がありません。10000mAhで、スマホ1台を1回前後満充電できる容量です。
Anker Power Bank(Fusion)。 本体にコンセント用のプラグが付いていて、山小屋や前夜の宿では、充電器を使わずにバッテリーごと充電できます。
Anker PowerLine III Flow。 ケーブル一体型でないバッテリーを使うなら、予備のケーブルを1本入れておきます。シリコン素材で巻き癖が付きにくく、ザックの小物入れに丸めて入ります。
スマホを雨や水没から守る手段も持っておきます。 雨の稜線でも、地図は確認します。防水スマホポーチは、入れたまま画面を操作できる窓付きで、首から下げられるタイプが扱いやすいです。
スマホのサブ機として、GPS専用のウォッチを持つという選び方もあります。上で引用したGarmin fēnix 7のように、GPSモードで数十時間稼働するモデルなら、スマホの電池が尽きたあとも現在地だけは確認できます。価格帯が高いので、縦走や複数日の山行で地図アプリへの依存を減らしたい人向けの選択肢です。
まとめ
- GPSによる測位は衛星からの受信だけで成立し、通信は不要。電波が無くても現在地は分かる(位置情報の精度を上げる設定は、電波のある場所でだけ上乗せとして働く)
- 地図の保存はWi-Fiか電波のある場所で、前日までに、歩く範囲より広めに。空き容量も確認する
- GPSを長時間使うことは、AndroidもAppleも電池を多く使う操作として扱っている。地図アプリ以外の位置情報は切っておくと電池の減りに差が出る
- スマホ本体のGPS連続使用時間は、AppleもGoogleも公式には公開していない
- 電波の無い前提では、モバイルバッテリーと短いケーブル、雨・水没からスマホを守る手段をセットで持つ
電池そのものの容量の見積もり方は山でスマホの電池を切らさないに、紙の地図とコンパスを併用する理由は登山地図アプリは紙と併用するにまとめました。地理院地図での下調べは地理院地図で登山の下調べをするにまとめました。
出典
画像クレジット
- 山を背景に登山地図アプリを表示したスマートフォン(アイキャッチ): Adobe Stock #868596921
- 山あいの谷で現在地とルートを表示したスマートフォン: Adobe Stock #355450047
- 登山道で地形図を表示したスマートフォンを持つ手: Adobe Stock #431956854
- 山でモバイルバッテリーとスマートフォンを持つ手: Adobe Stock #1978132395


