行動食は何をどれだけ持つか。メッツ表から出す消費エネルギーの目安

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

行動食は、多すぎても少なすぎても困ります。余れば重りになり、足りなければ後半の登りで脚が上がらなくなります。

量を決める手がかりとして、登山の消費エネルギーは公的な資料から見積もれます。 ここでは、その計算と、持っていくものの選び方に絞ります。体調そのものの判断には踏み込みません。

この記事でわかること

  • 登山がどれくらいのエネルギーを使う運動なのか
  • 体重と時間から消費量を出す方法
  • 行動食が受け持つ範囲
  • 何を選ぶかの基準
  • この見積もりが外れる場面

小分けにした行動食

登山は何メッツか

メッツは、安静時を1としたときの運動の強さです。厚生労働省の健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023に載っている表では、山を登る運動はこう位置づけられています。

活動 メッツ
山を登る(0から4.1kgの荷物を持って) 6.5
山を登る(約4.5から9.0kgの荷物を持って) 7.3

同じ表で、ジョギングが7.0、テニスのシングルスが7.3です。日帰り装備で山を登る行為は、ジョギングと同じ強さの運動として扱われている、ということになります。

荷物が増えると数字が上がるところも実感に合います。テント泊装備なら、この表よりさらに上に出ます。

消費量を掛け算で出す

国立健康・栄養研究所の身体活動のメッツ表に、換算式が載っています。

エネルギー消費量 (kcal/10min) = 体重(kg) × METs × 10/60

10分あたりなので、1時間なら体重とメッツを掛けた数字になります。体重60kgの人が、日帰り装備で6時間登った場合です。

60 kg × 7.3 メッツ × 6 時間 = 2,628 kcal

2,600kcalを超えます。 ここには安静時に消費する分も含まれているので、「登山で余分に燃えた分」はこれより小さくなります。それでも、1日ぶんの食事に近い量が動いていることは分かります。

体重が80kgなら、同じ条件で3,500kcalに届きます。ベースウェイトの数え方で荷物を減らすことは、この数字を下げる話でもあります。

行動食が受け持つのは一部

出た数字を全部行動食で埋める必要はありません。実際には、こう分かれます。

  • 前夜と当日の朝食。 出発時点の蓄えを作る
  • 行動食。 行動中に、少しずつ足す
  • 昼食。 山小屋や休憩地点でまとまって食べる
  • 下山後の食事。 残りを取り戻す

行動食の役目は、行動中に切らさないことです。1回にまとめて食べるのではなく、休憩ごとに少量を足していく形になります。水と同じで、一度に大量を入れても処理が追いつきません。

目安の作り方としては、行動時間1時間につき100から200kcalを1回分として数え、休憩の回数だけ用意する、という組み立てが分かりやすいです。6時間なら5、6回分になります。

ザックの雨蓋に入れた補給食

何を選ぶか

行動食に求められる条件は、栄養だけではありません。

1. 片手で開けられること。

手袋のまま、立ったまま開けられるか。開けるのに両手と5秒かかるものは、結局食べません。

2. 溶けない、割れない、凍らない。

夏のチョコレートは溶け、冬のゼリーは凍ります。季節で入れ替えるものです。

3. 甘いものと塩気のものを混ぜる。

甘いものばかりだと途中で飽きます。塩気のあるものを混ぜておくと、汗をかいた日に手が伸びます。水分のとり方は山で持つ水の量の決め方にまとめました。

4. ゴミが小さくまとまること。

包装は持ち帰ります。かさばる袋は、それだけでストレスになります。

和菓子系は、この条件をまとめて満たしやすい系統です。ようかんは水分を含んでいて口の中で溶け、包装も小さくまとまります。

複数の種類が入ったセットは、自分に合うものを探す段階で無駄が出にくいです。手が伸びるものが分かってから、まとめ買いに移るという順番にすると失敗が減ります。

塩気の側からも1つ。

塩味の餅です。1パック80gに分かれているので、甘いものと交互に入れられます。

上の数え方で組むなら、1つあたりの量が決まっているものが使いやすくなります。

1本45gで、掛け算にそのまま乗ります。凍ると出しにくくなるので、冬は内側のポケットに入れます。

休憩中の食事にアルファ米を選ぶなら

水やお湯を確保でき、食事の時間を取れる山行では、アルファ米も候補になります。アルファー食品の「安心米」は、通常タイプで熱湯なら15分、水約20℃なら60分が戻り時間の目安です。シリーズによって調理時間が違うため、購入する商品の表示を確認してください。

すぐに食べられる行動食とは分けて用意します。調理用の水も荷物に数え、寒い場所で同じ時間で戻るとは考えないこと。登山に持っていく前に、味や量、作り方を自宅で確かめておくと選びやすくなります。

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分けて入れる

まとめて1袋に入れると、食べるためにザックを下ろすことになります。下ろすのが面倒で食べなくなる、というのが実際に起きることです。

  • ザックの雨蓋やヒップベルトのポケットに、行動中の分
  • 本体の中に、昼食と予備
  • 非常用に、手をつけない1食分

非常用は、行動食と別に数えます。 混ぜてしまうと、いつのまにか食べています。

ヒップベルトのポケットに入れた補給食

まとめ

  • 山を登る運動は6.5から7.3メッツ。ジョギングと同じ強さ
  • 消費量は体重とメッツと時間を掛けて出せる
  • 体重60kgで6時間なら2,600kcalを超える
  • 行動食が受け持つのは行動中の分だけ
  • 1時間あたり100から200kcalを、休憩ごとに足していく
  • 選ぶ基準は、片手で開けられる、溶けない、甘いと塩気を混ぜる
  • 非常用は行動食と分けて数える
  • 残った量を記録すると、次から精度が上がる

日帰りの荷物全体は日帰り登山の持ち物にまとめました。

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