登山用のガス缶は飛行機で運べるか。鉄道と宅配便もあわせた燃料の運び方

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

遠征の準備でいちばん引っかかるのが、燃料です。バーナーは荷物に入れられるのか、ガス缶はどうなのか、現地で買えるのか。

先に結論を書くと、缶は運べず、本体は運べます。

この記事でわかること

  • 航空機でガス缶とバーナー本体の扱いがどう違うか
  • ガソリンストーブとライターとマッチの扱い
  • 鉄道でカセットガスボンベが例外として扱われている理由
  • 宅配便で送るときに増える日数
  • 現地でどう手当てするか

荷造り前に並べたバーナーとクッカー

飛行機で運べるもの、運べないもの

国土交通省が公開している機内への持込み又はお預け手荷物に制限がある品目の代表例から、登山に関わるものを抜き出します。

品目 機内持込み お預け 条件
ガスボンベ(カセットコンロ・ガスバーナー用) できない できない 例外なし
カセットコンロ・ガスバーナー本体 できる できる ガスの残留がないもの
キャンプ用ガソリンストーブ、ガソリンランタン できない 条件付きでできる 燃料が入っておらず、蓋が閉まっていること
ファイアスターター、メタルマッチ、火打石 できる できる 非危険物の扱い
ライター 身につけて1個 できない 小型かつ携帯型のもの
安全マッチ 身につけて1個 できない 万能マッチは持込みも預けもできない
酸素ボンベ(医療用以外) できない 条件付きでできる ガスの残留がないもの

ライターと安全マッチは、あわせていずれか1個です。予備を分けて持つ発想が通じません。

缶が運べない理由

航空法の話です。国土交通省は航空機への危険物の持込みについてで、こう書いています。

航空機の安全運航を確保するため、危険物の貨物輸送、航空機内への持込み、お預かりは禁止されております。(航空法第86条)

ガス缶は高圧ガスなので、この枠に入ります。中身が少し残っているだけでも同じ扱いです。「空に近いから大丈夫」は通りません。

逆に言えば、危険物かどうかを決めているのは中身であって、道具の形ではありません。だからバーナー本体は、ガスが残っていなければ運べます。ネジ部に缶を付けたまま荷造りしない、という一点だけを守ることになります。

ガソリンストーブは、燃料が入っていないことと蓋が閉まっていることを満たせば、お預けのみできます。においが残っていても中身が空なら要件を満たす、という書き方です。ただし現場の判断が入る余地があるので、タンクは事前に空にして乾かしておくのが確実です。

なお、この代表例は「航空会社の社内規則により厳しく制限されている場合もあります」と断っています。最終的に使う航空会社の案内を見てください。

空にしたガソリンストーブのタンク

鉄道はカセットガスボンベが例外に挙がっている

飛行機と鉄道で、扱いが変わります。

JR東海が公開している列車内への危険物持込禁止のご案内は、可燃性液体、毒物・劇物・酸類、高圧ガス、農薬、火薬類、適切に梱包されていない刃物を危険物の代表例として挙げています。プロパンガスや液体窒素が高圧ガスの例です。

そのうえで、例外を設けています。小売店で通常購入できる日常的用途の製品であれば、2kg又は2L以内で、中身が漏れ出ないよう十分に保護されているものに限り持ち込めるという書き方で、その例としてカセットガスボンベとライターが図示されています。

つまり、新幹線や在来線でCB缶を運ぶことは、この案内の範囲では想定されています。ただし硝酸やさらし粉のように、小売店で買えても持ち込めないものがあることも、同じ案内に並んでいます。

登山用のOD缶は品名としては挙がっていません。同じ高圧ガスの日常品として扱われるかどうかは、案内からは読み取れない部分です。数量の条件を満たしていても、判断は現場に残ります。

宅配便は送れるが、日数が増える

先に送る手もあります。ヤマト運輸のスプレー缶の取り扱いについての案内は、スプレー缶が可燃性物質・引火性液体や高圧ガスを含むため航空搭載できないとしています。

航空搭載できないということは、陸送と船便で運ぶということです。同じ案内は、沖縄と他都道府県のあいだ、北海道と九州・中国・四国のあいだの配達で1日以上遅れる場合があると書いています。

遠征の前日に送っても間に合いません。 日程が決まった時点で送る、という段取りになります。品名を伝票に具体的に書くことも求められています。

熊スプレーも同じ理由で航空搭載ができません。運び方は熊スプレーは飛行機に持ち込めるかにまとめました。

荷札を貼った宅配便の箱

現地で買うという選択

いちばん簡単なのは、本体だけ持っていって、缶は現地で買う方法です。

  • 登山用品店。OD缶の各社規格が揃いやすい
  • ホームセンターやスーパー。CB缶なら手に入りやすい
  • 山小屋や登山口の売店。品揃えは事前に確認しておきます

注意したいのは、本体と缶の規格が合うかです。OD缶はねじ込み式で各社に互換性がある一方、CB缶を使う機種は形状が決まっています。現地で買える缶の種類から、持っていく本体を決めるという順番もあります。

CB缶は入手先が多く、鉄道の案内でも例外に挙がっている形です。ジュニアサイズは登山用の小型機種に合います。

缶を運ぶこと自体をやめる手もあります。燃料が液体や固形なら、扱いが変わります。

燃料用アルコールで動きます。アルコールは薬局やホームセンターで買えます。ただし液体の持ち込みにも別の制限があるので、飛行機に乗せる前に各社の案内を確かめてください。

固形燃料を使う型です。いちばん軽く、部品もありません。火力は弱いので、湯を沸かす用途に向きます。

余った缶を航空機で持ち帰ることもできません。使い切って現地で処分するか、次に行く人に渡すか、送り返すか。行きだけでなく帰りの分も、出発前に決めておくと迷いません。

まとめ

  • ガス缶は航空機に持ち込めず、預けられない
  • バーナー本体はガスが残っていなければ運べる
  • ガソリンストーブは、燃料が空で蓋が閉まっていればお預けのみ
  • ライターと安全マッチは、身につけていずれか1個
  • ファイアスターターは非危険物として運べる
  • 鉄道は2kg又は2L以内の例外があり、カセットガスボンベが例に挙がっている
  • 宅配便は航空搭載ができないため、日数が増える
  • 帰りに余る缶の始末まで、出発前に決めておく

火の扱いそのものについては山や河原で焚き火をしてよい場所に、日帰りの装備の並べ方は日帰り登山の持ち物にまとめました。

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