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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。
天気予報が見せてくれるのは、たいてい麓の街の気温です。標高2,500mの稜線の気温は出てきません。
そこで使えるのが、この2つの目安です。
- 標高が100m上がると、気温は約0.6℃下がる
- 風速が1m/s増えると、体感温度は約1.0℃下がる
どちらも登山の資料に出てくる数字です。掛け算だけで、稜線がどのくらい寒いかを見積もれます。
この記事でわかること
- 標高と気温の関係
- 風速が体感を下げる度合い
- 登山口の予報から山頂を見積もる手順
- この計算が当てにならない場面

標高100mで約0.6℃
モンベルの登山装備ガイド 基本編は、「気温は標高が100m上がるごとに約0.6℃下がるといわれ、登山口から山頂までの気温差や、行動中の発汗・体温の上昇を考慮したウエア選びが欠かせません」としています。
富士登山オフィシャルサイトも、富士登山の前に必ず知っておくことで標高差100mごとに約−0.6℃という同じ数字を挙げています。
計算してみます。登山口が標高500mで気温20℃、目指す稜線が2,500mだとします。
“標高差 2,000m ÷ 100m × 0.6℃ = 12℃ 20℃ − 12℃ = 8℃ “
8℃です。 真夏の平地から見れば、11月くらいの気温になります。半袖で登り始めた人が稜線で震えるのは、この差を見込んでいないからです。

風速1mで体感が約1℃下がる
気温だけでは足りません。富士登山オフィシャルサイトは、同じ気温でも風が吹くと体感温度が下がる(風速1m毎に約−1.0℃)としています。
さきほどの8℃の稜線に、風速5m/sの風が吹いていたとします。
“ 8℃ − 5℃ = 体感 3℃ “
風のほうが体感を下げることすらあります。 稜線は遮るものがないので、麓では吹いていない風が当たります。しかも、汗で濡れていればさらに奪われます。レイヤリングで汗を肌から離しておくのは、この場面のためです。

見積もりの手順
- 予報の気温と、その観測地点の標高を確認する
- 目的の標高との差を出す
- 標高差 ÷ 100 × 0.6 を引く
- 予想される風速のぶん、さらに引く
- 出た数字に合わせてウェアを決める
4番まででやめないでください。 気温だけ見て「8℃なら大丈夫」と判断すると、風で3℃の中に立つことになります。
そして、見積もりが合っていたかは、その場で測らないと分かりません。 温度計を持っていくと、次からの見積もりが正確になります。同じ山域に何度も行く人ほど、精度が上がります。
コンパスと一体になったものなら、持ち物が増えません。地図を読むときに首から下げているものが、そのまま温度計になります。
なお、ザックに入れたままでは正しい値が出ません。 体温と日射の影響を受けるので、日陰で少し風に当ててから読みます。
富士山の例が分かりやすいところです。オフィシャルサイトは、山頂は夏でも日の出前には気温0度近くまで下がるとしています。8月の話です。入山の手続きと必須装備は富士山に登る前の手続きにまとめました。
この計算が当てにならない場面
1. 逆転層があると、上のほうが暖かくなります。
朝方の盆地などで、冷えた空気が下にたまることがあります。このとき、標高が上がると気温が上がります。目安の計算は成り立ちません。
2. 0.6℃は平均的な割合です。
実際の気温の下がり方は、湿度や天候で変わります。目安であって予報ではありません。
3. 日射と地形で大きく変わります。
同じ標高でも、南向きの斜面と沢筋では体感がまるで違います。樹林帯と稜線でも別です。
4. 濡れると計算の外に出ます。
雨で濡れた体は、気温の数字とは無関係に熱を失います。低体温症の危険があると各社が書いているのはこのためです。判断が要る場面なので、この記事では踏み込みません。
まとめ
- 標高100mで約0.6℃下がる
- 風速1m/sで体感が約1.0℃下がる
- 標高差2,000mなら12℃の差。麓が20℃でも稜線は8℃
- そこに風速5m/sで、体感3℃
- 見積もりは気温だけで止めず、風まで引く
- 逆転層、日射、地形で変わる。目安であって予報ではない
- 濡れると計算の外。ここは装備で受けるしかない
服装の組み立てはレイヤリングの考え方に、雨具は登山用レインウェアの選び方にまとめました。