登山用シングルバーナーの選び方。OD缶とCB缶、一体型と分離型の違いと寒さへの強さ

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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。

山頂でカップ麺のお湯を沸かしたくて、初めてバーナーを買おうとすると、売り場の言葉でまず止まります。OD缶とCB缶、一体型と分離型。出力の数字も「3.3kW」「2300kcal」「2,269kcal/h」と、メーカーごとに単位がそろっていません。

秋の早朝や冬の山では火が弱くなる、という話も聞きます。燃料、形、寒さへの強さの順に、どの機種がどんな人に向くかをまとめました。

この記事でわかること

  • OD缶とCB缶の違いと、寒さで差が出るところ
  • 一体型・分離型・クッカー一体型の向き不向き
  • 寒い時期に見る「レギュレーター」と「ガスの使用最低気温」
  • SOTO・EPI・イワタニ・ジェットボイルの8機種の重さ・出力・点火方式

燃料と形を決めてから、寒さで絞る

編集部の勧めは次のとおりです。

  • 日帰りでお湯を沸かすのが中心なら、OD缶の一体型。 1台ならSOTOのウインドマスター SOD-310を勧めます。67gと軽く、-5℃でも火力が変わらないとメーカーが書いています
  • 鍋を据えて料理するなら分離型。 ゴトクの外径が160〜165mmあり、大きめの鍋を載せられます
  • キャンプと兼用でカセットガスを使いたいならCB缶。 寒さで火力が落ちやすいので、レギュレーター付きの機種を選びます
  • お湯を沸かす速さを優先するなら、クッカー一体型のジェットボイル フラッシュ。 0.5Lが約100秒で沸騰します

OD缶とCB缶の違い

OD缶はアウトドア用のガスカートリッジ、CB缶はカセットガスの缶です。どちらを使うかで、選べるバーナーが決まります。

缶は、バーナーのメーカーが指定したものを使います。SOTOはウインドマスターの燃料を「SOTO製品専用容器(OD缶タイプ)」としています。イワタニのジュニアコンパクトバーナーも、使えるガスをイワタニの3種類に限っています。今回読んだメーカーのページで、他社の缶を使ってよいと書いたものはありませんでした。

寒さで差が出るのは、缶の中のガスです。EPIの230レギュラーカートリッジは使用最低気温が+10℃、230パワープラスカートリッジは-15℃です。秋の朝に10℃を下回る山なら、レギュラー缶はメーカーが示す範囲の外になります。

CB缶については、SOTOがST-310のページで、低温の外気で火力が落ちやすいことを「CB缶の弱点」と書いています。冬にCB缶を使うなら、寒さへの対策がある機種を選ぶことになります。

缶を飛行機や宅配便で運ぶときの扱いは、OD缶とCB缶の輸送ルールの記事にまとめています。

OD缶に付けた小型バーナーで、鍋のオートミールを温めているところ

一体型と分離型、クッカー一体型の違い

一体型は、缶の上にバーナーを直接付ける形です。いちばん軽く、ウインドマスターは3本ゴトク込みで67g、EPIのQUOは98gです。

分離型は、缶とバーナーが離れています。本体はOD缶用のSOD-331で182g、CB缶用のST-330で250gと重くなります。そのかわりゴトクの外径はそれぞれ160mm、165mmあります。

CB缶にバーナーを直結する形もあります。SOTOのST-310が330g、イワタニのCB-JCBが約274gで、分離型の2機種より重くなります。

クッカー一体型は、バーナーと専用の鍋が組になったものです。ジェットボイル フラッシュは1.0Lの容器が付いて約371gです。料理より、お湯を早く沸かす用途に向いた形です。

分離型のガスバーナー。ガス缶とバーナーがホースでつながり、低いゴトクに鍋を載せている

寒さに強いかはレギュレーターとガスで決まる

気温が低いときや連続して使ったときは、缶の中の圧力が下がり、火が弱くなります。それを抑えるのがレギュレーターです。ウインドマスターの製品ページは、外気温を挙げて火力を示しています。

外気温が20℃であっても-5℃であっても変わらない2,800kcal/hの火力を発揮します。

同じマイクロレギュレーターでも、CB缶のST-310は「外気温25℃~5℃」で一定の火力という書き方です。示す温度の下限は、ウインドマスターより10℃高い5℃です。ジェットボイルのミニモは、-6℃まで火力を安定させるサーモレギュレーターを積んでいます。

レギュレーターの記載がない機種は、ガスで補います。EPIのQUOは、出力の欄に230P+(パワープラス缶)を使ったときの最高出力も載せています。冬も使うなら、使用最低気温-15℃のこの缶と組み合わせます。

点火装置にも寒さの注意があります。ジェットボイルの日本総代理店モンベルは、販売ページで、圧電点火装置は高所や低温下で機能しないことがあると書き、電子着火式ではないマッチやライターを予備に持つよう求めています。点火装置付きの機種でも、ライターを1本足しておけば、点火装置が働かないときに火を付けられます。

8機種の比較

木のテーブルに並べた、形の違うアウトドア用のバーナー

いずれも公式ページの記載です。出力は各社の表記のままで、使うガスや気温などの測定条件も各社で違います。

製品 燃料と形 重量 出力 点火 寒さについての記載 価格を見る
SOTO ウインドマスター SOD-310 OD缶・一体型 67g(3本ゴトク込み) 3.3kW(2,800kcal/h) 圧電点火 -5℃でも20℃と同じ火力 楽天Amazon
EPI QUO STOVE S-1032 OD缶・一体型 98g 2300kcal(230R使用時)/最高2600kcal(230P+使用時) 自動点火 記載なし 楽天Amazon
SOTO FUSION Trek SOD-331 OD缶・分離型 182g(本体のみ) 3.5kW(3,000kcal/h) なし(ライター等) 低温時の圧力低下に影響されにくい 楽天Amazon
SOTO FUSION ST-330 CB缶・分離型 250g(本体のみ) 2.6kW(2,200kcal/h) 圧電点火 低温時の圧力低下に影響されにくい 楽天Amazon
SOTO レギュレーターストーブ ST-310 CB缶・直結 330g(本体のみ) 2.9kW(2,500kcal/h) 圧電点火 外気温25℃~5℃で一定の火力 楽天Amazon
イワタニ ジュニアコンパクトバーナー CB-JCB CB缶・直結 約274g 2.7kW(2,300kcal/h) 2アクション圧電点火 記載なし 楽天Amazon
ジェットボイル フラッシュ クッカー一体型(1.0L) 約371g 2,269kcal/h 自動点火 記載なし 楽天Amazon
ジェットボイル ミニモ クッカー一体型(1.0L) 415g(本体) 1,404kcal/h 自動点火 -6℃まで安定した火力 楽天Amazon

OD缶の一体型

ガス缶の上にバーナーを直結した一体型。地面に置いてコーヒーを淹れる準備をしている

SOTO ウインドマスター SOD-310

オススメのポイント:3本ゴトク込みで67gと、この表でいちばん軽い機種です。マイクロレギュレーターを積み、-5℃でも20℃と同じ火力が出ます。日帰りでお湯を沸かす人、秋や冬にも山へ行く人には、編集部はまずこれを勧めます。

気になる点:付属のゴトクは3本で、4本ゴトクとガスは別売です。SOTOの専用OD缶を合わせて買うことになります。

EPI QUO STOVE S-1032

オススメのポイント:98gで自動点火装置付き、ゴトクは4本です。炎がまっすぐ上に出る直噴型で、メーカーは縦長のクッカーに合うとしています。燃焼時間は約120分あります。

気になる点:レギュレーターの記載はありません。寒い時期は、上で触れたパワープラス缶と組み合わせる前提で選ぶ機種です。

分離型

SOTO FUSION Trek SOD-331

オススメのポイント:OD缶の分離型で、マイクロレギュレーター付きです。出力は3.5kW(3,000kcal/h)で、SOTOの4機種でいちばん大きい数字です。ゴトクの外径は160mm。2人以上で鍋料理をする人に勧めます。

気になる点:点火装置がなく、ライターなどで火を付けます。本体だけで182gあり、ウインドマスターの2倍以上です。

SOTO FUSION ST-330

オススメのポイント:CB缶で使う分離型で、マイクロレギュレーター付きです。ゴトク径は165mmで、4本のゴトクで鍋を支えます。キャンプ場でも山でも、同じ道具で料理したい人に向きます。

気になる点:出力は2.6kW(2,200kcal/h)で、SOTOの4機種でいちばん小さい数字です。何℃まで使えるかの記載は無く、冬の山ならウインドマスターのように温度を示した機種のほうが選びやすくなります。

CB缶の直結型

SOTO レギュレーターストーブ ST-310

オススメのポイント:出力は2.9kW(2,500kcal/h)、ゴトクは外径130mmです。ゴトクが大きく、数人分の料理にも使えます。春から秋の山とキャンプを、カセットガスの1台で済ませたい人に勧めます。

気になる点:330gあり、この表ではジェットボイル2機種に次いで重い機種です。メーカーが示す温度は5℃までで、それより寒い条件の記載はありません。

イワタニ ジュニアコンパクトバーナー CB-JCB

オススメのポイント:イワタニのカセットガスでも、小さなカセットガスジュニアでも使えます。炎を風から守る形のゴトクで、専用のハードケースが付きます。使える鍋は18cmまで(鍋底16cm以下)です。

気になる点:低温での性能は公式ページに書かれていません。連続燃焼時間はカセットガスジュニアで約40分と短く、カセットガスなら約120分です。

クッカー一体型

クッカー一体型のバーナー。底に波形の熱交換器が付いたジェットボイルの鍋が、ガス缶に付けたバーナーに載っている

ジェットボイル フラッシュ

オススメのポイント:0.5Lの水が約100秒で沸きます。ミニモの約140秒より40秒ほど短い数字です。自動点火装置と、グローブのままでも回しやすい大きな火力調節つまみが付きます。フリーズドライやコーヒーのお湯を早く用意したい人に勧めます。

気になる点:寒さについての記載はなく、圧電点火は高所や低温下で機能しないことがあると販売ページにあります。鍋が専用なので、炒め物のような料理は分離型のほうが向いています。

ジェットボイル ミニモ

オススメのポイント:-6℃まで火力を安定させるサーモレギュレーターを積んでいます。お湯を沸かすのが中心で、冬や高い山でも使う人に向きます。

気になる点:本体415gで、この表でいちばん重い機種です。0.5Lの沸騰は約140秒で、湯沸かしの速さならフラッシュのほうが上です。

使う場所と缶の熱

森の地面に置いたバーナーでケトルの湯を沸かしているところ

SOTOはウインドマスターやST-310などのページで、屋外専用と書いています。イワタニのジュニアコンパクトバーナーのページには、使ってはいけない場所が書かれています。

当商品をテント内、車内では絶対に使用しないでください

缶の熱にも注意があります。イワタニは、容器カバーを覆ったり器具が触れたりするとボンベに熱が伝わり、加熱されたボンベは中のブタンが膨張して最後には破裂すると説明しています。直結型で鍋を選ぶときは、CB-JCBの「18cmまで」のような、メーカーが示す鍋の大きさの範囲で使います。

火を使ってよい場所を決めている法令は、焚き火をしてよい場所の記事で整理しています。

まとめ

  • 先に燃料(OD缶かCB缶か)を決める。缶はバーナーのメーカーが指定したものを使う
  • 日帰りの湯沸かしならOD缶の一体型、料理なら分離型、湯沸かしの速さならクッカー一体型
  • 寒さへの強さは、レギュレーターの有無と、ガスの使用最低気温で決まる。EPIの缶はレギュラーが+10℃、パワープラスが-15℃
  • CB缶は低温で火力が落ちやすい。冬に使うならレギュレーター付きの機種を選ぶ
  • 点火装置付きでも、電子着火式ではないライターを予備に持つ
  • 出力は各社で単位も測定条件も違う。数字の大小だけで比べない

バーナーを入れた日帰りの持ち物一式は日帰り登山の持ち物リスト、お湯に使う分を含めた水の量は登山で持つ水の量の決め方にまとめています。

出典

画像クレジット

  • アイキャッチ:OnTrails/AI生成イメージ
  • OD缶の小型バーナーと鍋: Adobe Stock #457120041
  • 形の違うアウトドア用バーナー: Adobe Stock #614167076
  • ガス缶直結の一体型バーナー: Adobe Stock #441096903
  • 森でケトルを沸かすバーナー: Adobe Stock #1337375723
  • 分離型のガスバーナーとガス缶: MSR WindPro portable stove(Wikimedia Commons、Public domain)
  • クッカー一体型のバーナー(熱交換器付きの鍋): JetBoil camping stove under cooking pot by Michael Pereckas(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)
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