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注意:自然環境・気象・野生動物の状況は地域差と個体差が大きく、本記事の内容はあらゆる状況での安全を保証するものではありません。入山前に必ず該当自治体・管理団体の最新情報を確認してください。
「レインウェアがあるのに、なぜ薄い上着をもう1枚?」
もっともな疑問です。答えは単純で、防水と防風は別の仕事だからです。レインウェアで代用はできますが、その代用には無理があります。
この記事でわかること
- ウインドシェルが受け持つ仕事
- レインウェアで代用したときに起きること
- ソフトシェルとの違い
- 持たなくてよい場面
- ウインドシェルで解決しないこと
晴れた稜線のための1枚
モンベルの登山装備ガイド 基本編は、ウインドシェルを「防風性に優れ、晴天時の稜線などで活躍します」と位置づけています。雨のための装備ではありません。
なぜ晴れているのに要るのか。風があるからです。富士登山オフィシャルサイトは、必ず知っておくことで風速1mごとに体感温度が約1.0℃下がるとしています。
樹林帯を登り切って稜線に出ると、遮るものがなくなります。風速7m/sなら、体感は7℃ぶん下がる計算です。しかも登ってきた直後で、体は汗をかいています。濡れた体に風が当たる、いちばん熱を奪われる条件がそろいます。
このとき、風を止める1枚があるかないかで、その後の1時間が変わります。

レインウェアで代用すると
もちろん、レインウェアも風は止まります。ただ2つ問題があります。
1. 蒸れます。 防水の膜があるぶん、汗の抜けは悪くなります。行動しながら着続けると、内側が濡れます。ウインドシェルは防水を捨てているぶん、通気で有利です。
2. 出し入れが面倒です。 レインウェアは畳んで、ザックの取り出しやすい場所に入れておく装備です。ちょっとした風のたびに出し入れするものではありません。結果、面倒で着ないまま冷えることになります。
ウインドシェルは軽く、小さく畳めます。気軽に着られること自体が機能です。着ない装備は無いのと同じです。
畳んだときの小ささが、そのまま「出す気になるか」を決めます。
ベンチレーションの付いたものは、着たまま登っても熱がこもりにくくなります。着たり脱いだりの回数を減らせるぶん、面倒で着ない、が起きにくくなります。
生地に伸びのあるタイプは、行動中の突っ張りが少なくなります。

ソフトシェルとの違い
同じページは、ソフトシェルを「防風性と保温性を備える高機能ウエア」としています。保温性が加わるところが違いです。
整理するとこうなります。
| 防水 | 防風 | 保温 | 主な場面 | |
|---|---|---|---|---|
| レインウェア | ○ | ○ | — | 雨、強風 |
| ウインドシェル | — | ○ | — | 晴れた稜線、休憩時 |
| ソフトシェル | — | ○ | ○ | 寒い時期の行動中 |
季節で使い分けます。 気温や行動量、製品の厚さと通気性によって選びます。季節名だけでは必要な組み合わせは決まりません。
ソフトシェルは保温するぶん厚く、畳んでも小さくなりません。行動中ずっと着る前提の装備です。
レイヤリングの中での位置づけはレイヤリングの考え方に整理しました。ウインドシェルもソフトシェルも、アウターレイヤーの一種です。
雨具の代わりにはならない
逆方向の代用はできません。モンベルは「山の天気は変わりやすいもの。晴れていてもレインウエアは上下セットで必ず持参しましょう」として、雨で体を濡らすと低体温症に陥る危険があると書いています。
ウインドシェルには、この役割は果たせません。撥水加工のあるものでも、降り続く雨は通します。 「軽いほうだけ持っていく」は成立しない、ということです。
雨具の選び方は登山用レインウェアの選び方にまとめました。

持たなくてよい場面
樹林帯でも風が強くなることがあります。携行するかは、低山かどうかだけでなく、気温・風・行動時間と、ほかに持つ雨具や防寒着を合わせて判断します。
逆に優先度が上がるのは、森林限界を越える山と、休憩の多い山行です。止まっている時間が長いほど、風で冷える時間も長くなります。
まとめ
- ウインドシェルは晴れた稜線のための装備。雨のためではない
- 風速1mで体感が約1.0℃下がる。稜線では風が直接当たる
- レインウェアで代用すると蒸れる、そして面倒で着なくなる
- 軽くて気軽に着られること自体が機能
- ソフトシェルは保温性が加わる。寒い時期はこちら
- 雨具の代わりにはならない。 レインウェアは晴れていても上下セットで持つ
服装の組み立てはレイヤリングの考え方に、気温の見積もりは山の気温は標高で何度下がるかにまとめました。